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土地神ライフ  作者: KUMA
8/68

第8話 再建開始、語り手も交代?

挿絵(By みてみん)

イラスト:めたるぞんび様(http://ncode.syosetu.com/n5228ct/ @METAZONE_2015)

ど~も、土地神のマコトです。

何かを忘れてる気がしますが、まぁ良いでしょう。


神界で陽光さんから代行証の手形を貰い、地上に転送されました。

目を開けると境内の真ん中、ちょうど石畳の分岐点に立っている感じです。


陽光さんは前と同じように半透明の状態で私の前に浮いてますよ。

地上ではこれがデフォなんですかね?


「何か変な事考えてるな? 時間は有限、さっさと札を貼ってこい」

「……札? 私、陽光さんから貰った式神のモノ以外には持ってないのですが」

「あ゛?」


彼は少し考えると、頭を掻きながらめんどくさそうに答えてくれた。

何ですか? 陽光さんのクセなんですか、その仕草は?


「馬鹿野郎ぅ、よく探してみな。俺は確かに渡してる」


馬鹿野郎も口癖と、……むむ、ならば探してみましょう。

懐には式神の札がありますし、もしかして袖の中?



「ありました、いつの間にか袖の中にお札が4枚も」

「ここに送る際に仕込んどいた。ソイツで此処を囲うように、敷地の四隅へ貼ってこい」

「何の札かの説明は―――」

「……」


分かりましたよぅ、貼ってきますよぅ……私は鳥居を(くぐ)り、下に行こうとするが陽光さんに止められる。


「ちなみに村まで降りる必要はないからな、ほれさっさと行ってこい」


どうやら敷地の端4か所で良いみたいです。

適当な木にでも貼り付けましょう。





「うぃ、終わりましたよ。それであの札は……? 」

「あれはちょっと特殊な結界を形成するものだ、人払いと+αな。さてと……手形を持って此処に立ちな、マコト」


陽光さんは石畳の分岐点を指し、私は半壊した神社を見るように立たされる。


「見事に半壊ですねぇ、よくこれを1週間で直すと言ったなぁ私」

「今からお前にはこの神社の修復を行ってもらう。3~5日間、結界から出ずにな」

「そんなに? 」

「そうだ、お前に渡した手形に宿る力を使ってな。結界から出た瞬間に効果は失われるから注意しろよ? 」


……さすがに色々とマズイのでは? とりあえず異議を唱えてみましょう。


「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。私が動けなくなったら村の守りはどうするんですか?」

「そこん所はちゃんと考えてある。色々と予定が早まるが、お前に損はない事は確かだ」

「村の事をまだ把握してn―――」

「安請け合いをしたお前の自業自得だ。さぁ始まるぞ、踏ん張れよ」


彼の話が終わると場の空気が変わる、結界が発動したようだ。


……が雰囲気以外特に変化はない、ただ雲の流れや太陽の動きが早い?

そのように感じますね。


「よし、ちゃんと発動したな。次はコッチだ」


陽光さんは私に手を向ける。

光が集まり、それは持っている手形に入り込んでゆく。

次第に手形も姿を変え、光球となり身体に吸い込まれていった。


「おお? いきなり衣装が変わりましたよ? コレは何の―――」

「有職装束。ほれ、集中しろ」

「そんなサピッと言わなくても―――」

「……」


ハ~イ、集中しま~す。

お願いですから無言での対応は勘弁してください。




光を受け入れて数秒後、力が溢れてくる感覚がした。

中から暖かい何かが湧きあがってくる。


暖かい?

……いや、暑くなってきた。少し汗が出てきましたよ。



~5分後~



もう【暑い】ではなく、【熱い】かな? コレは。

夏場に金属の床に立っているような感覚。 汗が止まらない。



~10分後~



……さすがに熱すぎる! 内側から火で炙られるような?! それとも胸部に焼き鏝を押し当てられた?!

どれも体験はしたことないけど、そうとしか言えないッ!!その場に何とか立つがそれも時間の問題、常人なら耐えられないと思う。こ、コレは幻覚ですか? それにしてはリアル過ぎる!


