第13話 神社完成!
~ヒノモト村 神社~
約束の日、早朝。
すでに結界は解け、棟梁さん達も神界へと帰っていきました。
ど~も皆さんお久しぶりです、マコトです。
無事完成しましたよ、神社が。
石畳を始め、穴の開いていた屋根や、私が踏み抜いた床等も綺麗に直りました。
社家住宅と倉庫も同じです。これも棟梁さん達のおかげですね~。
完成祝いとして神具や祭具、そしてあのヤカンまで頂いちゃいました。
「ん~……空気が美味しいぃ~」
腕を一杯に伸ばす、いやホントに空気が変わった気がするんですよ。
澄んだ空気というのかな、かなり落ち着きます。
「そうだ、村の人たちに伝え……ん? 」
なにやら鳥居の向こうが騒がしいですね、多分人かな?
そうそう、物の怪の気配と人の気配の区別がつくようになったんですよ。
物の怪はこう……トゲトゲしていてドロドロしてるんです。
おっと、どうやら当たりみたいです。
「あの娘っ子……あ、いやっ、とと土地神様!? 」
「ホントに終わっただか?! 」
「コイツぁおったまげただぁ」
村人が3人、おや? 遅れて、えっとあの人は……与作さん。
急いで登ってきたのかな?
「ひぃ、ひぃ、ひぃ……皆速ぇだぁよ。 ん? お前ぇさん、もしかしてあの娘っ子だか?」
「そうですけど……な、なんですか? 私変なところありますか? 」
自分なりに確認してみたんですが、特に変わった所は無いです。
あ、でも少しだけ頭が重いような気がする。
「いやお前ぇさん、そんなに長かっただか? 」
「長いって……ああ、髪ですか。こんなに伸びてたんだ」
あまり気にしてなかったけどいつの間にか肩甲骨付近まで……。
神様でも髪は伸びるんですね~。
「オラぁ皆さ伝えてくるだッ! 娘っ子はホンモンの土地神様だぁ~!! 」
「ま、待ってくんろ~、オイも行ぐだ~」
あらら、与作さん以外行っちゃいました。
彼は顎を触りながら神社を眺めてますね、信じられないモノを見ているように。
「なんとか約束守れましたよ」
「いんやぁ~驚いた、ホントに直すとは思わなかっただ。皆さ説得しでも此処さ行ぎたぐねって言うし、村ん中さも物の怪はでるし大変だっただ」
あ~、最初のは多分結界の効果ですね……ってそれよりも重要な事言ってましたよ、与作さん。
村の中に物の怪が出たって、ほかの方は大丈夫だったのでしょうか?
「あ、あのっ! 物の怪って……大丈夫だったんですか? 」
「ん、ああ。心配ぇねえよ。空がら御天道様が来てくっでな、犬っころ2匹を置いてったんだ。んでなその犬っころが―――」
与作さんはアレコレ手を動かしながら話してくれてます。
せ、説明はありがたいのですが、雑把すぎる……もう少し詳しく話してもらわないと。
御天道様というのは陽光さんですよね、でも犬というのは?
「マコト様っ! 」
「ほぇ? だ、誰です―――」
男の人の声? 突然名前を呼ばれて驚きました。
鳥居の方へと振り返ると―――
「お待ちしてましたーーーっ!! 」
「かぁっ?! ひ人……イっふもっ!?」
人と思いきや犬が飛んできました、黒い柴犬さんです。
勢いそのままに飛び掛かられ押し倒されてしまいました、かなりモフモフ……。
そして顔を舐めてきます。
「ワッ、舐め……ちょっ、やめっ」
ペロペロペロペロペロペロ……
な、舐めるのをやめてくれません、手でガードしても巧みにすり抜けてきます!
ワップ、つ、ついに語りにもウプっ、支障がっ―――
「クロ、やり過ぎだ。 主殿も困っておるだろ」
「わふっわふっ……ばうっ!? 」
こ、今度は誰ですか……いきなり舐めるのをやめて退いてくれましたが、あれ?
柴犬さんが……消えた?
白い羽織の女の子と、黒い羽織を着た男の子? がいます。
黒い羽織の子は申し訳なさそうにこちらを見てますね。
「も、申し訳ありませんマコト様!! 」
「へ……? なになになにっ?! なんで私【様】を付けられてるの!? 」
「主殿よ、説明はするから顔を拭いてくれ」
そしてもう一人はなんで【主】と呼ぶの? なんで黒い子は土下座してるの?
と、とりあえず顔を拭きましょう。えっと何か……あ、白い子が手ぬぐいを渡してくれました。
コレ新品ですね、ちゃんと綺麗にしてから返さないと。
「返さなくてもいいぞ、ソレは主殿へ差し上げよう」
「あ、ありがとうございます。それであなた達は―――」
「申し訳ありませんでしたマコトさまぁぁぁぁぁぁっ!! 」
「クロうるさいっ」
「ぎゃいんっ!? 」
おおぉ、クロと呼ばれた子のわき腹に蹴りがはいりました。
……あの位置は痛いなぁ。
「ふぅ、さて主殿。 アチキの名はシロ、こっちで悶えてるのはクロと言う。我々は―――」
何事も無かったのかのように説明を始めました。
ナルホド、彼女たちは【神使】で、簡単に言うと私のお手伝いをしてくれるんですね。
畑怨霊、土蜘蛛を初め、様々な物の怪から……ついさっきまでは河童を相手していたと。
神社再建の間は2人で守っていてくれたのですね、すごいなぁ二人とも。
そういえば犬から人に変化してましたね、もしかしてアレもできるのかな?
