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土地神ライフ  作者: KUMA
23/68

第22話 神様でも謝ろう


ゲンコツが決まりスサノさんの様子は……あ~、コレは―――


「うぅぅ……ぁぁあ…………」

陽光&八頭『スサノ(さん)、泣い―――』

「うあああんッ! マコトちゃんが、マコトちゃんがぶったぁぁぁぁ!! 」


その場に座り込んで泣き始めちゃいましたね、えっと確か爺ちゃんはこういった時はもう一度……


「泣かないッ! 」



ゴツンッ



「痛い、痛いよッ! やめてよぉッ!! うああぁぁぁっ! 」


「スサノさん、怪我をした子はもっと痛いんですよ? 私も、陽光さんやミコトさん……他の方々も、とても痛い思いをしてたんです」

「ヒグッ、ヒグッ……そんなの知らないよ、だって遊んでくれるんでしょ? 」

「一人だけ楽しむのは遊びとは言えませんよ。では、頭を叩かれたスサノさんは今どんな気持ちかな? 」


まぁ表情を見れば一目瞭然なんですが、こればかりは自分で気づいてもらわなきゃならない。

教えてもらうばかりじゃ駄目なんだけど……これの中々調整が難しいんですよね、特に小さい子には。


「凄く……イヤ。天兄ぃと遊んでもらえない時よりもイヤな気持ち」

「でしょう? じゃあ相手を嫌な気持ちにしたり、悪い事をした時にどうすればいいか知っていますか? 」


再び聞いてみると、少し間をあけて俯きながら顔を左右に振る。

あちゃ~……こんな基本的な事も教えられてなかったのか、じゃあ私は―――


「う~ん……よし、スサノさん。その時はね―――」

「……? 」


そう、まずは此方が謝らないとね。ゲンコツしちゃったわけだし……


「ごめんなさい。頭……痛かったでしょ、大丈夫かな? 」


私はスサノさんの目の前で正座して頭を下げました。

その後顔を上げ、ゲンコツをした場所を撫でながら話しかける……いつまでも怒っていては相手も畏縮しちゃいますから。


「え、え? 」

「小さい頃、私はこのように教えてもらいました。悪い事をしたらちゃんと謝る、形だけの言葉じゃなくて頭も下げる。 大人も子供も……今なら神様相手でも関係なしにね」


スサノさんはきょとんとしてます。もしかしてまたゲンコツをされると思っていたのかな?

ちゃんと相手が嫌な気持ちになる事も分ってくれたんです、これ以上は怒れませんよ。


「なんで、マコトちゃんが謝るの? 」

「私はゲンコツをしてスサノさんを傷つけちゃいましたからね、だから『ごめんなさい』って謝ったんです」


説明すると彼女はまた俯いてしまいました。う~ん、私の説明が雑過ぎたのかな? でももっと分かりやすくするのも難しいし……


「…………て、……なさい」

「ん? 」

「いっぱい傷つけて……グス、ごめん、なさい…………グス、うぅぇぇぇ……」


あややや……泣きながらですがちゃんと謝ってくれましたね。

落ち着くまで少し様子を見ましょうか。




~神界 大広場~


スサノさんは泣き疲れたのかそのまま眠ってしまいました。

今は陽光さんに背負われてます。その隣にはウェーブかかった髪の女性……長さは肩程、先ほどまで八岐大蛇に変化していたお方。スサノさん専属の保母さんこと八頭(やがしら)オロチさんです。


今私達がいるのは本物の神界。地上(ヤマト)から此処に来る際に出る所で、大鏡と噴水のある広場です。スサノさんが眠り、八頭さんが変化を解くと世界が割れました。……ええ、言葉の通りですよ。灰色の空、焼ける建物等々あらゆるモノに白い亀裂が入ってパキンッとね。


「ご苦労だったなマコトよぉ」

「本当にお騒がせを……ありがとうございました、マコトさん」

「何を綺麗にまとめようとしている、まだ終わらないぞ? マコト、もう一つだけ仕事を頼む」

「……分かりました。スサノさんのためにももう少しだけ頑張りますよ」


「え゛……? 」


陽光さんと軽く打ち合わせをしている中、先程の言葉に八頭さんは驚いていますね。開いた口が塞がらない感じでしょうか。


「スマン八頭。全部調べさせてもらった、お前も災難だったな」


とは言ってもスサノさんをそのままにしておくわけにはいかないので、まずは役場に連れて行きましょう。

そこの陽光さんの部屋に寝かせ、今回の件に関係した神様達を集めました。



             ※※※



しばらく時間が経って場所は先ほどまでいた大広場、集まった方々はちょっと偉そうな恰好をしている方が十数名ほど。陽光さんとミコトさんは私の両隣に。まぁ神様達と言っても世界には八百万……つまり沢山いますし、今回集まったのはほんの一部なのでしょう。ほとんどが役場勤めの方みたいです。とりあえず集まった人たちに挨拶をしないと―――


