裏切られた魔法使いはヒモにはなりません。

俺はかつて魔法使いだった。自分で言うのも何だがそれなりに優秀だったと思う。でも仲間に裏切られて以来、魔法を使うのをやめた。それから孤独に冒険者稼業で日銭を稼いでいたある日のこと、突然、見知らぬ少女に声をかけられる。

「あなたのことが好きなの。養ってあげるから結婚して」
「無表情で何言ってんだ？」

それからも意味不明な言葉を連発しては俺に付き纏ってくる無表情女。挙句の果てには既成事実を作ろうと夜這いしてくる始末。一体何の目的があって俺なんかに迫って来るのかさっぱりだ。……そういえば風の噂で、どこぞの国の王女様がいなくなったとか。まさか、な。