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土地神ライフ  作者: KUMA
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第41話 嵌められた神使


~ヒノモト村 夜~


(あきない)通りは夜になると景色が変わる……昼とはまた別の活気が溢れ、通りには赤提灯が列を連ねている。店から出てくる客は皆上機嫌、顔を真っ赤にしながら肩を組んで歩く者達もいる。時には揉め事もあるが神使や土地神が出るまでもなく、村人たち自身で解決しているようだ。


そして煌々と光っていた赤提灯も徐々に消え始めた頃、通りを一人の男性がフラフラと歩いている。


「うぃ~……ヒック! だぁ~、まだ飲み足りねぇ~! 」


この男は店だけでなく軒並ぶ屋台でも相当飲んでいた。左右に大きく揺れる様に歩き、遂には水の入った樽に足が当たり転んでしまう。なんとか起き上がり、視界を前に戻すと花魁姿の女性が目の前に立っていた。後ろには細い尻尾の様なモノが二本揺れていたが男には見えていないだろう。


「もし……もし………」

「あ~? アンタぁ、えらく別嬪さんだなぁ」

「まぁお上手ですこと、しかし飲み足りないとおっしゃってましたが……よろしければ私の店で飲みませんか? 」

「ヒック、おう。行ってやろうじゃねぇか」


その答えを聞いた女性は妖艶な笑みを浮かべると、男の腕を引きながら通りの影へ入り細い道を進んでいく。抜けた先には煌々と灯りの光る建物が見える。周囲には同じように腕を引かれる男性が何人も……中には女性も混じっている。共通しているのは全員かなり酔いが回っているという事であった。


「なんだぁ……こんな場所、村にあったか? だが何やら皆楽しそうだな」

「えぇ、とても楽しいですよ。では私達も参りましょうか」



                ※※※



~ヒノモト村 昼~


おはようございます、マコトです。

最近この村に猫が増えてきた気がします、村内を歩いているとチラホラと見かけますよ。

……ん? 体調ですか? おかげさまで順調に快復しています、やっと一寸さんから仕事の許可もいただけましたし、今日はリハビリと言う事で村を巡回してるんですよ。


「にゃぁ」

「おっと、いつの間に……どうしたのかな? 」

「んにゃ~……ゴロゴロゴロ」


そして妙に人懐っこい猫が多いです。今も足元にすり寄ってきて喉を鳴らしています、何だか癒されますね。シロとクロには悪いですが、猫も嫌いじゃないのですよ。偶然にも私の手には猫じゃらしが握られています。


「ホラホラ……どうかな? 」

「 にゃっ! にゃにゃにゃッ! 」

「フフフ、甘い甘い。そんな動きじゃ捕らえられませんよ? 」


必死に猫じゃらしを追っていますが中々捕まりません、楽しんでいると何やら後ろから冷たい視線を感じます……嫌な予感がしますねぇ。この感じはクロではないです、おそらくシロでしょう


「主殿、見回りはどうした? 」

「えっとぉ休憩中、かな? あはは……」

「まったく呑気なものだな、被害者は日に日に増えているのだ。気を引き締めてもらわないと困るぞ」

「む、むぅ……シロには言われたく―――」

「何か言ったか? 」

「いいえ、何でもないです……」


シロが言っているのは最近多発している強盗事件の事です。

村の至る所で身ぐるみを剥がされた人が見つかっているのです、皆二日酔いのような症状と身体に動物の爪の跡が残っている状態でね。


彼女、ピリピリしてるんですよね。宿屋でもクロや八頭さんに当たり散らしてると聞いてます。

泊っている方々には迷惑を掛けていないようですが職場の雰囲気を悪くするのは良くない事です。

後でしっかりと言っておかないとね。


「そら、休憩はもういいだろう? 預かっていた火華を返すぞ」

「わわわ、投げないでよシロ。猫もびっくりして逃げちゃったよ」

「それは悪かった。次から気を付けよう、ではアチキは西側を見回っているぞ」


シロは華ちゃんを投げ渡すとサッパリとした謝罪をし、踵を返して自分の持ち場へ戻ってしまいました。


「……もしかして猫にヤキモチ焼いているのかな? 」

『どうだろうな、俺には分からん』

「あ、お久しぶりです華ちゃん」

『ん、お主も元気そうで何よりだ。次の修業は覚悟しておけ』


……華ちゃんも平常運転の様です。


          ※※※


~ヒノモト村 長屋方面~


「ああクソっ! アチキは一体何をやってるんだ……」


村人たちの住まいである長屋方面へ出向いたまではいいが、気持ちが荒ぶっている。

先ほど主殿に対してもそっけない対応をしてしまった……何故かだと?


猫だよ、猫。アチキは猫が大嫌いなんだ、あの見た目を利用して人の懐へ入り込み、いつの間にか居場所を奪い我が物顔で居続ける……アチキもお気に入りの昼寝場所まで占領されてしまった。

まぁ神使になる前から猫は好かんのだ、ましてや増え始めた頃から嫌な匂い(・・・)がし始めたのだ。

今回の件と無関係とは言い切れないだろう。


「なぁ~」

「……アチキは虫の居所が悪いんだ、シッシッ! 」

「ミ゛ャァァァンっ?! 」


軽く薙刀の柄で払うとすごい勢いでその場から去って行った。

さすがに刃は包んであるぞ、アチキもそこまで鬼畜ではない……ん?


