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6話

 美賀子たちが学校に通い始めてから、二週間経過した。美賀子は、貴正と隣の席ということもあり、話すことも多く(というよりは、美賀子がたくさん話しかけている。)、大分仲良くなることができた。

 美賀子と磨衣子と彩香は、バスケットボール部のマネージャーになった。美少女三人がマネージャーになったことで、部の士気が増した。

 三人は、バスケのことを学ぶために、学校の帰り道に、ブックオフにより、バスケ漫画や、バスケに関する本を読み漁った。


 彩香に関しては、バスケの漫画しか読んでないが。その影響で、俺に勝てるのは俺だけだ、ひねりつぶすよ? などと磨衣子と美賀子に言ってきては、二人をドン引きさせた。

「ファウル七番! フリースローツーショット。」


 美賀子は、ファウルの笛を鳴らし、シューターにボールを渡した。美賀子は、今審判をしている。大分、ルールも覚えたようである。

 ちなみに、磨衣子と彩香は、タイムキーバーをしている。タイムキーバーとは、デジタルタイマーを操作する人のことである。デジタイマーには、シュートクロックや、得点が表示される。

「ナイッシュ! 貴正。」

 貴正は、スリーポイントを決めた。スターティングメンバーと、控えのメンバーで試合をしていた。貴正は、スターティングメンバーの一員である。


「すごいわね。貴正くん、この試合もうスリーポイント五本目よ。」

「当然なのだよ。」

 磨衣子が、話しかけたら、何かスイッチが入ったように、彩香が答えた。

「しかし、本当、スパスパシュート入るな、貴正は。きっと、『人事を尽くして天命を待つ』を実行してるんだな!」

「漫画の影響とはいえ、そんな難しい言葉覚えるなんてお姉ちゃん嬉しいわ。」


 磨衣子がそう答え、美智子の方に目をやると、美智子が、貴正に視線を奪われているのが分かった。

(うふふ……美智子は本当に貴正くんが好きなのね。でも、私も負けないからね。)

 試合が終わり、休憩時間に入った。

「お疲れ様、貴正くん。はい、これ。」

「ああ、ありがとう。」

 先代マネージャーの佐江は、貴正にタオルを渡した。

「貴正くん、調子いいね。」


「ああ、先輩たちの最後の大会だしな。一本もシュートを落とさないつもりで、試合に臨んでるよ。」

「そっか。大会に向けて頑張ってね。」

「ああ、ありがとう。」


 佐江は、他の選手たちにタオルを渡しに向かった。佐江は、貴正を本当にかっこいいと思っていた。物怖じせず、シュートを放つ姿、ひたむきにボールを取りに行く姿勢になんとも言えない魅力を感じていた。


「先輩、お疲れ様です。これ、タオルです。」

 佐江は、バスケットボール部のキャプテン、三澤拓郎にタオルを渡した。

「佐江、ありがとう。」

 タオルを受け取る際、佐江の手が、拓郎に当たった。

(うおお! 佐江の手が当たった!) 

 拓郎は物凄くドキドキした。拓郎は、佐江に対して異性としての好意を持っていた。三人の美少女が入部してきても依然、拓郎は佐江一筋であった。

 何度も告白しようと考えたのだが、自分がキャプテンとうい立場であるため、告白するのを躊躇っていた。

 インターハイに行けたら、付き合ってくれみたいな告白をしてみたいと拓郎は思っていた。

 柔軟運動を終えたあと、ミーティングの時間になり、監督が話を始めた。


「みんな、気合が入ってるのは練習を見ていて伝わった。

いいか? 体調管理と怪我だけは注意しろよ。今月末、運動会があるが、怪我だけはしないようにな。」

 大会の前に運動会が控えていた。運動会は、もちろん全生徒参加である。


 ミーティングが終わり、片付けを終え、美賀子たち三人は帰宅した。

「お帰りなさい。三人とも。」

 神社の住職、もとい猫又が迎えてくれる。

「ただいまー! いやあ疲れた疲れた。」

 彩香は、ドタドタと、神社の中に入り、大の字で、寝転がった。」

「おい、彩香! 靴くらいちゃんと揃えんか!」

「えーいいじゃん、ちょっとくらい。」

「磨衣子! 猫又様の言うとおりよ。ちゃんと靴揃えなさい。しかも、女の子が寝っ転がって、はしたない。」

 磨衣子が、苦言を呈した。なんだかんだ言っても、この二週間の間に彼女は、随分人間生活に慣れたようである。しっかり人間としてのお姉さんをしていた。


 磨衣子に怒られ、しぶしぶ靴を揃えて神社の中にある座布団に正座をした。

 すると猫又が、机の上に三人のためのキャットフードを持ってきた。

「それじゃ、猫に戻すぞ。は!」

 三人に手をかざし、猫に戻した。三匹は、机の上にジャンプし、ご飯を食べ始めた。

「いやー! やっぱ、猫は動きやすくていいね!」

「そうね。でも、私は、もう慣れたわ。」

「私ももう慣れた。」


 二匹の言うとおり、磨衣子と美賀子は、大分人間の姿でいることに慣れたようである。しかし、彩香は、まだ慣れていないようであった。だが、彩香は人間になってからというもの、漫画をえらく気に入ったようで、バスケ漫画以外にもブックオフで色んな漫画を読んでいた。クラスでも、オタク気質の人と男女構わず仲良くなっていた。


「二人は、すごいな。私は、たまに猫の姿のように、服を脱ぎたくなる。服は鬱陶しいと思うんだ。」

「彩香! 絶対にそんなことしちゃダメよ!」

「あ、ああ……」

 磨衣子の凄みに、思わず彩香は圧倒された。磨衣子は長女として、彩香が危ない目に合わないかとても不安なのであった。


「ところで、美智子は、貴正との仲は進んだのか?」

「す、進んでないよ!」

 美智子は、貴正とは隣の席でよく話すものの、未だ友人どまりである。まだ転校してから二週間ちょっとしか経ってないから当然ではあるのだが。


「そっかー。前から思ってたんだけど、磨衣子は、貴正が好きなのか?」

 突然の彩香の質問に戸惑いながらも、磨衣子は自分の気持ちを二匹に答えた。

「人間の『付き合いたい』っていう好きなのかは、良く分からないけど、ただ、貴正くんは、私たちに優しくしてくれて、素敵な人間だって。人間になる前、私はそう思ってたわ。

 だから、もっと貴正くんと仲良くなりたいかな。」

「お姉ちゃん!」

 美賀子が叫んだ。

「な、何?」

 美賀子は、激しい目つきをしている。まるで、エンペラーアイのようだと、彩香は見ていて思った。

「絶対に負けないから!」

「は、はい。」

 物凄い迫力に思わず磨衣子は敬語になった。


「ハックション!」

 貴正は今、勉強中であった。自分の苦手な科目である世界史の勉強を必死になってやっていた。

「誰か、俺の噂でもしてるのかな……」

現在、午後十一時であったが、まだ寝る気にはなれなかった。大会の後には、定期テストがすぐに控えている。彼は、大学進学を目指している。そのためには、勉強も頑張る必要があるのである。


「最近、あの猫たちこないなぁ……」

 猫と遊ぶことは、彼の至福のひとときなのだが、それがなくなり、貴正は寂しさを感じていた。



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