ちょうど終わった様なので聞いてみましょう。
「ありがとうございました、あの―――」
「いや、アチキ達は当たり前の事をしたまでだ。礼を言われるまでもない」
あ……聞くまでもなかったです。
犬耳と尻尾が出てきましたっ、リアル獣っ娘ですよっ!
コホンッ……さすがに初めて見ましたので興奮しちゃいました、これって与作さんにも観えてるのでしょうか?
「(あの……与作さん、彼女何か変わった所あります?)」
「(んん? いきなりなんだべ、特に無ぇだぁよ)」
どうやら私にだけ視えてるようですね、どうしましょう……。
とりあえず―――
「あ、主殿? これは一体……」
「私がいない間、皆さんを守ってくれてありがとうございます。
今はこれ位しかできませんが、いつかちゃんとお礼をしますね? 」
「いや、そんな……」
頭を撫でてみました。
照れながらも尻尾を左右に小刻みに振ってる……可愛いなぁ。
もう一人の子は……コッチを羨ましそうに見てますね。
「クロさん……でしたね? 一緒に守ってくれてありがとうございます」
「マコト様っ! 」
この子も耳と尻尾を生やして来ました、撫でてあげると同様に振ってます。
おや? 何やら聞き覚え―――
『あ~……お前ら良いか? 声だけだが失礼するぞ、ついでにお前達だけにしか聞こえないからな』
「お~陽光さん、お久しぶりです」
「「よ、陽光様っ!?」」
せめて言い終わってから……まぁいいか。
2人は私から離れるとその場で座礼。
私も一緒に礼をしておきましょう、後が怖いですし。
『マコトよぉ……後で神界に呼び出すからな。え~とりあえず神社の再建ご苦労さん、ようやく第1歩を踏み出せたようだな。そしてシロ、クロ。お前たちもよくやってくれた。今後はマコトの元で修練を積んで、コイツに助力するようにな。でだ―――』
陽光さんサピッと終わらせたなぁ、2人とも頑張ったのに……後で抗議しましょう、呼び出しの件も一緒に。
でもなんでしょうか、時折陽光さんの声に混じって別の声が聞こえますね、小っちゃい女の子のです。
段々とにぎやかになっていきますね、何かが落ちたり倒れる音も聞こえてきます。
『…………だぁーーーーっ! スサノっ、てめぇ少しは静かにしやがれ!!』
『イーーヤーーーなのーーーーッ! 天兄ぃと今すぐ遊ぶのーーーーーーーっ!!』
「~ッ?!!??!」
だ、誰かは知りませんが勘弁してください……耳元で大声出されたようにキーンっとします。
シロさんとクロさんは大丈夫、みたいですね。いつの間に耳栓を準備したんですか?
それより、スサノというのは陽光さんの妹さんでしょうか? 大分ヤンチャな子みたいですが。
『だぁ~かぁ~らぁっ! 仕事終わったら遊んでやるって言ったろ!?
大人しく八頭の所で待ってろっ!! 』
『ヤァァァァァァッ! いま遊ぶのーーーーっ!!』
手で塞ぐだけでは大して効果が無いです、私も耳栓が欲しい……。
耳がおかしくなる前に何とかしないと。
「あ、あの~陽光さん? 立て込んでるようでしたらまた後ででも…… 」
『スマンっ、神界から祝いの品を送っておくから好きに使ってくれ! ゴラぁっスサノォ!! いい加減に……アダダダっ!? 暴れ―――』
中々大変そうですね、小さい子の面倒も見るのもお仕事なんでしょうか?
顔を上げると、何故か両隣の2人は……
ガタガタガタガタガタガタガタガタ……
小刻みに震えていました。
特に怖いと思う点は無かったと思うんですが、私が呼び出される事以外。
「え、え? どうしたの2人とも?! 」
もしかして足が痺れたんですか? なら立って動かすのが一番ですよ。
動かないといつまでも辛いのです、実体験ですよ。
いや何か小声で言ってますね、なになに……
「(怖い怖い怖い……スサノ様ゴメンナサイ耳や尻尾を引っ張らないでください背中で暴れないでください玉ねぎを近づけないで―――)」
「(あ、アチキは何も聞いていない聞こえないあの方の声なんて聞こえていないんだそうだ気のせいに違いない蛇に乗って刀を振り回す少女なんて存在しない―――)」
どうやらスサノと呼ばれる子にトラウマがあるようです。
う~むどんな子なんでしょうか?
そしてもう一つ、境内にいつの間にか風呂敷が。
おそらく先ほど陽光さんが言ってた贈り物かな?