「みゃぁお……」「にゃぁご……」「にゃぁ~」

「なんだ? いつの間に増えたんだお前らは、仲間をいじめられた仕返しか? 」


『犬だ』『犬がいる』『人間に従う間抜けな奴だ』


突然声が変わり、周囲には猫の匂いだけでなく霊気を感じ始めた。

コイツ等まさか……化け猫か?


「……目的はなんだ? 内容次第では―――」

『人を喰らい』『恐怖を与え』『村を我らのモノに』

「ならば容赦しないッ! 」


薙刀で一閃するが斬った感覚は全くない、しかしボトリと何かが落ちてくる。

黒、灰、三毛……それぞれ猫の毛皮のようだ、そして誰かの着物。


どれも血で汚れている。


『『『目的は達した』』』

「何を―――」


「きゃぁーーーーーッ?! 」


ベシャリ


「ッ?! 」


声の聞こえた方角を向いた瞬間に、水の様な液体が降りかかってきた。

いや、この匂いは水じゃない……血だ。

アチキの髪と羽織を赤く染めていた、視界を上げた先には花魁姿の女が立っている。


しかし、その表情は上げた悲鳴と矛盾していた。


「誰か、誰かぁぁぁぁッ! 人殺し(・・・)よォッ!! 」

「ハァッ?! 待て、アチキは―――」

「嫌ぁぁぁッ!? 助けてェッ! 殺されるぅぅぅぅッ!! 」

「クッ……一度此処から離れないと」


声には恐怖の感情が込められていたがその顔は酷く歪んでおり、相手を陥れた時のように醜悪なモノになっていた。そしてアチキは見た。そいつには猫の耳と尻尾が2本生えていた、他の奴が駆け付けた時には消えていたが確かに生やしていた。


しかし……この時は逃げるしか選択肢はなかったのだ。弁明したところで疑いを晴らす要素も無い、血だらけの着物と武器を引っ提げていてな。犬の状態へ変化し、神社の方向へと駆けだした。



             ※※※



~神社~


「ままマコト様~! し、シロ様が―――」


見回りが終わって家の縁側でお茶を飲んでいる時の事……突然数人の村人が息を切らして現れ、マコトはシロが猫と人を斬ったと報告を受ける。衝撃的な内容だった事もあり、湯飲みを地面へと落としてしまう。


「え……? 」

「だから! シロ様が―――」

「い、いや、聞こえてます。……何かの間違いでは? 」

「それがその瞬間を見たってが人がいるんです! は、早く来てくだせぇッ! 」


マコトは彼らから袖を引っ張られ、神社を後にした。


彼女は茂みの影にシロが隠れていた事に気づいてはいない……シロも相談しようとしたが一歩間に合わなかったらしい。出鼻をくじかれたシロは一度人の状態へ変化し、身体に付いた血を洗い流す為に水を探す。


家に入るとすぐに水瓶があり、中の水をすくって被るとある程度は洗い流せた。


「まさかアチキが遅れを取るとは……あの化け猫どもめ。村中の人を喰らうつもり―――」

「し、シロ? 」


最悪の展開であった、もちろん隠れていた彼女も村人から報告を受けていた事を知っている。

血まみれの羽織を見たマコトはシロが人と猫を斬った事を信じてしまうだろう。


「まさか本当に……」

「ち、違う! アチキではない、化け猫が―――」

「きゃ、きゃぁぁぁぁぁッ! その人です、その人が目の前で!! 」


後ろにはシロが先ほど見た女性が指を突き出しながら悲鳴を上げている。

マコトは女性を後ろへ下げると悲しそうな表情でお札を取り出した。


「……シロ、お願いだから大人しくして。君を傷つけたくない」

「クッ……主殿、スマンッ! 」


シロは懐から何かを取り出すと地面へと叩きつける。

たちまちその場から煙が噴き出し、マコトたちの視界を遮った。


その隙にシロは犬の状態になり山の中へと消えていった。


平静が終わり、令和となりました。

ど~もお久しぶりです、KUMAです。

いやぁ……先月は胃炎でダウンしている中での更新だったので後書きが書けませんでした。

うんうん、二回目となると流石に怖くなったので検査を受けましたよ。


まぁそれはそれとして、今回のお話ですね。

簡潔にまとめると……シロが嵌められちゃいました、話を練っていく過程で”猫嫌い”という設定が生えた辺りから流れが変わっていきましてですね? 本来はこんな展開になるはずではなかったのですよ、いやぁ怖い怖い。

状況としてはシロは殺人の容疑者。もちろん彼女と同じ神使のクロ、そして主であるマコトにも影響は出るでしょう。……はたしてKUMAさんにこの話の続きが書けるのか不安ではありますが、頑張って進めていきたいと思います。


ではでは今日はここまで、また次の更新の時にお会いしましょう。

読者の皆さま、これからもよろしくお願いします。




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