第51話 賽銭泥棒を捕まえろ!
作者の体調不良につき今回の後書きはありません
「う~ん……おかしい」
あ、ど~もマコトです。語りをやるのも久しぶりな気がしますね。
開始早々唸ってしまって申し訳ないのですが、ちょっと困ってるんです。
神社の御賽銭を集計してて、算盤をパチパチ弾いてたんですよ。
……意外ですか? え、クロかシロに任せていると思っていた?
たしかに神使の彼らにやってもらえば楽ですが、あくまで神社は私の管轄ですからね。
自分でできる事は自分でやりますよ。ましてや彼らにも村の巡回以外にも宿のお仕事がありますし、こっちの仕事まで頼めません。
っと話を戻しますね、お賽銭の数が合わないんです。
今までの総計から修繕費やお祭り事の費用、備品の調達費等々……過去に使用した額を引いても、今手元にある額が一致しないんです。
……私のお小遣いは含まれてませんよ? 私の場合は神界から定期的に支給されています、依頼を解決した時はそれに見合った額が追加されるんです。簡単にいえばお給料と追加ボーナスみたいなものですね。
「むぅ、頭が痛い……」
原因がわからず、何度も計算し直しているので疲れてきました。
一度外に出て気分転換でもしましょう、朝からずっと部屋にこもりっぱなしでしたので身体がバッキバキです。
……お金を金庫に戻すついでにもう一度蔵を調べてみましょう、休憩はそれからかな。
~神社の蔵~
「さてと、おかしい所はあるかな? 」
とは言っても自分なりに何度も調べたんですよね、壁や床に穴は開いてなかったし金庫も破壊された形跡はありませんでした。……そう言えば錠前は調べてなかったですね、ちょっと見てみましょう。
「……ん? 何だこれ? 」
調べてみると鍵穴付近に不自然で細かな傷がついていました、私の持っている鍵で付くような傷ではなく、もっと鋭いモノで……まさか誰かがピッキングしたとか?
でも村でお金に困っているなんて話も聞きませんし、怪しい人物がいたという報告も受けていません。
キィ……キィ……キィ
「ひぇ?! だ、誰ですか……? 」
『キィ、キィキィ』
……どうやら鼠さんの様です、音が反響して誰かがいるのかと思いましたよ。
そのまま出口から飛び出すと近くの茂みの中に走って行きました。
とりあえず現状で手に入る手がかりは錠前に付いた傷くらいですし、二階を調べたら休憩しましょう。
そろそろホントに辛くなってきましたしね。
「わっぷ……二階も掃除しないとなぁ」
定期的に掃除はしてるんですがね、いつの間にか埃が溜まっていたようです。
……どうやら鼠さんは上から降りてきたようですね、小さい足跡が点々とあります。
天井から侵入したのでしょうか? 蔵の状態も確認しないといけませんね、あぁ……仕事が増えるなぁ。
「掃除は休憩の後にしよ……あまてるに行く! みたらし団子たくさん食べる! よし! 」
疲れすぎて己の欲望を言ってしまいました……近くに誰もいなくて良かった。
とりあえず甘味処あまてるに行きましょう、気分転換は大事ですから。
※※※
~ヒノモト村~
「ふぅ、ちょっと食べすぎちゃったかな? 」
調子に乗ってパクパク食べていたら十本以上平らげていました、少し気持ちが悪いです。
……そう言えば、あまてるで休憩中に奇妙な話を耳にしました。
最近村でも物や金銭の紛失が相次いでいるそうです、これから調査の依頼を出そうと思っていた所に私が来たのでそのまま依頼を受領しました。
「ここまで噂になってるとなると、シロとクロも動いてそうですね。行ってみましょうか」
真直ぐ宿に向かうと、何やら騒がしいご様子……中からは怒声が聞こえます。
「てめぇが盗ったんだろ! 」
「俺じゃねぇッ!! 」
おおぅ……褌姿の男性二人が宿の入り口で取っ組み合ってますね。
周囲のお客さんの声を聞くと、どうやら衣類と財布を盗まれてしまったらしい。
お風呂に入っている間になくなったらしく、近くにいた男性を疑い始め、討論は徐々に激しくなり今に至ると……しかし盗んだ証拠もないとなると厄介です。早く解決しないと私に飛び火しそうですね、此処はシロ達に任せて、私は私で動いてみましょう。
「っと、やっと抜けれた……ん? 」
人込みを抜けるのにも一苦労です、飛べば一瞬ですけど皆さんを驚かせてしまいますからね、力はあまり使わないようにしています。抜け出た先の景色で人以外にも何か動くモノがあった様な気がしたんですけど……気のせいだったのかな? たしか路地裏辺りに消えてくような感じだったのですが―――
「……着物と、お財布かな? 」
落ちていたのは高価そうな着物と空の財布、とても嫌な予感がしますね。
巻き込まれるパターンですよ絶対……でもここで届けないのは土地神的にもアウトなので意を決して行きましょう。
「あ、あのぉ……すみません」
「ああッ?! 嬢ちゃん今ちょっと手が……それは? 」
「宿の外で見つけたんですけど、もしかして―――」
「俺の着物と財布だ! って事はまさか嬢ちゃんが……」
「ち、違います! 偶然宿の裏で見つけただけで―――」
やはり疑われましたね。何とかシロとクロが来てくれたおかげで疑いは晴れましたが、これは早く解決しないといけません。しかしお客さんの多い場所でも窃盗事件が発生するとは相手は相当な手練れ……手口も分らず犯人像もはっきりしていません、どうしましょう?
「主殿、最近だが鼠が多くてな……物の怪が関係してるかもしれん」
「鼠ですか? 確かに最近神社でも見かけましたが、この時代ではそう珍しくないのでは? 」
「そうとも言えん。鼠の匂い以外にも瘴気の匂いもしてな、調べるなら気を付けてくれ」
「できれば協力してもらいたいのですが、忙しそうですねそちらも」
「あぁ、ありがたいことにな。スマンが今回は主殿単独で頑張ってくれ、クロも八頭も手を離せんのでな」
ふむぅ……やはり宿のメンバーは手を離せないときましたか。
しかし手がかりが一つ手に入っただけでも御の字です、シロの言う鼠の動きを追ってみましょうか。
街の各地点に罠を仕掛けておきましょう、餌は……食料ではなく偽者のお金にしましょう、手に取った瞬間に消えるので犯罪に使われる事もありません。更に取ろうとした相手の身体に宿ってGPSの様な働きもしてくれます。上手くいけば犯人を捕まえられるかもしれませんね、後はゆっくり待ってみましょう。