「…………ィ! ……ッ?! 」


喉が焼け、声が出ない。痛い、熱い……何も、見えない……死?

身体中から光が溢れ、白い世界に意識が飲まれそうになった時、陽光さんの声が聞こえた気がした。


でも……身体が、意識が、もう……


「語りで余裕かましてるからそうなるんだよ。ホレ、しっかりしろッ!!」


光は収束し、私の身体をほのかに包むようになった。

陽光さんが手を貸し、力の流れを調整してくれたようです。


「天照の力を一部分って言ったろ? たかがそれ位操ってみろって」


……全く、無茶な事を言う人だ。薄情な村人さんもだけど、これは陽光さんも負けず劣らずです。

しかも自分の力なのに【たかが】って言っちゃいましたよ。


「ほぅ、余計な事を考えるまで持ち直したか」


き、キツイィ……


「見え見えの嘘を言うんじゃねェ。力使って治療までしてやったんだ、普通に話せ」

「……いえ、今でも結構辛いのはホントなんですが」

「口に出るくらいなら大丈夫だな。手を神社に向けろ、式神が出せるはずだ」


言われるがまま手を向けてみると、次々と式神が召喚される。私が最初に出したモノとは違っていた。

いや、顔に白い袋を被ったような姿ではあるが、文字絵(へのへのもへじ)ではない。

【棟梁】と書かれた式神を始め、【大工】と書かれたモノが数十体現れる。


「お前ぇさんの神社かい、コレは? 」


……え、式神って話せるの?


「なぁに固まってんだ、お前ぇのかって聞いてんだよ! 」

「ひゃい! い、一応そう、なのかな……?」

「質問を質問で返すんじゃねェっ! 全く最近の(わけ)ぇモンは……」


うわぁ……めんどっちぃよぅ、神界に行く前に見つけたアレをさっさと渡してしまいましょう。


「よし、あとは任せたぜ親っさん。 マコトもしっかりやれよ~」

「これをお願いしm……え? ちょっ、待ってくだ―――」


言い切る前に陽光さんは消えしまう。

境内に残ったのは私と式神たちだけ。

彼らはどこからか木材や道具を取りだし、準備を進めている。


「えぇ~……まだ結界の効果も聞いてないのにぃ」

「ほぅほぅ、事情は大体分かった。気に入ったぜ、嬢ちゃん」


まだ話してないのに分かったの?!


「細けぇこたぁ良いんだよ。それよりさっさと力を送ってくれ、外の時間の(・・・・・)4日で仕上げてやるからよ! 」


よ、4日? とりあえず手を向ければ良いのかな?

後はこう、何かを注ぐようなイメージで……


「きた……キタキタキタァッ!! よぅっし、お()ぇ等気合入れろぃっ!!」

「「「おおっ!!」」」


棟梁の指示で足場の組み立て、材料の加工等々……作業を進めていく。

私は実際に見た事はないのですが、各動きに無駄がないです、多分。


これならホントにできるかもしれないですよ、皆さん。



                ※※※


~結界の外 鳥居前~


さてマコトが動けない為、ココからは俺が語らせてもらうぜ。


ああ? 誰だって?

馬鹿野郎、天照大神の陽光だ。


とりあえず下まで降りていくわけだが……


あの件(・・・)、連絡しとかんとな」


連絡先は神使(しんし)養成所。

神使(しんし)とは神の使者、もしくは神の眷族で神意を代行して現世と接触する者の事だ。

現世でよくあるのだと龍や狐だと思うが、間違ってたらスマン。

マコトへ仕えさせる動物神なんだが……予定より一月早いんだよなぁ。


『はい、神使(しんし)養成所 ヤマト支店です』

「おぅ、陽光だ。 真神(まかみ)はいるか? 」

『ええ、いますよ。 繋げますね……ショチョー! 陽光さんから―――』


大口真神(おおくちのまがみ)

現世の日本に生息していたニホンオオカミが神格化したもの、御神犬とも呼ばれる存在。

ま、この世界(ヤマト)では養成所の所長をやってる。


『お待たせいたしました、真神(まかみ)です。本日はどのようなご用件ですか? 』

「チョイと予定が早まってな、例の2体を頼む」

『【シロ】と【クロ】ですか? あの子たちはまだ―――』

「実戦なら降りてから積み重ねりゃ良い、お前も知ってるだろ? 訓練なんて気休めなのは」

『……わかりました。それでは後日書類を―――』


細かい内容は省略させてもらうぜ、手続きの事聞いてても面白くないだろ?

