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19話

 待っている間、三人は、雑談することにした。

「彩香、そういえばテストで一番いいのはなんだったんだ?」

「世界史だった。あれが五十八点だ。」

 五十嵐が教えを説いた世界史が見事に結果として現れたようである。

「そうか。やはり五十嵐の教え方が上手かったからだな。」

 貴正は、五十嵐のことを褒め称えた。

「そんなことないよ。彩香さんの理解度が早かったからだよ。」

「いや、助かったぞ……五十嵐……お前がいなければ確実に詰んでいた。あんなに心が折れそうになったのは、三日間くらい何も食べるものがなくなったときだ。」

「どんな状況だよ! それ!」


 彩香達は、貴正と知り合う前に、森に迷い込み、数日間何も食べず、生死の境をさまよった経験が有る。

「あ……いや、なんていうか。遭難的なことしたことがあってだな……」

 彩香は、嘘を吐いて誤魔化した。

「そ、そうか。なかなか凄まじい経験をしてんだな……」

「彩香さん。一番悪かった教科は何だったの。」

「数学だ。一番時間をかけんだが、やはり限界があった。三十六点だった。」

「俺の苦労が……」

 放課後、貴正は、頑張って彩香に数学の指導をしたのだが、あんまり良い結果を出せなかったようだった。

「まぁ、赤点は取ってないから良いだろう。」

 彩香は、堂々と言い放った。

「ねぇ、貴正くん。前から思ってたんだど、いつも昼食で美賀子さん達といるけど、実際どう思ってるの?」

 五十嵐が、ラブコメの波動を感じそうなことを訊いてきた。貴正には、何のことか理解できなかったが。

「美賀子さんのこと好きじゃないの?」

 五十嵐が超どストレートに訊いてきた。

「な! 別にそういう風に見たことはねぇよ。磨衣子も美賀子もそれに彩香も普通に友達だって思ってるよ。」

「ふーん。漫画の主人公みたいなこというなぁ。」

「誰が漫画の主人公だ!」


「それじゃ、磨衣子さんは?」

 五十嵐は、またもや訊いてきた。さっき、友達だって思ってるって言ったばかりなのにと貴正は思ったがしぶしぶ答えることにした。

「磨衣子も友達だと思ってる。」

「いつも磨衣子のおっぱいを見てるだろ。」

「見てねぇよ!」


 貴正は、なかなか彩香の観察眼は高いかもしれないと感じた。麻衣子の胸に目をやると美賀子が邪悪なオーラを放つため、油断していたが、彩香もなかなかの洞察力であると思った。油断ならない。

 雑談をしていると、料理とドリンクが運ばれてきた。

「ご主人さまたち、美味しくなる魔法をかけますので、力を貸してください!」

「はい!」

 五十嵐が元気良く返事をした。

「おいしくな〜れ! 萌え萌えきゅん!」

 店員は、手でハートの形を作り、美味しくなる魔法を唱えた。

 マジやばくね? と貴正は思った。メイドマジやばじゃね?

「さぁ、皆さん一緒に!」

「お、おいしくなーれ……萌え萌えきゅん……」

 羞恥心で、貴正は、遠慮がちに魔法を唱えた。

「おいしくなーれ! 萌え萌えきゅん!」

 一方、五十嵐は慣れた感じで、手でハートの形をつくり、のりのりで魔法を唱えていた。

 五十嵐さん、マジパネェっすと貴正は思った。

「おいしくねーれ!萌え萌えきゅん!」

 彩香もそこそこ、ノリノリで魔法を唱えた。

「あれれ〜? そこのご主人様はなんか乗り気じゃありませんね〜? もっと力をいれて、魔法をかけましょう!」


 店員が貴正に視線を合わせた。あれれ〜って、お前は見た目は子供で頭脳は大人の探偵か! と突っ込みたくなったが、五十嵐と彩香が空気を読めみたいな顔をしているので、もっとノリノリで魔法を唱えることにした。

「おいしくな〜れ! 萌え萌えきゅん!」

「ぷっくくく……」

 彩香が、笑いをこらえた。貴正は、少々イラっとしたが、ここは我慢した。

「はい! よくできました!」

 店員が、貴正たちのそばから離れて、早速食事をすることにした。


「うん! やっぱり、にゃんにゃんにゃんセットは美味しい!」

 通いなれている五十嵐は、月並みな感想を言った。貴正も、注文したこころぴょんぴょんかれーを食べた。

「うまいなぁ! 本格カレー屋にも引けを取らないくらいのうまさだぞ!」

 貴正の好物は、カレーで、カレー屋で食べたりすることも多いのだが、メイド喫茶のカレーは想像以上の味であった。


 彩香は、ずっとあちゃちゃ焼きそばをずっとふーふーして、ほとんど食べていたなかった。

「熱くて食べられない!」

 彩香が料理に対して、文句を言い出した。名前の通り、あちゃちゃ焼きそばはあっつあっつの仕上りであった。

「お前、猫舌だったんだな。」

「いや、本当に熱いんだぞ。」

 実際彩香は、猫舌なのだが、彩香だけでなく、磨衣子や美賀子ももれなく猫舌である。理由はもちろん猫だからである。


「確かに、あちゃちゃ焼きそばは、熱もあつあつ愛情もあつあつで作ってる素晴らしい焼きそばだしね! 僕も好きなメニューのひとつだよ。」

「確かに味は美味しいな。熱いけど……」

 彩香は、ひたすらふーふーしながらあちゃちゃ焼きそばを口に運んでいった。


「そういえば、もう少しで文化祭があるね。」

 突然、五十嵐が文化祭の話題を切り出した。文化祭は、毎年、夏休みに入る前に行われる。去年の貴正たちのクラスはというと、偉人についての展示会を行った。貴正たちの学校は映画製作や占いの館などバライティに富んでいるものが多い。


「ああ、そういえばそうだった……手伝いめんどくせぇな。」

 貴正は、あまり文化祭に乗り気ではない。生徒は、強制的にクラスの出し物を手伝わされ、部活の練習の時間が減るというのもあるのだが、一番気に入らないのは、イチャイチャして学校を回るカップルどもが目に止まるからである。貴正は、地味に彼女いないイコール年齢をアップデートし続けている。

「いやいや、貴正くん。文化祭は、恋人を作るチャンスだよ! 僕も今年は力をいれているからね!」

「は?」

「え?」

 彩香と貴正は、真顔になった。二人ともまるで人類は衰退しましたみたいな顔をしていた。


「うう……そんな顔しなくてもいいじゃないか……」

 五十嵐は、とてつもなく落ち込んだ。

「わ、悪い。そうだな! 五十嵐ならきっと文化祭で彼女の一人や二人できるよな!」

「うーん、厳しそうじゃね?」

「彩香! お前、空気を読めよ!」

「貴正くん、ひどーい!」

 三人は、メイド喫茶でドッタンバッタン大騒ぎしたあと、お店をあとにした。

「彩香さん、貴正くん、今日は楽しかったよ。付き合ってくれてありがとう。」

「いや……こちらこそ。機会があればまた行こうな。」

「そうだな。それじゃ、五十嵐、貴正、また学校で!」

「ああ、またな。」

 貴正は、二人に別れを告げ、帰宅することにした。


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