表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
土地神ライフ  作者: KUMA
4/68

第4話 初めての仕事は物の怪退治

ど~も、土地神 マコトです。

ただいま絶体絶命その2となっております。


飛び出してきた物の怪が鳥居側に1体、神社側に1体と挟み撃ちになってしまいました。

とりあえず背中は見せないようにしないといけませんね。


「さて……どうしましょうか」


私はまだ戦い方を知らない、いや転生前には剣道をやってましたが……それも大分前で今は竹刀もありません。履いているのも靴ではなく足袋と草履、慣れない道具で大ピンチですね~。


何かと考えているうちに物の怪は動き出す、左右同時に飛び掛かってきた。

その場から動こうとした時、予想外の事が起きる。


ズルッ


「あっ」




ハハハ……思いっきり転んでしまいました。

石畳に生えた苔で滑りました、意外と危ないんですよ?

皆さんも石に生えた湿った苔には気を付けてくださいね。


もう駄目、また死ぬんだ……と思った時またあの人の声が聞こえてくる。


『なんで降りて早々死にそうになってんだよ』


声が聞こえたと思うと突風が吹き、物の怪たちを吹き飛ばす。

社家住宅側に吹き飛ばされ、ゴロゴロと転がっていく。


その間に私は体勢を直し、今度は安全そうな足場に立つ。

隣には宙に浮く陽光さんがいますが、半透明の状態でした。


「だから見てたんなら助けてくださいよっ」

『俺は大きく関われないんだって、すぐに次元がズレちまうからな』


その後もアレコレ文句を言いました。

村人たちから見たらどう映ってるのでしょうかね?



「……おいなんかあの娘っ子、誰かと話してねぇか? 」

「誰もいねべ、構うな構うな……」



……どうやら陽光さんの姿は見えてないようです。

私は物の怪から目を離さずにそのまま話し続ける。


「まぁ死んでもまた転生させられると思いますがね」

『魂が死に慣れてるな……言っとくけどお前に次の転生は無いぞ』

「え? 」


物の怪に対し、局地的な突風を吹かせながら話し続ける。

器用ですね、その場で何度も足払いされるように転んでますよ。


『あのなぁ……良いか? お前は低格でも神だ。今魂には土地神の力が加わってる状態、死んだ時に魂からその力は抜けて神界へ返還される』


この世界で神界は神々が住むと言われている場所らしい。

それにしても……レンタル制だったんですか、土地神の力って。


『強大な力が魂から抜ける反動……想像つくか? 一言で言えば弾けて消滅するんだが』

「しょ、消滅って」

『三途の川に落ちた時と同じだ、それよりも苦しいだろうな』


正直言葉が出てこなかった。またヤマさん達に会えるものかと思ってましたよ。

次の転生の話とかしたかったなぁ、あと文句も言いたい。どうすれば……


『……何簡単な事だ、死ななきゃ良い』


至極単純な回答ありがとうございます。顔に出てたのかな?


『分り易い。自分の懐を探ってみな、札が入ってるはずだ』


探ってみると確かにありました、足軽・槍と書かれた札が。

それ以外にも弓と刀があり、合計で3枚。


「……このお札は? 」

『式神の札だ。 お前が戦う手段の一つだよ、投げてみろ』


カードを投げるように正面に放つ。

意外に真直ぐ飛ぶ札は途中で火が付き、人の形に変わった。

陣傘に鉄の胴鎧、籠手、陣羽織を装着。足軽の兵装だ。武器は槍を持ってる。

しかし、こちらを振り向き顔を見せると……


「な、なんで文字絵なんですか!? 」


人に白い袋を被せたような式神の顔には見事な【へのへのもへじ】が描かれていた。

これには思わずツッコんでしまいましたよ。


『式神・丙の仕様だ、指示を出せば戦ってくれる』

「こ、こうですか? ……アレを倒してください! 」


私は体勢を崩している物の怪を指差し、式神へ指示を出す。

すると、軽くうなずき走り出した。

十分に近づくと飛び上がり、物の怪に槍を突き立てる。


「おお……ホントに動いた」


式神は残り1体には攻撃せずに距離を取り、戻ってくる。

指示通りの動きはしたと言うことかな?


