第2話 土地神は二度落ちる
ど~も、無理やり土地神にされた身体 マコトです。
ちょっと大変な事になってます、なぜなら……
「きゃぁぁぁぁッ! 私ッ落ちてっ、死ぬぅぅぅぅッ!! 」
普段こんな叫び方はしないのですが、かなり焦ってました。
誰でも転生してすぐに死ぬなんて嫌だと思う、このままでは歴代最短の記録になってしまいます。
蝉になった時でも1週間と4日は生きてましたよ……運悪く子供に捕まえられたんですがね。
「誰かっ、誰か助けてええェェェッ! 神様ァァァッ!! 」
ホント自分が土地神である事を忘れてました。
でもこの時、ホントに来たんですよ。
「ったく、しょうがねぇな」
その言葉が聞こえた瞬間、いきなり落下が止まった。
「ウグッ……! あ、あれ、止まっ……た? 誰もいないのに? ホントに神様が? 」
私は宙吊りのような状態で探しましたが、辺りには誰もいない。
そのまま下を見ると日本と他の大陸がありましたが、どれもよく知っている形ではなかった。
北海道から青森辺りまでは白い雲で覆われてよく見えなかったのですが、ユーラシア大陸と北方領土が繋がっている気がしたんです。さらに、本土側にも所々違和感を感じる……。
「日本……でも、なんか変だ、よく分からないけど」
「……直感でもそれだけ分かりゃあ十分だ」
やや低めの声、男性のようだ。
私はもう一度見回すがその姿を見つけるができない。
「今はまだ、だがな。 それとコッチだ、首だけじゃなく身体動かせ」
「う、動かせっていっても上手く……クッ」
手足をバタバタと動かしても全く体勢を直せない。
「……(なんか面白いからこのまま見てよう)」
「ホイッ、ヤッ……ダメだ。 全く動けない」
徐々に虚しくなってきました。
しかし、今度は適当に身体を左右に揺らしたり捻ってみる。
「お? なんか上を向け、そうだっ」
勢いをつけて身体を捻る、するとあっさり仰向けの状態になった。
私の視線の先には小さな男性……いえ男の子が胡坐をかいてこちらを見てます、それも笑いながら。
白い着物には炎のような模様が描かれてますね、でも逆光で見えにくい。
「おっと、見つかっちまったか」
「は、初めまして、マコトです。……見てたなら助けてくださいよ」
「めんどくさくてな、それよりお前が新しく来た土地神だろ? 」
「えぇ……へ? ああ、ハイ」
質問に答えるとめんどくさがりな少年は説明を始める。
「まず俺の紹介から。この世界の天照大神、陽光だ」
「あ、あまてらす……おおかみ? あの天照? 」
「此処のな、一応お前たちの上司だ。よろしく」
見た目が子供だからあまり信じられない。
疑いの視線を感じた陽光さんは頭を掻きながら咳払いをする。
「……ま、流石になんでもできるわけじゃない。俺の役目は見守る事、人間や妖怪、そしてお前たちをな」
上で輝く太陽を指差し、ニヤリと笑みを浮かべた。
全てお見通しってことなのかな?
「それで今の状態なんですけど……」
「扱いは霊体時と同じだろ、いつまでそんな体勢でいやがる」
言われてみればそうですね。
起き上がり、私は陽光さんと同じ高さまで上昇する。
見れば見るほど少年ですねぇ……10~12歳位の顔立ちにやや長めの白髪、瞳は黒色。羽織は無いが白い着物、白い袴には炎のような模様が入っています。
「こっちは時間があまり無いんだ、とりあえず日本の状況だけでも簡単に説明する。
聞いとくだけでもだいぶ違うからな」
1、この世界の日本の形について
九州地方は海で分けられてるが、四国と本土は陸で繋がっていた。北海道と青森は年中深い霧に覆われ陽光でも確認できないらしい。本土の形はあまり変わってないようだ。
2、【妖怪】と【物の怪】の存在
【妖怪】は意思疎通ができる、中には人と暮らすモノもいる。
【物の怪】は自身の破壊・捕食衝動を抑えられず、人や動物を襲うようになった妖怪を示す言い方。
3、土地神 マコトの使命
村の発展とそこに住む人々の守護。
「こんなとこだな、質問はあるか? 」
「……あります。 1つ目、並行世界ですかここは? 」
「そうだ、何らかの原因で色々とズレていった世界の1つになる。」
「では2つ目、人間の進化過程は? 」
「一応ちゃんと進化している、お前のよく知る形でな」
「最後の3つ目、時代はどこまで進んでますか? 歴史上の人物はどうなったの? 」
「それじゃ大体の年代だけ教えてやる。 和暦で天正、西暦でなら1500年より進んでる」
1500年より……確か戦国時代の頃だ、あまり自信ないけどね。
そこより進んでるってことは秀吉が天下人かな? それとも家康まで……
「それと日本じゃなく大和って名前になってるぞ……って聞いてないな」
全く聞こえてなかった。
私がブツブツ呟きながら考えていると陽光は軽くため息を吐き、話しかけてくる。
「ハァ……残念ながら時間だ。後はまぁ、自分で頑張りな」
「……え? 」
彼は指をパチンっと鳴らす。
すると宙に身体を浮かせていた力が無くなり、落ちて行った。
「ハァッ!? う、嘘だああぁぁぁぁぁぁッ!!」
見る見るうちに陽光さんの姿は小さくなって行く、手を振っているようにも見えた。
とても神とは思えないような笑みを浮かべながら……
読んでいただきありがとうございます。
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茶番劇などの予定はありませんのでご了承ください
※希望があればチョット頑張る……かも?
次回の更新日は3月12日です。
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