第42話 神使の捜索
"あの白犬を捕まえられなかったら、許しましょう。でなければあの宿と働く者達は頂く"
……まさかこのような状況になるとは思いもしませんでした。
ど~も、マコトです。
簡単に経緯を話しますと、あの目撃者の女性……"や"の付く方々の娘さんでした。シロと神社でバッタリ会ったあの後、大柄の男性が数人来て、"お嬢が危険な目に遭いそうになった"、"命の危険があった"等々……洪水のようにガーっと責め立てられましたよ。
女性も怯えた様子から一気に強気状態になってポツリと一言。
それが冒頭のやつですね。
「はてさて……どうしたもんかなぁ、クロには頼れないし……」
クロはシロに協力している疑いが掛けられてるので動けない、宿と一緒に担保に掛けられている感じですね。
厄介ですねぇ……とりあえず事件現場にでも行ってみましょう。
現場百篇とも言いますし、何か手がかりがあるかも。
~事件現場~
「さてと、誰も入った形跡はないみたいですね」
荒らされると後々大変だと思って”遅刻の札”を使っておいて良かったです。コレ、高いんですよ……でもシロの濡れ衣を晴らすためなら安いもんです。どんな効果なのかは字の通り、分かり易く言えば神社を再建した時に陽光さんから頂いたお札ですよ。4カ所にお札を貼る事で人払いと範囲内の時間の流れを遅くするんです。
「うぅ……さすがに猫の皮は生々しいなぁ…………」
私もグロテスクは苦手です、でもなんで皮だけ? あと残ってるのは薙刀……これは多分シロのなのかな? そして血で濡れた衣服の切れ端。肝心の遺体がどこにも見当たらないのは不自然です。
「……壁には傷一つ無し、と。薙刀を横に振ったら擦れるかも」
一応薙刀は素手で触らないようにして幅を確認してみましょう。
結果的にはギリギリ。縦だったら問題ないとは思うけど斜めだと屋根、横の場合は左右の壁のどちらかに確実に擦れていてもおかしくはないね。
地面には木片や陶器の欠片、きっとシロが振るった時に樽と水瓶を壊しちゃったんだね。
「……薙刀の痕跡あった。でもその周囲に血は付いていないや。壁の傷は解決したら直してあげないと」
キィン……キィン……
調べていると懐に入れていた勾玉が鳴り始めました、どうやら村の警備を任せていた式神さんが何かを発見したようです。この機能、最近になって気づいたんですよ。神界への通行手形だけではなく連絡手段としても使えるとは便利な勾玉です。……もしかしたらシロと連絡できるのかな?
『……』
「……むぅ、さすがに無理かぁ」
シロを考えながら念じましたがさすがにそう上手くはいきませんよねぇ……とりあえず式神さんから連絡を受けた場所に行きましょう。しかし、素戔嗚川の橋の下とは何やら嫌な予感がしますねぇ。
※※※
「うわぁ……コレは玄内さんを呼んだ方が良いかも。式神さん、お願いしますか? 」
『……! 』
話は出来ないけど様々な仕草だけでも式神さんとはコミュニケーションは取れるのですよ、そのうちお話できる式神さんも召喚できるかもしれませんね。棟梁の式神さん、元気かなァ……。
っと、今は物思いにふけっている場合ではないですね。橋の下には男性二人、女性一人の遺体が見つかりました。……見て解る範囲では太り気味の男性以外は服を着たままの状態、衣服の一部は血で濡れています。
そして太り気味の男性は褌一丁、身体にはひっかき傷と皮の一部が大きく剥がれている事ぐらいですかね。
「うぅ……やっぱ生で見るのは辛いですね、早く玄内さん来てくれないかな」
「呼んだか? ……コイツぁ酷ぇな、ナンマンダブナンマンダブ」
噂をすれば何とやら、長屋が近い事もあって早めに到着したみたいですね。
式神さんには人払いをしてもらいましょうか。玄内さんには早速調べてもらいましょう。
「お前ぇよ、俺はたしかに医者だが仏さんを診るなんざ初めてだぞ? 」
「そこを何とか……分かる範囲で良いのでお願いします」
「……まぁシロ坊には色々と恩があるからな、調べてやらぁ」
なんと、シロは私の知らない所で玄内さんと仲良くなっていたんですね。
……しかし女の子なのに何故”シロ坊”何でしょうかね? 多分彼女の方が年上だと思うんですけど、ツッコまない方がよさそうです。
とりあえず玄内さんのおかげで死因は特定できました、ひっかき傷よりも皮を剥がれた傷跡の方が要因としては大きいようです。刃物で切られたわけでもなく無理やり剥がされたと……うぅ、聞くだけでもゾッとしますね。
