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24話

「お待たせしました! 肉まん二つと、タピオカジュース二つです!」

 貴正にとっては、グッドタイミングで、注文した品が運ばれてきた。

「それじゃ! 佐江、食べようぜ!」

 貴正はさっきの質問をはぐらかす為に、料理を食べるように、佐江に促した。

「そうね。食べましょう。」

 二人は、肉まんを食べた。はっきり言って、味はコンビニの肉まんと大差ない味だったのだが、普通に美味しかったので、貴正は普通に満足した。

「肉まん、結構うまいな。」

「そうね。」


 続いて、貴正は、タピオカドリンクを飲んだ。ミルクティーの甘さに加えて、タピオカパールのくにゃっとした食感が美味しさを引き立てていた。

 タピオカジュースは、台湾発祥の飲み物で、タピオカパールをストローで吸い込む感覚と、くにゃっとした食感が楽しめるが特徴である。(Wikipedia参照)

 比較的、材料も少なく簡単に作ることができ、大学などの文化祭の出店にも、良く使われる飲み物である。


「私、タピオカジュース初めて飲んだけどこれおいしいね!」

「そうか。佐江はタピオカジュース飲むの初めてなのか。俺は、中華街に行ったとき、飲んだなぁ。」

 貴正は、去年、一人で中華街まで行き、フカヒレまんやタピオカジュースなどを飲んだ。ついでに、占いもしてもらった。

 中華街では、占いのお店が良く出回っている。年老いた老婆に、手相占いをしてもらったところ、「おぬしは、今はモテ期が来ていないが、ハーレムになる素質を備えている」という訳のわからないことを言われた。貴制は占ってもらわない方が良かったと今では後悔していた。

「中華街かー。私、あそこ小さい頃しか行ったことがないな。」

「そうか。結構面白い店がたくさんあるから行った方がいいよ!」

「うん、そうね。」


 その後も、貴正は、佐江と雑談をして、一組の中華レストランを後にした。その後も、適当に学校を周り、十一時近くになったので、貴正たちのクラスに、向かった。

 教室の中に入ると、予想より結構人が多くいた。教室の中には、美賀子がいた。

「あら! 佐江ちゃんと貴正くん、映画見に来たの?」

「ああ。午前は、非番だしな。確か、美賀子はさっきまで当番だったよな。今から休憩?」

「ええ。でも、私も映画を見ていこうと思っていたところ。」

「そうか。なら三人で一緒に見るか。」

 俺は、そう提案した。

「そうね。」

 佐江も賛同したので、三人で並んで座ってみることにした。

「なんか、緊張するなぁ。」

「さっきの上映では、結構評判良かったわよ。」


 美賀子の言葉を聞いて、貴正は少し安心をした。あいつの演技下手だっただの、デビルマソみたいな評価をされたらショックを受けていただろう。

「そうなんだ! 私楽しみー!」

 佐江は、ものすごく映画楽しみにしている様だった。そして、上映間際となり、教室が暗くなった。

「それでは、映画上映をはじめさせたいと思います。制作期間は、二週間弱という、厳しい状況でしたが、中々良い仕上がりになったと自負しております。皆様ご期待ください。」

 渡辺が、前置きを話した。そして、ついに映画がスタートした。


 スクリーンに『勇者の剣と囚われの姫』というタイトルが大きく映しだされた。つぎに、モノローグが流れてきた。これを担当しているのは、放送部の女性部員である。貴正は、ほとんど会話したことがないのだが。


 ――ここは、平和な国、バハムード王国。その王国には、それはそれは、美しい姫が住んでおりました。その美しさは、他国にも知れ渡っているほどです。

 美賀子さんすげぇなぁと映画を見ながら貴正は思った。

 ――ある日、姫が王様と王女と一緒に食事をしていたときのことです。突然、恐ろしい魔王が現れたでは、ありませんか。

 改めて見ると、貴正は、中々強引な設定だと思ったが、マリオもなんかそんな感じだった様な気がしたからいいかと考え直した。それに、ドレス服を着た美賀子はものすごく可愛らしさかった。撮影中、何度も貴正は見ているのだが、スクリーン越しから見ると改めて綺麗だと感じた。綺麗な銀髪の髪型と相まって、姫らしさが感じられた。会場が、「かわいー」だの「美しい……」という声がちらほら聞こえて来る。


「ぐへへへへ。バハムート王国の姫というのは、お前か。」

 早速、五十嵐が現れた。魔王もとい五十嵐は、ツノと黒いマントを身につけていた。横にでかい体格で魔王らしい風格が感じられた。半分以上は、衣装の効果だろうが。

「それじゃ、この可愛らしいお姫様をもらってくぜぇ!」

「お母さま! お父さま! 助けてー!」

「ま、待てー!」

 王様が叫んだ。中々、緊張感のある場面である。

 ――凶悪な魔王は、自分のお城に姫をさらってしまいました。王国軍は、お姫様を助けに、向かいますが、あまりの協力な魔力に抗えず、全滅させられてしまいました。王様は、姫を取り戻す手段を探していた時、隣国の伝説の勇者の噂を聞きつけます。王様は、噂を頼りに、勇者に会いに行きました。

