いざ、婚活パーティーへ!
婚活パーティーというものは、まず男女一組になりプロフィールカードを交換しておよそ三分の自己紹介をする。そして休む間もなく次々と入れ替わる男性と自己紹介し合い続けるのだ。俗にいう、「回転寿司タイム」。この異世界婚活パーティーでもそれはあった。
「あなた、人間ってのはつまり何ができんの?」
アクセサリーをじゃらじゃらつけたエルフの男性がピアスを数十個つけた長い耳に指を突っ込んで聞く。
「えーっと、その……」
私は圧倒されて口ごもる。「人間」ってだけで興味を得るのは難しかった。見渡せば、私以外の人間女性は美人で明るい人ばかりのようだ。異世界人とはいえ、相手も男性。美人で、会話のネタもある女性の方がそりゃ楽しいだろうね。
「住んでるところ、支山町? あー聞いたことありますね」
「は、はい。よくご存じで……」
「うーん、雪がすごそうですね。田舎だ……」
火吹き人だという白髪の男性がわずかに顔をしかめる。私が沈黙したのに慌てて
「あ、いや、いい意味でですよ」
とフォローしてくれたのだが、プロフィールカードには「人間社会の文明の最先端を期待して日本に!」って書いてあったでしょ。分かっています……。
私自身にも、私の地元にも魅力がないんだってことは、薄々分かっていた。
回転寿司タイムの後は、自己紹介で気になった異性の元へもっと話を続けに行く、「フリータイム」が存在する。なお、この時に気になった人にミニラブレターという小さなカードを送ることも出来る、のだが。
フリータイムで私は壮大な孤独を味わった――。
電車を乗り継いで降り立ったのは薄暗い帰り道。家まではまだ先だ。選ばれないことでこんなにダメージがあるとは思わなかった。
こんなことなら東京からこっちの方に来ているおばさんに会いに行けばよかった。
今日は遠くの叔母が来ていて会わないかとの誘いがあったのだが、婚活パーティーのために行くのを断念していたのだった。
結局婚活は何の成果もなかったし――。ふと思う。
おばさんもしかしたらまだ東京に帰ってないかも。携帯に連絡したら……駅にいた! ちょっとお茶くらいして帰れる!
「実は今日婚活パーティーに行ったんだけど、フリータイムで誰も来てくれなくて……」
お茶をしながら、おばさんにそう打ち明けたところ、
「朱奈ちゃん、そういう時は自分から行かなきゃー」
とアドバイスされた。私ははっとした。そうか、そうだよね……。
せめてもう一回は異世界婚活パーティーに行って、後悔のないようにする! と再び決心し直したのだった。




