第3話 土地神降臨?
~ヒノモト村~
時の流れ方が変われば、全てがおかしくなる。
町や村、歴史上の偉人達の存在……目には見えないはずのモノまでも。
ここはその影響を受けた存在の一つ、ヒノモト村。
この村には土地神が存在していない、その為多くの物の怪から被害を受けていた。
食料・家畜の強奪、家の破壊……時には神隠しにあった者もいる。
そこで数十年前、物の怪への対策の為村人たちは山を削り、神社を建てた。
物の怪の退散と平穏な生活の願いを込めるもそれは叶う事は無く、その後も各被害を受け続けている。
やや長めの階段を登ると赤い鳥居が見え、石畳みが道なりに敷かれている。
その先には神社が建っているが、建物や石畳みは所々ボロボロであった。
拝殿内には村人が十数人。半数以上は大人、子供たちは怯えた表情をしている。
そこへ一組の親子が走ってくる、何かに追われているようだ。
「ほら、しっかり! 拝殿まで行けば安全だからっ」
「か、母ちゃん、待って……アッ!? 」
石畳の途中で子供が転んでしまう。
母親もそれに気づき駈け寄り立ち上がらせるが、2人の上を黒い影が飛び越える。
拝殿までの通路を塞ぎ、そこに立っているモノは人間ではなかった。
落ち武者のように生えた白髪、手足には鋭い爪が生えている。
やや猫背で身体の大きさは子供ほど、腹部は何かを詰めたように膨らんでいるがそこ以外は細めの体格だ。
親子2人を見て威嚇のような声を出している。
「物の怪……! こ、こっちに来るんじゃないよっ! 」
「母ちゃ~ん、怖いよぅ……」
「お前は母ちゃんの後ろに隠れてな! ……コレで戦うしか」
落ちていた廃材を手に立ち向かう母親……しかし、物の怪と呼ばれるモノは怯むことなく飛び掛かってきた。鋭い爪は廃材を容易くへし折り、無情にも片方の腕で母親の身体を切り裂いた。
しかし、勢いをつけ過ぎた所為か2人から離れてしまう。
「グッ……がぁ…………」
「母ちゃん! 」
「だ、大丈夫さぁ……母ちゃん、強い、から……ねぇ」
母親はそのまま倒れ、動かなくなる。
切り裂かれた傷口からは血が溢れ、網目模様な木綿の着物が赤く染まっていく。
子供は母親から離れずに泣き、他の村人たちはその様子を拝殿から見ている。
「おい……誰か助けに行ってやれよ」
「バカっ、逃げ遅れだ奴を助けて巻き添えは御免だぁ」
どの時代でも自身の安全が最優先なのは変わらないのかもしれない。
他の村人はあの2人を見捨てるようだ。
物の怪はそんな事を知るわけも無しに少しずつ近づいていく。
「ヒィ……こ、来ないでよぅ」
物の怪は姿勢を低くする、まるで獲物を狙う猫のようだ。
2人の親子に飛び掛かろうと力を入れた時、上から何かが落ちてきた。
「ど、どいてくださいぃぃぃぃぃぃっ!! 」
そう、私です。土地神 マコトが落ちてきたんです、物の怪と言われるモノの上に。
いや~あの天照め、これを狙ってたのかな?
物の怪は私に潰され、その衝撃で砂煙が舞った。
結構な勢いで落ちたが怪我は無かった、おそらく陽光さんが何かしてくれたのだろう。
私は立ち上がり、砂ほこりを掃う。
「ケホッ! ケホッ! ……陽光さん、酷いなぁ」
次第に砂煙は風に飛ばされ、周囲の状況が見えてくる。
私は自分の足元にいる物の怪と親子2人を見て血の気が引きましたよ……。
「え……? あ、あの、大丈夫ですか? 生きてる……よね? 」
「グ……ぅぅ…………」
「か、母ちゃん! 大丈夫っ、ねぇっ!?」
心配する私と親子の様子を見ていた村人たちは拝殿から出てくる。
……とは言っても大人の男性が2人だけですが。
「な、なんだぁ? あの娘っ子は……空から落ちてきたど? 」
「バァカ言うな、人が落ちてくるわけねぇべさ! 」
その手には農具、クワと鎌をそれぞれ持っていました。
恰好からもわかり易い、The農民って感じです。
「娘っ子の装束……神主様かぁ? 」
「んなもんウチの村にいねぇだ、なんか気味悪ぃっちゃ。 中さ戻っべ」
人を見て気味悪いとは失礼な……まぁ、空から落ちてきたから仕方ないけど。
確かに今の私の恰好は白い着物に水色の袴……神主の通常装束ですね。
性別はまた女性、ショートヘアの髪形や体格はあまり変わってないみたい。
「あ……ちょっと待ってください、この人たちを助けないんですか? 」
戻ろうとする男たちに声を掛ける、振り向いた2人は嫌そうな顔をしていましたよ。
オドオドしながらこちらに近づくと話しかけてくる。
「お、お前ぇさん何モンだぁ? さっき空から落ちできたように見えだけども……」
「んなごどよりも! さっさどこっから離れっべ、コイヅが動く前にな」
潰した物の怪と私を交互に見ながら母親を運び出す。
「そんな化け物を見るような顔をしなくても……わかりましたよ」
後を追う前にもう一度物の怪を見る、すると身体に変化が起きていた。
「身体が……黒く? 」
再度見た時には物の怪の身体は黒ずみ、徐々に散ってました。
次第に勢いは増し、完全に消滅してしまう。
ちょっとだけ嫌な予感がする、私は彼らが拝殿に入ったことを確認すると……
「ん~……あなた達が入ったら、そこ閉めてください」
言っちゃいましたよ、自分から死にいくようなことを。
「な、何言ってるだ! お前ぇさんも入れ! 物の怪が―――」
「あいつが閉めろって言ってるだ、だば閉めるべ。 どうせ余所者だ、死のうと俺達にゃ関係ねぇ」
そう言うと戸は閉められました、あの人は薄情な村人Bさんと覚えておきましょう。
土地神になったばかりでも分かる事はあるんです、物の怪の気配と言うか殺気みたいのがヒシヒシと……。
私が立っている場所はちょうど石畳の分岐点、鳥居から神社までの間にもう一つ道が伸びてるんですよ。
その先には……多分神主の方が住む場所ですね、家が建てられてます。
そこから身体を刺すような殺気が伝わってきますね。
「さてと、鬼が出るか蛇が出るか……多分鬼だろうなぁ」
そんな事を言ってると出てきましたよ、偶然潰したのと同じヤツが2体も……
あっという間に挟まれてしまいました。絶体絶命……かもです。
なんだかんだで今月2回目の更新となりました。ど~もKUMAです。
最近はチョイと色々気力が湧かずに焦っています。
先月の1週間で今月分を終わらせた後遺症でしょうかね……?
それでも少しずつ進めていますので、皆様よろしくお願いします。
次回の更新は3月19日を予定しております。
それでは次の機会に会いましょう。




