迷いと決意
頭の中はぐるぐるしていた。約束の日が、明日に迫っているのに! ノノヰが既に結婚していただなんて。しかも……、こんなに美人と。
私が到底敵わなさそうな、姫君と。
でもどうして……。新聞の情報を見ると、最後にノノヰに会った翌日のものになっている……!
これは、つまり。私をコオトギ・メイロに連れ込んだあの日は、結婚前最後の遊びだったということなのではないか……? 婚活パーティーの場には、既婚なのに遊び相手を探してやってきた不届き者が紛れ込んでいることもあると聞く。よりによってノノヰがそうだとは思いたくないが。もし、一時の気の迷いでパーティーに来て私を誘い、恋人ごっこをした挙げ句使い魔に変えることで縁を切ったつもりでいるとしたら。じゃあ、だとしたら、何故無視せず今になって誘われたんだ……?
……私が先に狼煙を上げて連絡したからだ! 私と最後の日を過ごして満足したのに私に催促されたのだと思われて!
でも私は、あなたの正体を知ってしまった。さえずり姫のお婿さん。既婚者。だから、もう付き合えないよ……。
さえずり姫さんを大切にして……。
私は『使い魔の証』でその想いを、新聞紙にくるんで送りつけた。途端にノノヰからメッセージが返ってきた。
「黙っていてごめん。彼女とは婚約までしていたけど、破棄されてしまったんだ」
そんな、分かりやすい嘘を! でも、でも……万が一これが本当だったら? 揺れる私は、決意した。
「そんなの信じられない! じゃあ……、じゃあ明日は他の人を一緒に連れていきます!」
もし、ノノヰが既婚者で、更に嘘を重ねるようなら、さえずり姫が可哀想だ。ここは二人きりで会ってはいけない、私はそう思った。




