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婚活のスタート、こういうのもアリ……?

 元々、自分が結婚出来るタイプだとは思っていなかった。

 婚活の話もエッセイ漫画やネットの記事などで読んではいたが、どこか遠いお話。

 十代の頃の私、旗下はたした朱奈しゅなは、現実の人間には期待を持たず、青春というキラキラした世界とはあまり縁がなかった。そうしているうちに憧れたファンタジーの世界だって所詮「二次元」という次元の向こう側。

 だから、いくらインターネットの世界がSNSの発展とともに異世界と通じ始めていたとはいえ、やっぱり画面の向こうなのには変わりがなくて、自分とは遠い世界だと思っていた。


 社会人になり、魔法書館の下っ端魔職員となって、多少は異世界に関われる? とは思ったが、所詮、書を通して向こうの世界を垣間見ることができるだけにすぎなかった。まあ、新しい情報とか入って来て興味深くはあったけれど。

 その勤めている魔法書館を28歳で期限切れ退職することになり、思い切って東京ビックリサイトで年二回行われる異世界との交流祭典に行くことにした。そこは活気に溢れ、この世とは思えないほど鮮やかな会場だったが――、それでも私は「異世界」までは行くほどの気力はない……。

 帰りがけに、ツノのある異世界人と人間のカップルが歩いているのを見かけ、「あ、こっちの世界にいる異世界人と一緒に歩くのはありかも……」と、ふと感じたのは小さな発見ではあった。交流祭典がよく開かれ、異世界人が作ったとされるテーマ・パーク「コオトギ・ランド」もある東京ならまだともかく、私の地元で異世界人に出会い、更に関係性を築くなんてのは夢のまた夢だったが。実際交流祭典で会った異世界人も、イベントの人どまりだった。ビックリサイトからの帰宅途中、思い立って以前からのネット知り合いの異世界人美少女にコオトギ・ランドでのオフ会を持ちかけたものの玉砕し、うっかり涙ぐんでしまった。


 家に戻った私を待っていたのは、魔法書館の元同僚女史の婚活へのお誘いだった。元同僚は婚活に熱心で、普通に家庭を持って普通に子どもを産んで……という将来設計がちゃんとあって、バイタリティに溢れた女性である。異世界への興味は元々なかったが、魔法書館に勤めるにあたってちゃんと魔法書司の資格も取ってしまった。私とは違って。……そんなわけで、元同僚からのお誘いは断ることにした。

 しかし――、婚活。私もそういう年齢になってきた、ということだろうか。

 28歳独身が売りのアニメキャラと同い年になったし――。婚活エッセイ漫画を開いてみても、面白くはあってもいまいち自分に置き換えることが出来ない。結婚に夢があるわけでもないし。

 夢があるとしたら、むしろ異世界への夢――。

 ふと「異世界 婚活」というかけ離れたワードで魔法書の検索をかけてみることにした。すると――

「異世界交流婚活パーティー」なるものが、私の地元……ではなく、少ーし離れた都市で開催されることが判明した。

「これは……」

 この、タイミング。行ってみるべきなのかな……。たとえばパーティーで男女問わず知人が出来れば、「コオトギ・ランド」のようなテーマ・パークに遊びに行くことだって出来る。

 私は、この異世界婚活パーティーに参加することに決めた。

 うん……一度試しに行って合わなければやめるとか、30半ばになってから真剣婚活に切り替えるとかも出来ることだし!

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