 お、いよいよ俺の登場かと思い、貴正は、わくわくしてきた。

「あなたが伝説の勇者の勇者、スネーク様ですか?」

「ああ。俺は、三年前、この国に災いをもたらした竜を退治した。別に自分で勇者と名乗ったつもりはないが、周りは、そう言って来る。」

「お願いします! スネーク様! 私の娘を助けてください。魔王は強すぎて、誰も勝てません!」

「そうしてやりたいところは、山々なのだがな……三年前の戦いで、だいぶ俺の魔力が弱回ったのだ。」

「どうか、お願いします! 娘の命がかかっているんです!」


 王様は、土下座をした。土下座というと情けないイメージを持つものもいるかもしれないが、このシーンは、王様の覚悟を現れているいい場面だと貴正は、思っている。

「やめろ。一国の王様が土下座など……分かった、いいだろう。魔王を倒してやる。代わりに、お前の国で一番強い武器を貸してくれ。」

「ありがとうございます! では、私の国に古より伝わる伝説の剣をあなた様に授けます。その剣は、空をも切り裂いてしまうとも言われています。」

「そうか……それは、凄そうな武器だな。ぜひとも、頼む。」


 場面が変わり、バハムート王国のお城で、勇者が、王様から剣を受け取るシーンになった。

「これが、バハムート王国から古より伝わりし、伝説の剣、『フラガラッハ』でございます。」

「ありがたく頂戴した。」

 王様から、伝説の剣を受け取ったシーンは、厨二病心をくすぐられそうでグッときた。撮影で使われた剣は、ダイソーで買ってきた剣を頑張って改造して、カッコ良くしたものなのだが。

 ――こうして、伝説の剣、『フラガラッハ』を手にした、勇者は魔王を倒しにお城へと向かうのでした。

 次の場面では、フラガラッハを使いながら、魔王の手先を倒していくシーンになった。魔王の手先は、かなりの生徒が参加している。いつも裏方を担当している人とかも、このシーンにはエキストラとして参加していたりする。

 そして、ついにクライマックスシーンがやってきた。勇者VS魔王。貴正VS五十嵐である。

「お前が魔王か。俺の名前はスネーク。バハムート王国の王に頼まれ、お姫様を助けにやってきた!」

「スネーク……なるほど、聞いたことがある。数年前、どこかの国で、災いをもたら竜を倒したという勇者の存在を。それが貴様か。」

 改めて見ると、五十嵐の演技は、上手いなぁ貴正はと思った。低くニヒルを感じさせる声で、まさに魔王という感じだった。


「ああ。そうだ。お姫様を返してもらうぞ!」

 勇者は、魔王をフラガラッハを使って切りつけたが、全く効果がなかった。

「何だと!? フラガラッハが通用しないだと?」

「くくく……あははは! 伝説の勇者が聞いてあきれる。貴様は、フラガラッハをまるで使いこなせていないではないか。今度は、こちらからいくぞ!」

 魔王は、勇者に向かって電撃の魔法を放った。

「ぐわぁ!」

 勇者は、魔王の攻撃を食らって、倒れてしまった。やばい、勇者大ピンチだ! と貴正は思った。まぁ、勝つのだけれど。


「貧弱貧弱ゥ! ちょいとでも敵うとでも思ったか、このマヌケがぁ〜!」

 このセリフ完全にアウトだよなぁと貴正は、映画を見ていて改めて感じた。

「ダメだ……! 俺では、魔王に勝つことができない。」

「頑張って! 勇者様! 負けないで!」

 お姫様が叫んだ。お姫様の声を聞き、勇者は立ち上がった。

「お姫様……! そうだ! 俺は、勇者だ! 俺は、魔王なんかには負けない!」

 ――その時、不思議なことが起こりました。『フラガラッハ』が、光を放ち始めたでは、ありませんか。

 ナレーションが、仮面ライダーのご都合主義について説明するときのような説明をした。

「ど、どういうことだ! 魔力がどんどん上がっているだと……!」

「いくぞ! 魔王! これが、俺とお姫様の力だ! くらえ、俺の最強技、マキシマムブラストファイナルジャッジメントスラッーシュ!」

 やはり、くそ長い名前の必殺技だなぁと貴正は思った。

「ぐ、ぐわぁ! これが、伝説の勇者の力かぁ!」

 魔王は、光は放ちながら消滅していった。お姫様は、勇者に近づいてきた。

「ありがとうございます! 勇者様。あなたさまがいなかったら私、ずっと魔王に囚われていたままでした。」

「君を助け出すことができて、良かったよ。君の声がなかったら俺は、魔王に勝てなかっただろう。魔王を倒せたのは君のおかげだ。」

 姫と勇者は、握手をした。

 ――魔王を倒した勇者は、その後、お姫様と結婚をし、そのままバハムート王国で幸せに暮らしました。めでたし。めでたし。

 ナレーションが終わり、エンドロールが流れた。エンドロールには、貴正はもちろん、裏方の人の名前も載っている。たくさんの人の協力があって、無事映画を完成させることができたのだなぁと貴正は、エンドロールを見てしみじみと思った。





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