「け、結構大きいですね……よいしょっと」
少し苦戦しつつも広げることが出来ました。
包まれていたのは大きめの竹籠、これも開けてみましょう。
「何も……ない? ってウワァッ?! 」
空と思っていたら突然輝きだしましたよ?!
中からは米俵、酒樽、野菜が……いやいや多すぎます、食べ物以外もどんどん出てきます!
あ、このお札たぶん特売品だ。
束になってるモノに糊で【式神・丙 各種詰め合わせ】って紙が貼られてます。
食べ物以外は誰かが使ったお古の農具や特売品……
「せめて紙ぐらいは外しましょうよ、いやでもこれは……与作さ~ん! 」
「ん、今度はなんだべ……ってドワアアアァァァ?! 」
おお、いいリアクションですね。
そんな事より説明しなくては……
※※※ 説明中 ※※※
与作さんへ説明してる間に他の村人さんも来ましたね、あとあの無茶ぶりをした村人Bさんも。
「―――と言うわけなんです」
「はぁ~……こりゃありがたいっちゃ」
「おいおい、こンの農具まだまだ使えるべ。ホントに良いんだが? 」
「どうぞ使ってください、私が持っているよりも良いですから」
食料、農具の分配はシロとクロがせっせと進めてくれてます。
そうそう、彼らが【さん】つけは勘弁してほしいとの事だったので外して呼んでいます。
これだけあればしばらくは食料は問題ないはず、後はどうやって村を発展させるかですね。
「……おい」
まずは住居からかな、シロから聞いたところ大分ボロボロみたいだし、次に田畑の……。
「おいっ、聞いてんのか?」
となると色々と必要になってきますね、また神界に行って相談してみようかな?
……そうだ、ミコトさんに聞いてみましょう。
「いい加減にしやがれぃっ!! 」
「ぴゃぁっ?! 」
だだだ誰かと思ったら、あの薄情な村人Bさんでしたか。
この際名前も聞いておきましょう、いつまでもモブ扱いは可哀そうです。
……作者さん、そんな面倒くさそうな顔をしても駄目ですよ?
ちゃんと考えているんでしょう?
「おら、呆けてんな土地神さんよぉ。 オメェは確かにこの神社を立て直した、約束通りな」
「え、ええ。正直私だけでは無理でし―――」
「んな事ぁ知ってる、どんな手を使ったかわからんがオメェは約束守った。だから認めてやる、ホントに此処の神様って事はよぉ……」
おお? なんだかんだで認めてもらえました、【薄情】なんて言ってゴメンナサイです。
でもクロに対しても冷たい態度だったみたいだしもしかして何か―――
「認める……が、信用はしねぇ。 いつ裏切るか分からんからな、ある程度力を溜めたら消える……それがオメェ等【神】だ」
「む、消えませんよ、そう簡単には。任された事は投げ出さないのが私の長所ですから」
ここは退いてはいけない気が……思いっきりドヤ顔をしちゃいましょう。
まぁ正確には投げ出せないなんですけどね、頼まれると断れないんですよ。
どうもこの人は一筋縄にはいきませんね。
「どうだかな……おぃ与作ぅっ! オメェも騙されるんじゃねぇぞ? 」
「んぁ? ああ、大丈夫だぁ。この娘からは嫌な気がしねぇよ、嘘を付けねぇ顔しとる。それよりオメェも名前くらい教えてやれや」
「ん……むむむ」
ナイスパスです、どうやって聞くか迷ってました。
でも渋ってますよ与作さん、この人。
「―――玄内だ」
「へ? 」
「俺の名前だ、この村で薬師やっとる」
苗字は【平賀】とか言わないよね?
薬師……たしか昔のお医者さんの事ですよね、これはありがたいです。
村の事を処理するのは全部私が解決! ……と言うのは駄目って声が聞こえる、気がします。
「よしっ、今日は呑むべ! 神社再建と村さ新しい仲間が来たお祝いだぁっ!! 」
「おいっ与作! 勝手に決め―――」
あ~……引きずられていっちゃいました。
でも今日くらいは浮かれても良いよね、さっそく準備手伝わないと。
クロとシロはお酒大丈夫なのかな? 呼びに行ったとき聞いてみましょう。
明日から一歩ずつでも進められれば……まぁゆっくり頑張ります。
ふぅ……やっと色々と片付きました。残った日数で何をしようかな~
え? もう11月……マジですか?
ど~もKUMAです。
あっと言う間に10月が過ぎてしまい切ない気持ちになってます。
色々とやりたいことがあったのですがほとんど出来なかったのが後悔ですね~。
さて今回のお話で神社完成となり一区切りつきました。
キリもいいしここで完結させようか迷いましたが、土地神ライフ……マコトのお話はまだ続きます。
書きたいお話もまだたくさんあるので頑張りますよ~。
更新予定はいつも通り月1なんですが、そろそろペースを上げてみたいなぁ……と。
せめて2回はと考えてますが、まずは安定して書き溜めを作れるようしないといけませんね。
さて短いですが今回はここまで、最後まで読んでいただきありがとうございました。
今後も土地神ライフをよろしくお願いします。ではでは~




