敬称の違和感
その昔、私が子供の頃は学校で友達を呼ぶときは、男の子は「〇〇くん」、女の子は「○○さん」が普通だった。女の子は「○○ちゃん」も多かったし、あだ名でも普通に呼び合っていた。でも、今は男女ともに「〇〇さん」と呼ぶらしい。
これは、ジェンダー的な公正さや、本人が不快に思うあだ名呼びがいじめや不登校につながる事を考慮しての事だそうだ。
そして、職場で上司が部下を呼ぶときは「○○!」と呼び捨てにすることもよくあったが、私の知る職場では今ではこれも禁止されており、お互いを「○○さん」と呼ぶようにしている。これは、部下が上司を呼ぶときにも「○○部長」、「○○社長」などとは呼ばずに、全員をお互いに「〇〇さん」と呼び合うのだそうだ。
これも、呼び捨てにされることに嫌悪感を抱く社員もいる事を前提にしての配慮のようだ。また、上司に「部長」や「課長」などの敬称をつけないのも、上下関係なく意見を言い合える環境作りと、同じ階級でも部長とそうでない人がいるといった少々複雑な人事的な問題もあるのだと思う。
ただ、私が違和感を覚えたのはこのような事ではない。
例えば、テレビ番組や雑誌のインタビューの時に、ある芸能人が他のバンドやアイドルなどのグループ名を呼ぶときにこんな風に言わないだろうか。
『ずっと、SMAPさんを目標にしてきました』
『最近よく聴くのは、BTSさんの曲ですね』
グループ名に「さん」をつけるようになったのは、ここ最近の事だと思う。
確かに個人名であれば、さすがに公の場での呼び捨ては失礼にあたるだろうが、果たしてグループ名に敬称が必要だろうか。
そこに、尊敬の念や強い憧れがあって自然に敬称を付けて呼んでしまうのであればもちろん結構な事だが、果たしてそのグループのメンバーは自分のグループ名に「さん」を付けないで呼ばれる事で嫌な気持ちになるだろうか。いつから誰が始めたのかわからないが、今となってはそれが当たり前になってしまい、「さん」を付けないで呼んだりしたら、きっとその熱狂的なファンにSNSなどで叩かれるのだろう。
先に書いた学校や職場の例も同じだが、本来お互いに尊敬や信頼関係があれば、呼び捨てだろうがあだ名だろうがきっと問題ないのだと思う。
当人同士の気持ちという本質を考えずに、周りが気をまわしすぎるのも如何なものかと・・・。




