表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/34

後悔先に立たず

人が生きていく上で、「後悔しない」という事はないのではないだろうか。

もちろん後悔の無い人生が送れればそれに越したことはない。

「反省」はするけれど、「後悔」はしない!などとおっしゃる方もいる。

確かに、私もそうありたいと願っている。


でも、実際私の日々は「後悔」の連続だ。

一言多かったなぁ、または一言足りなかったかな・・・。

あれ、やっておけばよかったな・・・。

考えが浅かったな・・・。


それほど大きな後悔ではなくても、続くとそれはそれで徐々に効いてくる。

それが溜まりに溜まってくると、(こんなんで、私何のために生きてるんだろう・・・)という、これまた飛躍した後悔に発展してしまうのだ。

どんな人だって生きる価値はある。

生まれてきた意味だってある。

むしろ生まれてきたことそのものが生きる意味なのだ。(なんだか禅問答のようだが)

そんな事は頭ではわかっていても、やらかしてしまった事への後悔、すべき事をしてこなかった後悔は、どうしても拭えないのだ。

これは年齢や経験値の問題だけでもなさそうだ。

若年であっても、中年であっても、はたまた高齢者と呼ばれる年代になっても、後悔は容赦なく襲ってくる。


そして最近私は「やらぬ後悔よりやる後悔」ともいえる事をまざまざと経験した。

これは、行動しない後悔よりも、行動して後悔した方が良いという意味のことわざで、確かに今までの自分もそうあるべきと思っていた。なのに、今回は色々な事が重なってどうしても行動に移すことができなかったのだ。

元来慎重な性格で、石橋を叩きに叩いて「よし、大丈夫」と思っても、いやまてよ、次に一歩踏み出したらガラガラくずれるかも?と考えて結局渡らないというくらいの性格なので、確かに思い切って行動に移すという事は苦手なのだが、さすがに今回は後悔が大きかった。


あるイベントに参加するつもりで、同行者を募り、駐車場や行き方を考え、行くつもり満々だったのだが、妹のある一言が私を愕然とさせた。


『来週お父さんの命日だよね。お墓参りいつ行く?』


そう。私は父の命日をすっかり忘れていたのだ。

もちろん、イベント当日が命日という訳ではないので、墓参りに行けないわけではないのだが、自分の事しか考えず浮かれていた自分が心底恥ずかしかった。

私は妹に事実を白状し、『戒めの意味も込めて、今回のイベントは参加しないことにするわ』と伝えた。


それから、もうひとつ懸念事項があった。

それは、イベントの当日が市内一斉清掃日だったことだ。

常日頃、車いすユーザーの私はそういった自治会の行事には参加できないことが多いため、その時間帯は遊びになどいかずに家で待機というのがせめてものお詫びの気持ちの表し方だった。そんな事は誰も知らないし、自己満足この上ないのだが。


それでも妹は、『毎日お仏壇にお線香あげて手を合わせたり、お寺さんの対応だって一人でやってるんだからいいんじゃない。それに次いつ行けるかわからないよ。行けるときに行っとかないと』と言ってくれた。それでも私の気持ちは晴れなかったが、妹の最後の言葉が私の気持ちを大きく揺さぶった。


「次いつ行けるかわからない。行けるときに行っとかないと」


最近の私は、これから残された人生で、いったいどれだけの事ができるだろうと考えるようになっていた。

年齢を経て体調面で不調が出てきたことは否めないし、自分の力で動ける残された時間が人より限られていることもわかっている。

だからこそ、妹の言葉が刺さったのだ。


それでも、当日まで悩みに悩んだ挙句、結局どうしても行く事ができなかった。

何がそうさせたのか今でも説明はつかないが、一言で表すとしたら色んな意味で『思い切る』という事ができなかったのだと思う。

命日を忘れていた事を反省し、常日頃支えて頂いている周りの方に感謝しつつ前に進むという勇気を持てなかったのかもしれない。

ただ、行動に移してもさすがに間に合わないという時間になると、猛烈に『後悔』が襲ってきた。

そして翌日以降もSNSなどでそのイベントがとても素晴らしかったとの感想投稿を目にする度に、心臓がキュッと締め付けられるような感覚を覚えた。

もちろん行くことによって何らかのアクシデントに遭遇し、結果的に後悔する可能性もあったかもしれないが、今思えばまさに『やらぬ後悔よりやる後悔』だった。


今回の事に限らず、いずれ私の寿命が尽きてあちらの世界で父親に会うことがあったら、自分の人生が幸せなものだったと自信を持って言えるよう、自分自身を大切にして生きていかなくてはならない。


ただ楽しむという事だけではなく、精一杯生きたと言えるよう毎日を過ごしたい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