3.5 -Girls Side-.
「ねえねえ彩ちゃん、それで結局どうなったの?」
「どうなった、って?」
「やだなぁ、たっちゃんとの話だよ」
「え、あ、うん、えーっと」
「……もしかして、ここ最近何も無かったの?」
「…………うん」
「んー、そっかー。少なくとも、たっちゃんが彩ちゃんのこと嫌に思ってるはずないんだけどなぁ」
「そうなのかな……」
「絶対そうに決まってるって。少なくとも、自分の嫌いな人間に三ヶ月料理を教えるってしないでしょフツー」
「でもさ、もしかしたらお姉ちゃんに言われて嫌々やってるだけなのかもしれないし」
「それだけは絶対に無いから。あーもう、彩ちゃんはたっちゃんの話になるとホントに心配性になるなぁ」
「うー……、ごめん」
「別に謝らなくていいけどさ。大丈夫だって、その辺は私が保証するし。むしろ私の見立てだと、たっちゃんって九割くらいの確率で彩ちゃんのこと好きだと思うし」
「ふぇっ、ほぇぇ!?」
「おー、かわいいリアクション。顔真っ赤にしちゃって」
「んもー、からかわないでよみっちゃん」
「からかっちゃいないんだけどなぁ。というかこんなかわいい反応見ちゃったら、男なら誰でも惚れるって」
「や、やめてよぉ……」
「ったく、かわいいなぁ……。……まあいいや、で、これからどうするの?」
「……まだ、しばらくは何もなくていいかなって思ってる」
「え、どゆこと?」
「だって、最近達也くん頑張ってるし、変なこと言ってもなぁって思って」
「ん、そっかそっか、それじゃあ受験終わったら言うの?」
「…………わかんない」
「彩ちゃんは、それでいいの?」
「……わかんないけどさ、ちょっと怖いんだ。今こうやってみんなで一緒にいられるのがすごい楽しくて、それがなくなっちゃうかもって思うと、嫌でさ」
「だーかーらー、その辺は絶対大丈夫だからさ、安心してよ。それにさ、もし二人が気まずくなったら、私とまーくんでめっちゃ頑張ってどうにかするし!」
「……ふふ、ありがと」
「それにさ、そういうこと言ってるとあっという間に誰かに取られちゃうよ?」
「え……?」
「だって、たっちゃんって家事出来たりコミュ力高かったりで地味にスペック高めだし。女子恐怖症なくなった今なら、大学入ったら割と人気になるんじゃない?」
「……そんなもんかな」
「そーそー。だから、私としては早めのアタックをおすすめするかなー」
「……そっか」
「ホントはたっちゃんの方から来てくれたほうがいいんだけどねー。あいつ、案外オクテというか朴念仁というかそういうとこあるから」
「…………よし、私、決めた」
「ん、何を?」
「たっちゃんが大学受かったら、私たっちゃんに告白する」
「おー、がんばれがんばれー」
「うんっ、がんばるよ」




