第20話 神様大暴れ?!
~神界(?)~
ゴゴゴゴゴゴ……
『アハハハハハハハッ! 』
「ウワワワッ!? 貴方のスタミナは無尽蔵なんですかッ?! 」
ど~も皆さま、マコトです。開始早々結構ピンチな状況となっております。
現在、巨大な八つの頭を持った蛇に追いかけられています。その頭の1つには小さな女の子が乗って怪獣を操っているようですね。それぞれの頭部から熱線や炎、氷等々……口から吐き出して街を破壊しながらグイグイ来ていますよ。
陽光さんの転移に巻き込まれて神界に来たと思ったんですけどね、もう雰囲気がマルっと違う。
あの穏やかな街並みは? 青い空は何処に行ったのでしょうか……今此処にあるのは廃墟と暗い空。
「陽光さん、恨みま―――」
『潰れちゃぇーーーーーッ!! 』
ズドンッ……
※※※
少し時間は戻って、此処に転移した時の事
「あぁ~……マコトよぉ、先に謝っとく。スマン」
「なんで謝るんですか?! それよりもこの状況は一体何なんですか! 」
目を開けた先の光景は焼ける神界……空は暗く、建物からは黒煙が上がっていた。
そして真剣な表情をした陽光さん。崩壊した街を睨んでいます、どうやらこの様な状況を作り出した元凶がこの先にいるみたいですね。
……ん? んんん?
「あ、あのぉ~陽光さん? 凄まじい速度で巨大な何かがこちらに―――」
「早速バレたか、しゃがめマコト。 攻撃が来るぞっ!! 」
その言葉を聞いた瞬間でした。迫りくる巨大な影から光が放たれたのです。まぁはるか上空を通ったので無傷。本数は八、光のおかげで一瞬でしたが蛇のような頭を確認できました。
「蛇……? 八つの頭ってまさか」
「そのまさかだ、お相手は八岐大蛇。そしてもう一つ……俺の妹だ」
陽光さんの言葉を遮るように、幼い声が聞こえてくる。
前にも聞いた覚えがありますね、神社を建て直した時くらいだったかな?
「見ぃ~つけたっ! 天兄ぃどこに行ってたの? その人はだぁれ? 」
目の前には巨大な蛇の身体が、見上げるのに首が疲れそうですね。大きさは15m程でしょうか、大体ですけど。今の声は上から聞こえて……って蛇頭の1つが降りてきました。その上には小さな女の子が座っています。金色の髪を後ろに束ねて髷のようにし、やや大きめのサイズの着物を着ています。裾や袖を引きずりそうですね。そして右手に持っているのは……七支刀?
「あ~、便所だ便所。んでもってコイツは……新しい遊び相手だ」
「あなたも天兄と一緒に遊んでくれるの!? やったぁ!」
おやおや? 何やら話がおかしい方向に、遊び相手とはいったい何なんでしょうか?
とても嫌な予感がするのですが……
「まぁ待てスサノ、俺にちょっと考えがある。 お前は八頭と組んでるのにコッチは1人……それでは俺たちの身が持たねぇ、遊びはそろそろ終わりにしたい」
「え~、まだ遊びたいっ! ヤダヤダヤダァッ!! 」
「話を聞けって。今から俺はコイツと組む、それで勝ったらもうしばらく付き合ってやるよ。ただし、負けたらこの遊びは終わりだ」
「……その人強いの? 」
いやいやいや、何で強いかどうか聞いてくるの? 必要ないよねその確認は。
天〇一武闘会じゃないんだし、そもそもどんな遊びなんですか。
「ああ、こんな姿だがとびっきり強い奴だ」
「天兄ぃと同じくらい? 」
「おおそうともさ、じゃぁ30分後に再開だ、チョイと準備があるからな。来い、マコト」
「ちょっ、陽光さん?! ちゃんと説明……行きますから襟元掴んで引っ張らないでください~! 」
※※※
陽光さんに連れられて来たのは廃墟となった役場でした。
何が起こったのか事細かに聞きだしましょう、はぐらかされるかもしれませんがね。
「そんな事はしねぇよ、多分。さすがに巻き込んじまったからな」
「ではまず……この状況は一体どうしたんですか? あの娘がやったんですか? なんで―――」
「分かった分かった、準備しながら一つ一つ答えてやるから」
そう言うと陽光さんは適当な大きさの廃材を手に取り、宙に投げて刀を一振り。一瞬で将棋の駒に近い形になり、木目も新しいモノになりました。これはアレですかね、代行証を作るのかな?
