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ひたすらインプットの日々

最近は読書によって心を動かされる事などほとんど無かった。

というよりも、本を読む事すらここ何年もご無沙汰の状態だった。

プライベートは確かに落ち着かない日々ではあったものの、読む時間が全く無い訳ではなかった。なのに、何故か本というものに手が伸びなかったのだ。


以前は、会社の帰りや休みの日に書店に行く事もあったが、車いす生活になってからはわざわざ書店に行くという事が無くなってしまった。

店頭での買い物は必要最低限しかしなくなったし、生活必需品はオンラインショッピングでほぼ賄えていたからだ。

それに、紙の本は持ち歩くのも荷物になるし、家の中でもかなりの保管場所を要するのでなるべく購入しないようにしてきた。


そこで重宝していたのが電子書籍である。

これまでも、とある携帯キャリアのアプリで電子書籍の読み放題ユーザーとして登録はしていたものの、なかなか自分の読みたい本が読み放題の書籍として登録されておらず、なかなか活用しきれていなかった。それが、ひょんなことから〇indleにお試し登録したところ、興味を惹かれる本をあれこれ読み放題で見つけることができ、そこからは寸暇を惜しんで読書にいそしむ毎日となった。

会社での昼休みや帰宅してから寝るまでの時間など、少しの時間でも毎日読書に時間を費やすようになったのだ。

元々本を読む事は好きだったし、何しろこうやって文章を書くという作業をしているのだから、色々な作品を読むということは大切な事に違いない。

その中でも、最近特に心を動かされたのが、次の2冊だ。


「賢者の書」 喜多川泰 著

「エミリの小さな包丁」 森沢明夫 著


「賢者の書」は喜多川泰氏の著書の中で私が初めて読んだ作品だ。

サイードという少年が祖父に促されて旅に出ることで、数人の賢者と出会い、そこで様々な教えと、「賢者の書」を完成させるための「ピース」を手に入れる。

それぞれの賢者の言葉も、なるほどと納得させられる金言ではあったが、のちにサイードと出会うことになる、これまで何をやってもうまくいかなかった50歳代のアレックスが、自分自身の人生を振り返って述べたことが衝撃だった。


『一生懸命生きているのに成功や幸せとは縁遠く自分は運が悪い』

『こんなに失敗ばかり続くのだから、自分は価値のない人間だ』

『そのくせ、自尊心が強くプライドを保つために他人の持っているのと同じものを手に入れることが幸せだと思い込んでいた』

これらの言葉だけではないが、アレックスが自分を考察して発する言葉は、まさに私に向けられた言葉のような気がしてハッとした。

ここまで後ろ向きではないにしても、自分の現状をどこか『運』や『環境』のせいにして生きてきた気がするのだ。


この「賢者の書」という作品は、定期的に何度も読み返して自分に落とし込んでいくべき作品だと思った。


もう1冊、「エミリの小さな包丁」は久しぶりに号泣した作品だった。

物語は、都会での生活に傷ついたエミリが、しばらく疎遠だった海辺の田舎町に住む祖父と暮らし始めるお話で、エミリと祖父を中心にストーリーは淡々と進んでいく。

「包丁」がタイトルにあるとおり、二人で料理をする場面も多々あり、その料理シーンを読んでいるだけで食欲をそそられる場面も多かった。

ただ、それで油断していたのもあったかもしれない。

エミリが都会を離れることになった理由が、町中に知れ渡ることとなり、偶然二人が町民の話す陰口を聞いてしまったシーン。

そこは当然怒るとこでしょ!と思うところで祖父が言った言葉が、私の涙腺スイッチを押してしまった。周りに誰もいなくてよかったが、本を読んであそこまで泣いたことは本当に久しぶりだった。

なんと言ったかはここには記さないが、興味のある方はぜひ読んでみていただきたい。


祖父の言葉は一見優しいだけのようにも聞こえるが、読み進めると決してそれだけではないということがわかる。

本当の優しさは強さがもたらすとは、まさにこの事ではないかと思う。


本を読む事で、自分を見つめ直したり、心動かされる体験をすることができる。

スポーツでも、旅でも同じような体験はできるだろうが、私の場合は読書が手っ取り早い。

しばらくは「インプット」中心の日々になりそうだ。

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