真神との話が終わり、そのまま村へ向かった所からだ。



~ヒノモト村~


石段を降り切ると、目の前には田畑が広がり、村民は農作業をしている。

周囲には木造の家屋も転々と存在しているが、ほとんどは空き家だ。

雨風だけでなく幾度の物の怪の襲撃も重なったのだろう、所々傷んでいる。



これでも昔はもっと人もいて活気に満ちていたんだぜ?

もう数十年も前に話だがな……


「さてと、そろそろ来るはずなんだが」


空を見上げると2つの光球が降りてくる。

それに気付いた村人たちは石段の前に集まってきた。

もちろん俺の姿は見えていない。

……ん? なんでかって? こっちにも色々あるんだよ。

必要な時以外は人前に姿を現さない、それが一族の約束(・・・・・)なのさ。

んでもって、今回はその必要な時。後で始末書を書かなきゃいかんがな。


「子供達は家さ入ってろ、物の怪がもしんねェ」

「さっきの娘っ子はどっただ? あの娘なら―――」


さすがに不審がってるな、どれそろそろ出番だ。

少し上昇して、姿を……




彼は目を瞑り、力を込める。

見た目は少年から青年になり、白い着物ではなく直衣(のうし)を着た格好へと変わった。




……まぁこんなもんだろ。後は姿を見せて、声にエコーを掛けながら話すだけだ。


『……ヒノモト村の村民よ、我は天t―――』

「ななななんだだっ?! この声はっ!?」

「こ、()ぇだよ……今度はなんの物の怪だ? あまてってなんだ? 」


おいコラ、人のセリフを遮るんじゃねぇ。【あまて】ってなんだよ、こっちが聞きてぇ。


『落ち着くがよい、我は天照。天照大神 陽光ぞ』

「あ、あまてらす……? もしかして新しい物の怪だが?! 」

「バッカ、あまてらすってのは御天道様の……」


おうおう、与作が御天道様って言った瞬間に顔色を変えやがった。

さすがに知ってるみたいだな。

さっさと用件を話してしまおう。


俺は現在の村の状況、派遣した土地神の事を話す。

再度顔色を変えた村人たちはマコトの事を話している。ただ一人、村人Bを除いて。

あの目、アイツ俺の事まで信じていないようだ。よっぽど嫌な事でもあったんだろうな。


『……土地神が動けない今、我は新たに紳使(しんし)を2体使わせた。さぁ、姿を現すのだ』


左右に浮いていた光球はそれぞれ姿を変える。

白と黒の柴犬が現れ、同時に一鳴き。


「「ワンッ!」」

『ヒノモト村土地神 マコトの紳使、白柴のシロと黒柴のクロ。しっかり役目を果たすのだぞ……』


そう言って自身の姿を消す。

あ~疲れた、あの話し方は苦手なんだよ。

アイツ等ならなんとかなるだろ、後の事はマコト次第さ。







ど~も、マコトです。

趣向を変えて私が書くことになりました

今回は挿絵でめたるぞんび様(http://ncode.syosetu.com/n5228ct/ @METAZONE_2015)より、私の有職装束の姿を描いていただきました。

Twitterでは固定ツイートに載せていましたが、本サイトではこの話を投稿する際に載せる予定だった為、遅れてしまいました。楽しみにしていた読者の皆様、申し訳ありません。

そして、めたるぞんび様。今回はこのような素晴らしいイラストを描いていただき、本当にありがとうございました!


さて今後の更新予定になりますが、現状ではHeroicを不定期に下げ、土地神ライフは月1更新でやっていくと作者は考えています。 あくまで予定だそうです。


えっと、カンペに書かれているのは以上ですね。

最期まで読んでいただき、ありがとうございました。

今後も『土地神ライフ』をよろしくお願いします、それではまた次の機会に……ではでは~


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