「まぁそうだな……この街の状況から話すか、一言で言えば神々(おれたち)が作った虚像の神界だ。アイツが思う存分遊ぶ為のな」
「あ、遊ぶ? どう見ても暴れているようにしか見えていないのですが」
「アイツにとっては遊びなんだよ、……大人の神様を相手にな」
相当力の強い子なんでしょうか、陽光さんの顔は暗くなっていますが詳細を聞くとミコトさんや他の方々と交代しながらスサノさんの相手をしているようです。とは言ってもまともにその相手をできるのは陽光さんとミコトさんの2人のみ……う~ん、さすがは須佐之男命ですね。
「でも強制的に戻されるのってあんまりですよ! 傷だらけなのにまたあんな大きな蛇と戦うんですか? 」
「……しょうがねぇだろ、アイツの力とタメ張れるのはそうそういないもんだ。っと出来たぞ」
投げられたのは代行証、ではなく【天照大御神】と書かれた駒状の板。
頂点部には白い縄が通されており、帯に通せばぶら下げる事が可能ですね。
「代行証……とは違いますね、なんですかコレ? 」
「書かれている通りのモノだ。この木札を持っている奴が天照大御神ってな」
「へぇ、名札みたいですね。……なんで私に? 」
「そりゃお前が戦うからさ、俺はこの通り満身創痍な状態だ。 まぁ安心しろ、木札の中から力を送れば俺と相違ない存在になる。つまり、八岐大蛇とスサノのタッグともまともに戦えるって事だ」
「え……えええええええっ?! 」
話も早々に陽光さんの身体は光となり、木札の中に入ってしまいました。
次第に身体が熱く……内側から力が込み上げてくる感覚がしてくる。
着ていた服も変わり有職装束に……って、装飾品がちょっと豪華に。
うわっ背中には日輪まで出てる?!
『おぉ? お前も神として成長してるみたいだな。その日輪まで出るとは思わなかったぜ』
「え~……村の人たちと一緒に生活してただけなんですよ? 後は物の怪を退治するくらいだったかな」
『十分十分。悩みを聞き、人々を助けるのも立派な神の仕事の一つだ。時間はまだある少しだけ慣れとけ』
とりあえず陽光さんの指示に従うとしますか。どう足掻いても手遅れですし、覚悟を決めましょう。
この状態でできる事は浮遊に式神・乙の召喚。なんと今なら三種の神器も扱えるんですか?!
八咫鏡、八尺瓊勾玉、天叢雲剣……ちょっとワクワクしてきちゃいました。
「でも持ってるのは大幣の杖なんですね」
『念じりゃその杖が変化する。複数の形態を同時には扱えないが、そこは上手くやってみろ』
大幣の杖は……分かりやすく言えば巫女や神主の方が祈祷の際に使う道具です。
こう、バサバサと振る感じの。
試しに剣をイメージしてみると瞬時に変化してくれました。想像とはしていた装飾豪華なモノとは違って、片手で持てるほどの武骨な両刃剣。でもとても強い力は感じます、適当に振ってみると先に置かれていた岩が真っ二つに。
『気を付けろ~、切れ味はちょっと離れた岩をもスルリと切っちまうほどだからな』
「うわぁ……断面がツルツルですよ、凄いですね」
その後も陽光さんの神器解説は続き、あっという間に約束の時間が近づき移動する事に。
スサノさんの事も中途半端にしか聞けてないです、今ある情報は兄妹の中でも末っ子でじゃじゃ馬娘、
霊力が他の神様よりも強い、まともに相手が出来るのは陽光さんとミコトさんの2人のみ。
そもそもなんでスサノさんは駄々をこね始めたのでしょうか? 聞く余裕があれば聞き出してみましょう。
『……そんな余裕はないと思うぞ』
「なら移動しながらで良いので教えてください」
『アイツは―――』
ゴゴゴゴゴゴッ
陽光さんが話を切り出そうとした時、地面が激しく揺れた。
どうやらスサノさんが待つのに限界を迎えたらしく、開始5分程前にフライング。
すぐにこの場から離れる事を推奨されました。
※※※
~虚像の神界~
陽光さんの指示に従い、その場から急いで離れたのは正解でした。
先ほどまでいた場所に熱線が放たれ、更地となってしまいました
「余裕……なさそうですね」
『だろ? 集中しないと一瞬でミンチか炭になるからな』
『天兄ぃ~! 待つの疲れた~!!』
少し遠くでは八岐大蛇が大暴れしています。スサノさんが乗っている頭部を拡声器のように利用して自分の声を大きくしているようですね。怖いけど距離を詰めてみましょうか
「お待たせしました、スサノさん」
「あれ? 天兄ぃは何処に行ったの? 」
「えっと……、この木札から私に力を送ってくれていますよ。何か感じませんか? 」
そう答えると彼女は目を閉じて意識を集中し始めました。
話せる距離になると普通に話してくれましたね、さすがに近くであの声量は鼓膜が危険です。
何かを感じたのか目を開くとニパッと笑顔に……可愛いですね。
「分かる! 天兄ぃそんなところで良いの? 」
『あぁ、特等席だ。八頭と同じ所で戦わせてもらうぜ』
「ん~……まぁいっか! えっと、お姉さんお名前は? 」
そう言えば名前教えてなかったですね、陽光さんも言っていた気がしますけど……最初が肝心です。
しっかり自己紹介しましょうか。
「地上のヒノモト村で土地神をやっています、マコトって言います。よろしくね、スサノさん」
「……うんっ、マコトちゃんね! じゃぁさっそく始めよ!!」
あらら、握手しようと手を出したのに無視されちゃいましたね。
一瞬顔が暗くなったと思いましたが、すぐに大蛇ごと背を向けてしまったのでよく分かりませんでした。
適当な距離を取ると、こちらに振り向いて一礼してきました。蛇の頭も一緒にペコリと。
『よろしくお願いしま~す!! 』
「……こちらこそ、よろしくお願いします! 」
負けじと大きな声で挨拶。……までは良かったんですが、顔を上げると蛇の口が大きく開いていました。
中では朱色の光が煌々と輝いていますね。
『ヤロウいきなりかッ、マコト! 鏡だ!!』
「ふぇッ?! は、はい!! 」
大幣の杖を前に投げ、身を守る事を意識すると大きな胴鏡に変化しました。
鏡面の裏側は磨かれた青銅が輝いています……とても綺麗ですね。
ドォンッ!!