『まぁ上々だ。残りは1体、頑張れよ~』


そう言うと風も治まり、陽光さんの姿は消えてしまう。

物の怪も立ち上がり、こちらに走ってくる。


「守ってください! 」


式神は私の前に立ち、槍を構えてけん制する。

物の怪も一度止まり様子を窺う。

意外に慎重なんですね……


「投げるだけなら……他のお札も使ってみますか」


もう一枚の札を投げる。先ほどと同様に札が燃え、人の形に変わってゆく

すると槍持ちの足軽は消え、代わりに弓を持った足軽が現れる。

お札は使い切りみたいですね。


「おお、弓持ちですか。でも顔は……」


同じ文字絵だった。

軽くうな垂れ、隙ができても物の怪は襲い掛かってこなかった。

首を傾け、こちらを見ている。


「私も死にたくないんで、ゴメンね……」


式神に指示を出す。

弓を構え、矢は静かに放たれる。

そのまま物の怪の眉間に当たり、沈黙した。



周囲を覆ていた不気味な雰囲気は無くなり、村人たちも拝殿から出てくる。


「お、お()ぇさん物の怪を倒しただか?! 」

「え? ああ、ハイ。そうですが」

「そうかぁっ! きっと神様が遣わせてくれただ、この娘っ子を! 」


私の周囲では村人たちが喜んでいる。

あの親子はまだ出てきてないみたいだけど……大丈夫かな?

心配していると、ある村人が他の人たちに声を掛ける。


「バガ言うな! 物の怪を倒したがらといって人間とは限らね、同じ化け物がもしんねべ! 」


その一言で村人たちは私の周りから離れていきましたね、ただ一人を除いて。

閉める指示をしたときに心配してくれた人です。


「助けてくれたのにその言いぐさはなんだ!

この娘っ子が来なかったらオラ達も死んでたがもしんねんだど!? 」

「油断させて喰らうつもりかもしんねべ! 簡単に余所者(よそもん)を信じるでねぇ!」


2人の口論は激しくなる、正直私は半分何を言ってるのか分からなかった。


「あ、あの~、私ここを任された土地神なんですけど」

「なんだべ! こっちは……って土地―――」

「神だぁ?」


恐る恐る自分の事を話してみる。

2人の口論は止まりましたが二度見されましたよ。


「嘘言うでねぇよ、神様ってのはもっと威厳があるべ」

「ん、んだ。 娘っ子や、嘘はいけねぇよ。今はオラに任せてけろ」


「嘘言ってないんですが……どうしたら信じてもらえます? 」


2人は黙ってしまう。少し考えると案が浮かんだようだ。


「……じゃあこの神社を明日から1ヵ月、いや1週間で直してくれや。本物の神様ならできっだろ? それやったら俺は信じる」

「なっ、い、1週間は無理だべ! 娘っ子や、大変な事になる前に嘘と言った方がええぞ? 」


土地神といっても信仰してもらわないとダメだろうし、どこまでできるか興味もある。

一応神様だし、目的達成のためにはきっと何らかの方法はあるだろうと考え……


「わかりました、明日から1週間ですね?」

「ああ、(おどご)に二言はねぇ。 信じてやる」


そうして私の挑戦は始まった。

さぁ、村の復興第1歩は神社の再建からだ!




……ホントにできるのかな?



今月3回目の更新、ど~もKUMAです。


時間が経つのは早いですね、気づけば3月も下旬に入ろうとしている……。

4月からは自分も色々と忙しくなりますので更新予定を変えるかもしれません。

活動報告でも書いてますが、現実(リアル)優先です。

どうかご理解をば……


次の更新は3月26日です。

また次の機会にお会いしましょう、ありがとうございました!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 4話目読みました! 札の能力がわかりやすく面白いです! 戦闘もあるんですね!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