3.5 -Boys Side-.
「そういやさ、たっちゃん最近どうよ?」
「どうって、何がだよ」
「いや、勉強のこととかいろいろ」
「あー、まあまあぼちぼちって感じかな……雅彦、そこの棚からケチャップ取ってくれ。彩菜、ケチャップ無いと不機嫌になるんだ」
「なんだよぼちぼちって……。ケチャップは一番安いやつでいいのか?」
「ま、少なくとも現役時代よりは出来るようになってるだろ。あ、それじゃなくて下から二番目の棚にある輸入モノのやつ取ってくれ、あいつ気に入ってるんだよそれ」
「確か夏に入試受けるんだろ? 秋入学やらなんとかの。えーっと、輸入モノ輸入モノ……、ほいケチャップ」
「そうそう、あと一ヶ月くらいでな。ケチャップサンキュー」
「ふーん、手ごたえのほうはどうよ」
「まあまあな感じだな、まだ今年が初めての入試形式だからなんとも言えないけど。あとそこ曲がって左行けば粉モノだから」
「おー、なら期待できそうだな」
「何に期待されてるのかは分からねえけど精一杯やるわ」
「何にってそりゃ、彩菜ちゃんとの関係っしょ」
「…………なんでその話がいきなり出て来るんだよ」
「え、お前受験終わったら彩菜ちゃんに告るんじゃないの?」
「なんでそうなるんだよ、まだ分かんねえっての。あ、そこの一番下の段にナンの粉あるから取ってくれ」
「えー、絶対お前ら両想いだと思うんだけどなぁ。粉、何人前買えばいい?」
「なわけねえだろ、俺あいつに散々酷いことしてきたし。えーっと、家に二人前はあるから、余裕見て四人分買ってくか」
「いやー、俺としては彩菜ちゃんがお前に気があるとしか思えないけどなぁ……。ほれ四袋」
「それはただ単にお前の目がフシアナなだけだろ。粉サンキュ」
「んー……そうだ、いいこと思いついた」
「いや、言わなくていい」
「えっちょっひどくね?」
「お前のいいことが俺にとっていいことだった試しがない。これで買い物終わりか?」
「えーっとだな、思いついたんだけどさ……」
「……結局言うのなお前」
「まあまあ、聞くだけ聞けっての。あのさ、もしお前が大学受かったら、彩菜ちゃんに告るってのはどうだ?」
「却下」
「なんでだよーっ、いいアイデアじゃねえか」
「俺は成功する確率がゼロのことはしないの」
「マジメな話、俺は成功確率九五パーセントくらいだと思ってるけどな」
「天気予報の降水確率並みに信頼できない数字ありがとう」
「こんのクソ野郎め」
「ほざいてろ。ほれ、レジ行くぞ」
「あ、俺ジュース飲みたいからそっちも寄って行きたい」
「……ったく。そこ真っ直ぐ行って惣菜コーナーの手前で右な」
「了解。つーかそもそも、好きでもない人間に三ヶ月も料理教わるわけないだろ」
「まだその話続けるのかよ……。ま、それに関しちゃ幼馴染同士の腐れ縁的なアレだろ」
「あーもう、、お前はホントに朴念仁っつーかなんつーか……」
「ひでぇモノの言い様だなお前」
「いやー、ここまで来るとむしろ彩菜ちゃんが可哀想になるレベルだね」
「勝手な妄想で話を進めるんじゃない」
「まあまあ、とりあえずさっきの話考えとけよ。据え膳食わぬは男の恥、ってな?」
「……なんだか何かが間違ってる気もするけど、まあ一応頭の隅っこにはな」
「おう、そう来なくっちゃ。で、何飲む?」
「お前の好きでいいけど、彩菜は確か炭酸苦手だったと思う」
「おっけ、そしたらオレンジジュースとリンゴジュースでも買ってくか」
「ストップ。どっちか片方アイスティーにしてやってくれ、あいつ好きなんだ」
「……それじゃ、オレンジジュースとアイスティーでいいか?」
「ん、それでいいんじゃね。あ、あいつ無糖派だからそっちのやつな」
「了解。…………ったく、ここまで自分のことを考えてくれる男のこと、好きにならないはずねえだろうが……」
「ん、何か言ったか?」
「ああ、世の中の不条理さを嘆いてたとこ」
「???」