……一旦情報をまとめるために神社に戻りましょうかね、この場の状況などは式神さんに記録してもらいましょう。写真があれば良いのですが時代が時代なのでね、筆と紙で絵を描いてもらいます。
人相書きだけは貰っていきましょう。
※※※
~神社~
「ふぅ……おや? 御戻りになられましたか」
「此処は禁煙ですよ」
戻ると私の家の縁側で煙草を蒸している女性が座っていました。
……ハイ、今回の事件の目撃者であり被害者でもある方です。名前は化鈹 猫美弥さん、昨日から我が物顔で神社に居座っています。最初は宿に泊まるように言ったんですけどね、周りの御付きの男性達が安全な場所を提供するように半ば脅迫してきましたので渋々承諾した感じです。
「フフ、そうお固い事言いなさんな。それよりあの白犬は見つけられましたか? 」
「……簡単には見つかりませんよ」
「しっかりやってもらわないと困りますねぇ。そう言えばまた亡くなった方が見つかったと噂を耳にしたのですが……」
何処からその話を聞きつけたんでしょう? 式神さんからは特に人が入ったと聞いてないんですけど……人相書きを見せてみましょうか
「この方たちなんですが、知り合いですか? 」
「ウチの、者達です。あの白犬め、一人だけではなく他の者にまで手を掛けるとは」
「まだシロと決まったわけではないです」
「……あぁ? ウチが見たって言ったのが信じられないってのかい? 」
「信じていない訳ではないです、ただ色んな方向から見て判断しないといけないので決めつけるには早すぎるんですよ」
「……チッ、面倒くさいねぇ。サッサと見つけておくれ、しっかりケジメを付けてもらうからね」
ま~た煙草を……何回言っても聞かないんでしょうねこのタイプの方は。
しかし何が何でもシロを犯人に仕立て上げたいみたいですね、ますます怪しく感じます。
可能であればシロ自身からも話を聞きたいんですけど……何とかならないかな?
パラ……カサリッ
「わひゃッ?! な、何……? 」
突然頭に何かが落ちてきて変な声を上げてしまいました。
手に取って見ると、それは何も書かれていない真っ白な半紙……いったい何処から?
「何だいその紙は? 屋根の上から落ちてきたみたいだけど……」
「……あ、前に屋根の上で絵を描こうとしたんだっけ」
もちろん嘘です、半紙は丁寧に折りたたんで懐に入れておきましょう。
多分シロから……だよね? クロは身動きが取れない状況だし、他の方たちも可能性は薄い。
調べてみないと分からないけど、彼女の前でやるわけにはいかないですよねぇ……適当な理由を付けてこの場を離れましょう。
「ちょっと調べ忘れが有ったので村に行ってきますね、棚の御菓子は好きに食べてもらって大丈夫ですので……」
「ハイハイ、精々頑張りなさいな」
※※※
~夜 ヒノモト山 満月湖~
半紙を火であぶると文字が浮かび上がってきました。
差出人はもちろんシロ、”山の頂上の満月湖で待つ”とだけ書かれてましたよ。
「来てくれたか……主殿」
シロは私に薙刀の切っ先を向けてきます。衣服は血で汚れたまま……落としきれなかったみたいですね。
何やら敵意剥き出しの様です。
「シロ、やってないんでしょ? なら一緒に―――」
「断る。あの嫌な匂いがするからな、ただで済むとは思えん。もちろんアチキは無実だが……抵抗させてもらう」
ガキィィィン
「シロ……! 」
「流石に主殿を殺しはしない、少し気絶してもらうだけだ」
一瞬で間合いを詰めて薙刀を振るってきましたが何とか反応し、華ちゃんを出して防御できました。
向けたくはないけど、私も華ちゃんを構えます。峰打ち何て器用な芸当は出来ないので鞘に収めたままで戦います。……大丈夫、華ちゃん意外と頑丈だから。
6月なのにもう暑い……気温の変化に対応できず、やや体調を崩しているKUMAです。
いやぁホントに暑い、暑すぎますね。7月、8月と進むにつれて気温がグッと上がると考えるとげんなりしてきます。
さて、今回のお話はマコトの捜査パート……そして最後はシロとの戦闘が始まった所で終わった感じですね。よくよく考えたら二人が戦うのって初めての様な気がします、そして犯人は誰何でしょうねぇ……そこ、”アイツでしょ”ってキャストを指しながら言わないの。
なんやかんやで体力も限界に近いので今回に後書きは此処までとなります。
いやぁ……休日がほとんど無いってキツイね。
また次の機会にお会いしましょう、ではでは~