『え~……お忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。私は地上でヒノモト村の土地神をやっているマコトという者です』


舞台に上がり目の間に浮いていた札に向けて声を出すと、ソレは拡声器のような役割をしてくれました。

集まった方たちには明らかに不機嫌そうな顔をしている人もいれば、青ざめている人も……陽光さんは欠伸を、ミコトさんはその隣で腕組みをしながら目を閉じてますね。


「早くしてくれや、こちとら土地神を相手にしてる暇は―――」


「暇はあるだろう、毎日涼しい部屋から出ないで書類仕事ばかり……外にいた方がよっぽど健康的だぞ。まずはコイツの話を聞きな」

「うぐ……よ、陽光様がそう言われるのであれば」


文句を遮るように陽光さんが一言。

うん、助かります。すこ~しだけイラっと来ちゃいましたが、此処は冷静にいかないと……


『今回集まってもらったのは建速スサノさんの件です』


その名前を出した瞬間、全員の顔つきが変わりました。

険しい顔つきの方は眉間にシワをよせ、調子の悪そうな顔いろの方はさらに青く……よほど聞きたくないのでしょうか。


『あのような事が起こった経緯、簡単にですがお話は聞きました』


うぅ……緊張する、あまり口に出したくないなぁ。今までスサノさんは【勉強部屋】に隔離されていたようです。位の高い家系の子供が問題を起こしたとなれば一大事、まずは彼女を他の子達と隔離。そして世間に対しては事件を上手い具合に誤魔化し、その件を利用して陽光さん達の立場を……おっと、もう色々と機密事項らしいので全て言っちゃダメと言われてるんですよね。


どうやら私がノビている間に彼は密かに外と連絡を取っていたらしく、調べれば調べるほどボロボロと黒いモノが出てきたとの事。


『……と以上の事を簡潔にまとめると、貴方達には責任を取ってもらう必要がある、なのかな? ソレについては陽光さんからお話があるようです』


「責任だと? とんでもない、我々は普通に教育を……」

『その結果が今回の事件ですよ、1人の子を隔離して暴走させる事が神様たちの言う普通の教育なんでしょうか? 』

「隔離か……そこまで知っているなら話は別だ。お前も体験しただろう、あの力は―――」


あ、ちょっと口が滑っちゃった。でももう止まらない、いや止まれない。


『危険、だからですか? はぁ……あの子はしっかり謝れたって言うのに何なんですか貴方達は……いい加減にしなさい! 恐れているのは問題が発覚した際の自分の立場だけでしょう。スサノさんはまだ幼い。世間の事、力の加減の仕方もまだ分からない。……そう分からない事だらけ、だからしっかり教えてあげないといけないんですよ!? 大体―――』


説明をしている間も色々と遮られたりしたので溜まっていた鬱憤が爆発しちゃいました。

普段はあまり怒らないせいなのか、一度頭に血が上ると暴走しちゃうんですよね……ミコトさんなんてポカンとしてますよ。途中何を言っているのか分からなくなり、それを見かねた陽光さんは―――


「マコト、ストップだ。ここから先は俺に任せろ」

『で、でも……! 』

「任せろ、な? 場所変わってくれ」


珍しく真面目な陽光さんの目を見てさすがに冷静に。深呼吸し、私は血が上って荒れた事に関して一言謝ってから降りました。私のやっていたことは自分の意見を押しつけているだけでしたね、反省しないと。