蛇の口から熱線が放たれる。真直ぐ八咫鏡に向かっていき、2つは衝突。
ビリビリと衝撃が伝わってきますが熱線を完全に防いでいますね、さすがは三種の神器の1つ。
……攻撃が終わった後に赤熱してますがね。
『チャンスだ! 奴の攻撃をそのまま返してやれ!! 』
「鏡、真っ赤になってますよ!? 」
『良いからッ早くしろ! 』
手を前にかざすと鏡も同調して動き出してくれました。
手のひらが鏡面と思えばいいんですね、大蛇の胴体を狙ってみますか。
少し角度を調整して
「……エイッ! 」
ビッ……ズドンッ!
『アハハハッ、それ神器の八咫鏡? やるねマコトちゃん! 』
軽く掌底を打ち込むように手を動かすと、鏡から先ほど受けた熱線が放たれました!
真直ぐ胴体へ向かっていき、そして直撃。すると……
『イっタァァァァッ?! 何ナニ?! 何が起きたの?! 』
別の蛇の頭から女性の声が……スサノさんではないですね。
※少しややこしくなるので、ここから先は『』の前にそれぞれの名前を追加します。
「へ? だ、誰の声ですかッ?!」
(陽光)『……スサノの保母だ。八頭オロチ、やぁっと目覚めやがったか』
(八頭)『よよよ陽光様?! これは一体何なんですか!』
(陽光)『うるせぇっ、眠気覚ましにゃ丁度良いだろ! スサノと相手するのにこっちも本気になっただけだ』
(八頭)『ほ、本気に?! ……って貴方誰ですか? その木札から陽光様の霊力が感じるのですが』
む、どうやらこの八頭オロチという方はスサノさんの乗っている八岐大蛇に化けているようです。
霊力が強いとこれほど大きな身体になれるのですね。とりあえず自己紹介を……
「初めまして。土地神のマコトです、えっと……陽光さんの力を借りてスサノさんの遊び相手をする事になりました」
(八頭)『土地神? 何故こんなところに……』
(陽光)『俺にも原因はあるんだが、スサノを抑えきれないお前にも責任はある。痛みは我慢しろ』
(スサノ)『うるさいなぁ、ちゃんと遊んでよ~!』
「うわっ?! 」
スサノさんが蛇の頭を使って薙ぎ払い攻撃をしてきました。
間一髪で回避できましたが、八頭さんの悲鳴がこだましています。
自分の身体を強制的に動かされているなら無理もないですね、そしてゴメンナサイ。
私もまだ死にたくないんです、全力で抵抗させてもらいまよ。
早い……時間が過ぎていくのがとても早く感じています。ど~もKUMAです。
気温の変化が激しく、先月はかなり体調が不安定でした。まぁ今月は今月で暑さにやられそうですけどね……水分補給はしっかりと、うん。大切な事です。
今回のお話は土地神と天照大神タッグVS須佐之男命と八岐大蛇タッグの戦いが始まった所。
圧倒的にマコトたちが不利のようにも感じますが、『三種の神器』と強力な道具もあるので何とかなるでしょう。かなり有名な名前ですし、特に説明は……大丈夫ですよね? いや洗濯機や掃除機とかじゃないです。
え~……その三種の神器の1つ、八咫鏡をさっそく使ってもらいました。この神器は主に防御面で活躍します、使い方次第では攻撃にも転用できますが……いや、攻撃の反射ではなく物理的な使い方で。
それはマコト次第になるでしょう。
今回はここまで、また次回にお会いしましょう。
ではでは~




