てれくさい勇気
追っ手からのがれた二人は宇宙へと出た。
「俺は、ジゾウ。俺には双子の兄のイチゾウがいる。双子だが俺たちには決定的な違いがあった。それは俺の体には七色に輝く目があったことだ。やつは、それをうらやましく思ったのか、俺が冷凍されて移送されてる隙に、体を乗っ取った。帰る場所をなくしてあわてた俺は、まんまとやつの策にはまり、やつの体へともどってしまった。この体はイチゾウのものだ。やつは、今、帝国の皇帝となっている。俺はその後、死に場所を求めながら宇宙を旅して母さんと出会った。目が見えない彼女は、戦いで傷だらけになっていたこの体がたとえ誰のものであろうと、心は変わらないといって介抱してくれた。少々照れくさかったが生きる勇気をもらったよ。うれしかった。だから、夫婦になった。」
ジゾウは少しの間、言葉を詰まらせた。
「私たちは遠い昔に分かれた同じ種族だ。故郷の星々が寿命を迎えた時、移住先を求めて旅立った。われわれは宇宙の中心へ向かい、多くの異星人と知り合った。そして、大幅に寿命が伸びた。一方、母さんたちは外へ向かった。そこには多くの手つかずの大地があったが、過酷な環境に適応するために世代交代が進んだ。」
最新のプレートブリッジ理論により、高速に惑星間を移動する技術が生まれた。プレート理論では物質はプレートを離れることはできない。しかし、新理論ではプレートの二点間に橋をかければ高速で移動できるというものだった。プレートは巨大であるが一宇宙という閉鎖された時空では、ちょうど丸められた紙くずのようなもので、それぞれの地点が非常に隣接しているというのである。重力によって曲げられた空間は互いに引っ張り合っており、歪の大きい箇所は互いに隣接しているという。なので点在するブラックホールの周囲は高次元では互いに隣接した領域となる。そのためここに橋をかけることで、遠方のブラックホールへと一瞬で移動できるようになった。
二人は、惑星テレへと、向かった。帝国辺境のこの地もすでに大量の帝国からのアンドロイドが投入され、一触即発のきな臭い雰囲気が漂っていた。




