そして……パーティーへ戻っていく……
RUITOとのやりとりが、あ、これFOってやつだなと分かり始めた私は、異世界婚活パーティーを再び検索するようになった。
FOとは、フェードアウトの略でつまり自然消滅のような形である。まあ、私とRUITO氏は付き合っていないどころか実際に顔を合わせたこともないくらいなので特にダメージは無かったというか、やっぱりノノヰの思い出が強すぎるというか……。
そんな中、異世界婚活パーティーがジャスト地元支山市で行われるという情報を発見した。
い、行ってみるか、これ……。
このパーティーは男女比が2対1くらいの女性が少ないパーティーだった。
ただし異世界人男性のメンツは、そもそも人語を介さなかったりコスプレをしているだけの人間っぽい男性だったり、私の琴線にかかる男性に欠けていた(何様だよという感じだが)。更に回転寿司が高速なのでメモを取っていても誰が誰やら状態に陥りかけていた。
なんか向こうにすごく太ったオーク男性がいるなぁとか、白衣着たアフロ髪男性がいるなぁ博士かなぁとか目の前にいない人の方が不意に目に入って集中しづらかったが、博士じみた男性が目の前に来たので我に返った。
「ほおう、眼鏡ですか」
彼は私のプロフィールカードを見て言った。
「え、あ、はい」
そういえば、好みの男性欄に「眼鏡男子」と書いていたのであった。
「自分はどうでしょう?」
彼はぐるぐる瓶底眼鏡をくいっと持ち上げ、ニヤリと笑った。
「えっ、えーっと……お似合いなんじゃないですか?」
私はちょっと焦って答えた。少しだけ、話してみた感触がノノヰに似ている気がした。
プロフィールカードを見るとこの男性の名前は「三途瓶造」であるらしかった。この回転寿司で印象に残った男性といえば瓶造だが、……やはり、ノノヰには敵いそうもない。
今回は、ミニラブレターを誰にも出さずにおこうと決めた。
そして、フリータイムに入る。
さすが2対1の男女比、といったところで、私の前にさえ男性が絶えなかった。二人同時に来ることさえあった。ろくろ首と透明人間の二人、どっちに耳傾けていいか分かんない! 顔をあっちこっちやりながら話している途中、進行役に用紙を手渡された。
こ、これはミニラブレター?! 差出人は、瓶造さん? いやいや、ノノヰにも誰にもこれ貰ったことなかったのに、瓶造さんのどこに私が引っかかったのだろう……。
「やはり『眼鏡男子』がタイプなところが気になってしまいまして……」
瓶造はフリータイムでも私の元へやってきて、ニコニコしながらそう言った。
ニコニコしながらも、ボトリ、と頬を机に落とした。
「失礼」
爛れて紫に変色した手で頬を拾い上げて元通りにくっつける。
瓶造さん、何の種族かというと――ゾンビ、であった。