過激派議員
王子がいなくな少し前のことではあるが、帝国では王子探し以外に興味を示さなくなった現皇帝に代わり、政への発言は議会がその力を増していった。多くの議員が各星や地域の代表としての自覚を保っていたが、中には自分の力を過信し、支持者たちの意向を無視し、周囲への敬意を無くした連中もいた。
「手ぬるい。先制攻撃をしてでも、領土を増やすべきだ。」
「抵抗するものは、皆殺しにしてアンドロイドを増やせばいい。」
といった、帝国内の法を無視し、過激な発言を繰り返した。
「議員、あなたの発言は、わが星の総意と扱われるのです。母国の意見も聞かずに、勝手な個人的見解はお控えください。」
秘書が制止をするものの、
「何をいう。かれらは私という存在に票をいれたのだ。ならば、私の意思こそが総意ではないか。」
こう言って、はばからない連中は言葉巧みに勢力を増し、すでに議長も無視できないほどの一大勢力になっていた。
「君たち、あまりに帝国の法を無視した発言を繰り返すようなら、議員辞職勧告も考慮せねばならなくなるぞ。」
「議会には言論の自由はないのですか?」
「何か思い違いをしてないかね。君たちは、それぞれの地域の代表者だ。代表者に、個人的見解を述べるという意味での、自由な発言というものはない。君たちは地域の総意をこの場で述べるために集められているのだ。」
注意を受けたかれらは不服そうに部屋を出ていった。やがて、彼らは超過激派政党を築き、現皇帝に反旗を翻すため若く無知の王子と内通し、帝国の転覆を企み緒始めるのだった。
女神エルノを信仰する帝国軍に対抗するため、王子軍は女神エナイを奉っっていた。エナイ信仰は自由軍の中にあったので、自由軍を隠れ蓑にしてその勢力を密かに拡大していった。自由軍の信仰は心の拠り所であったのに対し、王子軍のそれは、王子の正当性を示すためだけに使われた。




