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エピローグ

ここは『ヴィーナー・シュニッツェル』という異世界。

地球よりも広大な大陸が世界の九割を締め、その周りに海で成り立つ世界。

大陸には、四つの国家と一つの神聖国が存在する。

四つの国家は、ほぼ当分の面積で国土が分かれて、四つの国家が接するところに円で描いたような神聖王国がある。


神聖王国『クイニーアマン』は、この世界の女神『ヴィーナー』を祭る宗教国家である。

この世界の人間種や獣人など種族を問わず、女神『ヴィーナー』を信仰する信者である。

四つの国家とは、

 エルフの王族が治める『フィナンシェ』、

 百獣の王・獅子人が治める『シュトロイゼル』、

 大統領民主政の人間種の『フロニャルド 』、

 自由貿易国家の商人連合代表が治める人間種が治める『ダックワーズ』

である。


神聖王国『クイニーアマン』の中央に鎮座する大神聖堂の地下、青白く輝く女神『ヴィーナー』の像がある祭壇の前に神聖王が祈りをささげている。

その祭壇の手前には、四つの国家の王が円卓を囲むように座っている。


「一週間前のことだ。我が国『シュトロイゼル』の土地で、金色に輝く神の柱を見たと報告があった」


他の王が感嘆の声を上げる。


「それは本当か、百獣の王よ」

「間違いない。大統領よ」

「ふむ。だとすれば、数百年ぶりの揺さぶりが起きたのかもしれぬな」

「エルフの女王よ。あなたなら数百年前のことを知っているのではないかね」

「商人の王よ。わらわもまだ子供だったゆえ、詳しくは知らぬが。そのときはダークドラゴンを倒した英雄しかおらんかったようじゃ」

「確かにその英雄譚は、子供なら知っている童話だ。確かドラゴンを倒したのち英雄殿も命を落とされたとされているが」

「いかにもじゃ。故にその時もヴィーナー様の願いは達成されておらん」

「ヴィーナー様の悲願、魔王の討伐…」


「皆の者、鎮まれよ」


祈りを捧げていた神聖王がゆっくりと立ち上がり、四人の王に向く。

一斉に口を閉ざす。


「女神ヴィーナー様からの啓示が下りた」

「おおおっ」


神聖王が横に手を振ると、空中に八枚のパネルが映し出される。

そのパネルには、転生者の顔と名前、地球の世界の時の名前が表示されていた。


「この者たちが転生者ですか」

「この者の中に神の子、神人がおると示された」

「神聖王。その神人様が、『シュトロイゼル』にて目撃された金色に輝く神の柱と関係あるということですか」

「……」


神聖王の無言の肯定。

しかし、その神人がこのパネルの八人の誰かは分からないらしい。


「枢機卿トム・デ・ボージュよ」


祭壇の隅に神官ローブを着た小柄な人間種の女性がいた。

フードを取って顔をさらけ出す。赤い髪のツインテールで、そばかすが残る幼い少女をイメージさせた。


「この中に知っている顔があるか」

「こっちのダークエルフの女性とぉ、ルナールの男はぉ、知り合いだわん」


声質は幼い声だが、とても少女とは思えない口調。そう、おかまのような口調。


「この二人わぁ。私のオカマバーの常連客よぉん」

「おかまばー?」


四つの国の王が聞きなれない単語に首を傾げる。

この枢機卿は、八枚のパネルのうちの一つにその姿を映した転生者なのだから。

神聖王は、動じない。


「ならば行くが良い。この二人と接触し、我らが信仰する女神ヴィーナー様の願いを助ける手助けを行うのだ」

「わかったわぁん。任せてぇん」


四つの国の王が、同じ思いを抱いたのは、この時初めてかもしれない。


((こいつで、大丈夫なのか))


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