デート……テーマ・パークで惑わされ?
約束の日の午前0時、実は寝付けないで待っていたところ、ノノヰからの手紙が届いた。おっ、早速――、
本文は無く、どこかのテーマ・パークの門の写真だった。はて。首を傾げているうちに、私の周りに虹色の竜巻が発生する。何だ何だ、これは?
私はテーマ・パーク、コオトギ・メイロにドレス姿で召喚されていた。いやー、いつかコオトギ・メイロに連れて行ってくれるとは言っていたけど、手紙を通していきなりか! 真夜中のテーマ・パークというのも乙なものだよ。
チューリップ咲き乱れる花壇に、ぽっかりとスポットライトのような穴が開いたと思うと、そこから黒マントに仮面をつけたノノヰが現れた。
「花粉症がひどくてねぇ」
花粉症、という庶民的な共通点を異世界人に発見して嬉しくなった。
二人貸切のテーマ・パークで、私たちは思いっ切り遊んだ。
夜明かりで神秘的に輝く青白い砂浜でベタなのお互い分かってて駆け回るとか、知り合ったばかりなのにもうバカップルの域なんじゃないか、と思うくらい楽しかった。
最後にはコオトギ・メイロ名物の迷路の中に誘われた。ノノヰは急に静かになる。……おお、告白か? 告白の空気なのか? 期待を昂らせて着いていく。どこまででも着いていきたかった。
曲がり角で途端にパッとノノヰは消えた。あちこち見渡しても最初からそこにいなかったようにどこにもいないのが分かった。一人取り残された私は不安になる。
そういえば、コオトギ・メイロをどうやって貸切にしたんだろう。もしかしたら魔法で無断で開いてるだけだったりして。
……この迷路は本当に日本のテーマ・パーク、コオトギ・メイロのものなんだろうか。
行先の道がぐねぐねと、どこまでも迷わせてどこへも辿りつけない気がする。
焦り始めた私は、歩みを速めたが疲れるばかりだ。背中が重い。引き留められているのか、突き放されているのか。……ノノヰは、私をからかっているの? やがて、気が段々遠くなってきて――。
目が覚めた時は家のベッドの上だった。
「はっ、夢落ち……?!」
寝違えたのか背中が痛む。突っ張った服の上から触ってみると、大きくて痛まない出来物のような、柔らかい何かに触れた。
振り向くと、異様に盛り上がった背中が目に入った。
慌てて引っかかる服を難儀しながら脱いで鏡の前に立つと、私の背中を割って勢いよく吹きだして固まったマグマのような赤黒い翼が、堂々たる様子で生えていた。混乱しながらベッドに戻る。翼を意識しながら歩けば早かったが、この翼では飛べないし家具によく引っ掛かって歩きにくい。触覚はあるが痛覚はない、私のもののようなそうではないような奇妙な感覚……。
ようやくベッドにたどり着くと枕元には「昨晩はありがとう」のノノヰの言葉と、「使い魔契約書」の写しが置かれていた。
使い魔契約って……何?