陽光さんは静かに話し始めました。まず各関係者親子への謝罪と情報の開示。集合した方たちの企てた計画とその行為する処分等々。そして最後に―――


『……とまぁこんな感じに話を進めるていく。そしてヒノモト村の土地神、マコト……今回は助かった。ありがとう、そして身内共々迷惑をかけた申し訳ない』


此方を向いて深々と頭を下げてのお礼と謝罪の言葉……今度は私がポカンとしてしまいました。

もちろん話を聞いていた人たちも同じ表情。


「よ、陽光様! なぜそのような……」

『何故? 過ちを犯したら謝る。そんな当たり前の事も教えてもらっておいて……まだ分らねぇのかこのスカタンども!! まさか最後まで言わねぇと理解できねぇのか? 』


そう言うと人々の顔色が青ざめる。陽光さんは指でパチンと音を鳴らした。

すると先ほどまで周囲に居なかったはずなのですが、【御用】と書かれた提灯を持った方々が出現。

集まった神様達を囲み、次々と刺又を使って地面にねじ伏せ、拘束していきます。


『謝罪の後は償いがある。でも、穏便に済ませようと思っていたんだが限界だ。自分たちの計画の為に妹を……家族を利用した罪、償ってもらうぞ、連れていけ! 』


次々と連れられて行く……もう話しても良いかな? え、ダメなんですか? でも一部だけならOK?


コホンッ……今回の件、全て仕組まれていたようなんです。

先ほど言った通り、スサノさん、いえ陽光さんの家族は神界でもかなりの名家。現世でもかなり有名ですからね、その中の一人が大きな問題を起こしたとなれば……なんかなぁ、色々とテンプレみたいですね。

前に陽光さんは預けられたと言っていましたが、もしかしたらその時から計画は動いていたのかもしれません。


でも、何も知らない子供達を利用するなんて酷い話……八頭さんは捨て駒として選ばれただけの様ですが、相応の罰はあるそうです。この場に残ったのは陽光さん、ミコトさん、八頭さん、そして私の4人。


「ふぅ……久しぶりに怒っちまった。さて、八頭よ」

「は、はい……」


「お前は巻き込まれた立場とはいえそれなりの罰は受けてもらわにゃならん……が、スサノの相手をしてくれていたおかげで神界への被害は最小限にとどめる事が出来たのもまた事実。よって―――」


そんなに重くない罰なら良いのですが……


「天照大神として処分を言い渡す。……今後もスサノを頼む、アイツはまだ知らない事が多すぎる。少しずつでも教えてやって欲しい」

「よ、陽光様……! 」


「しかし地上でな、今回の件でしばらく神界は忙しくなる。場所はヒノモト村、マコトに任せている村だ」


……ん? なにやら聞き覚えのある名前が聞こえてきましたね、ヒノモト村と。


「数日後に二人がヒノモト村に行く。スサノへの罰はしばらくの間地上で生活してもらう事、厳しいかもしれないが、正面から叱ったお前になら任せられる。頼んだぞマコト」


陽光さんの話が終わると、今度は私の身体に異変が……光が溢れてきてます。

段々溢れる速度が上がってきている。


「よ、陽光さん!? これは一体……」

「今回は急だったからな、さすがに時間切れだ。今度はしっかり通行証の勾玉を持って、あの鏡の所から来い」

「マコトさん、今回はありがとう。スサノの姉としてお礼を言わせてもらうわ、本当にありがとう」

「すみません、近々お世話になります。その時はまたよろしくお願いしますね」


「ちょ―――」




言葉は此処で途切れ、目の前は真っ白な光で覆われました。

次に目を開けた時は私の見慣れた風景、部屋の囲炉裏の前に座っていました。


外に出るとすっかり日は暮れてしまい、空には月が輝いていました。

どれくらい時間が経ったのかな? 一日、それとも数時間?


そして境内の中央には膝をつき傷だらけのクロと、それを見下ろすシロ。話によるとちょっとした訓練をしていたとの事。ホントにちょっと……なの?

とりあえずご飯にしましょうか、終わったらお腹が空いてきました。

私も神界であった事を話さなければいけないですし、今度来る人の話も。


ん? 確か二人はスサノさんと面識があったんだっけ、なら何とかなりそうですね。


9月です、気が付けば2017年の日数も少なくなってきましたね。

ど~もKUMAです。


とりあえず今回でスサノ編は終わりとなります。彼女の処分としては地上でしばらく過ごす事となりましたが、自分の中で一番納得のいくモノでした。八頭はそれの世話役としてついていく形ですね。

正直、神界を永久追放とかしたくないんですもの……(;´・ω・)

今後はヒノモト村へその二人が参加する事となるのですが、スサノと面識のあるシロとクロがどんな反応をするのか、フフフ……どうなるんでしょうね?


今回は短めですが、此処まで。

また次の機会にお会いしましょう、ではでは~



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