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5話

 五限目、六限目を終えて、部活に行く準備をしていた。


「貴正くんは、このまま帰るの?」

「いや、部活に行くよ。」

「そうなんだ。何部に入ってるの?」

「バスケ部に入ってる。もう少しで大会なんだ。」

「そうなんだ……練習頑張ってね。」

「うん、ありがとう。」


 美賀子は、貴正と別れの挨拶をし、校門に向かった。


 美賀子は学校の外を出ると、校門の近くで彩香と磨衣子が待っているのに気づいた。

「待ってたよ! 美賀子。」

「それじゃ、行きましょうか。」

「うん! でも、どこへ?」

 磨衣子を先頭に、三人は歩き出した。三人は、野良猫であるため、特に住所は持っていない。住むこところは、雨風が凌げるところである。公園の遊具の中とか、とある家の小屋のなかだったりと住んでいるところは、一定してはいなかった。


「猫又様のところよ。とりあえず、私たちの変身を解いてもらいましょう。」

「なるほど、そうね。」

「早く猫の姿にもどりてぇな。この体、窮屈ー。」

 気だるそうに、彩香が言った。

「確かにそうね。この体、胸重いし、なんか肩が凝るのよね。」

 本当に、困ったという顔で、磨衣子が美賀子にとって羨ましい悩みを言った。

「……」


 美賀子は、磨衣子の胸をとても羨んでいた。そう、美賀子は気づいていたのである。体育の時、貴正は、磨衣子の胸に興味が深々のようだった。猫又は、男のなかには、貧乳派が存在すると言ってたが、貴正は結局は巨乳派、いや爆乳派であった。所詮、哺乳類の本能には、逆らうことができないということだと美賀子は思った。


 神社に到着すると、ぬうっと、お坊さんの風貌の人が現れた。この神社の住職の片だろうかと美賀子たちは推測した

「おお、もう戻ってきたのか。」

「ええっと、あなたは?」

 美賀子が尋ねた。美賀子が知る限り初めて見た人であった。

「ワシじゃよ。猫又じゃ。」

「ええ? お前が猫又? なんでお前も人間になってんの?」

「様をつけろ! 様を、日中は、住職として、働いてるんじゃ。」


猫又は、この神社の神として、祀られていたのだが、前の住職が亡くなった後、誰も高家の住職の人が見つからず、しょうがないため、住職っぽい風貌の人間に化けて、どうにかこうにか手続きをすませて、この神社の住職になった。


 猫又は、日々、神様と住職のダブルワークをこなしていた。神様の仕事は、気が向いたら、お参りにきた人間の願いの手助けをしているのだがどれくらい力を貸すのかは気分によって違っていた。

「そうだったんですね。とりあえず、人間に戻してもらえますか?」

「そう、やっぱこの体、窮屈でさー。」

「なるほどな。よかろう。今すぐに戻す。ところで、お前らは今どこに住んでるのだ?」

「公園の遊具の下とか、どこかの家の小屋の屋根の下とか、適当に住んでいます。」

 磨衣子が答えた。三人は、適当にその辺をうろつき、ネズミを捕ったり、自分たちを気に入る人間から、食料を貰い、寝床は、猫又に伝えたようにして、日々を過ごしていた。


「そうか。それじゃ、お前たちが良ければここに住まないか?」

「いいんですか?」

 突然の申し出に、美賀子は少々驚いた。

「ああ、あんまりこの神社も訪れる人が少なくって、退屈していてな。お前らが一緒に住んでくれるなら賑やかになりそうでいい。」

「それじゃ、お言葉に甘えて……」

 磨衣子が、猫又の提案を受け入れることにした。神社の中であれば、毎日快適に過ごせるだろうと考えたからである。


「うむ。あと、一つ提案なんだが、人間の生活に慣れるために、食事以外の時間は人間の格好でいるとうのはどうだ?」

「えー、窮屈だよ。今すぐにでも戻りたい。」

 彩香が、露骨に嫌そうな顔をした。人間は、猫の時と違い、堅苦しい制服を身につけている。それが、彩香は嫌なようである。

「私はそれで構いません。早く人間の生活に慣れたいですから。ところで、なんで食事の時だけ猫に戻らせるのですか?」

「食事代の節約のためだ。猫の方が、満腹感を得ることができる。お前たちの分の食事もこれから、用意するからな。」

 結局、三人とも食事の時以外は人間でいることにした。これからは、一緒に猫又と暮らし、学校に通う生活をするのであった。



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