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土地神ライフ  作者: KUMA
10/68

第10話 不在の土地神、神使達は踊る2

挿絵(By みてみん)

イラスト提供:大橋なずな様(@oohasinazuna /http://ncode.syosetu.com/n7708cv/)

『死……ね』


捕縛したクロへ髑髏はポツリと言い、勢いよく蔓を振るう。

それは放たれた矢のように彼へ迫る。


「このッ……死ぬわけにはッ! 」



諦めずにもがき続けるが、刃はクロに突き刺さる。


「――――グアアアゥゥゥッ!? 」


必死の抵抗のおかげなのか急所は避ける事が出来たようだ。

しかし左肩を刺された為、暫くの間まともに刀を振るう事はできないだろう。


『死ンでナイ、何故? なぜ死ナナイッ、何故、なぜナンだ? 何故……何故……何故……』


「ッッッ! ガアアアアアアアアアッ!? 」


畑怨霊は傷口をえぐるようにグリグリと刃を動かし始めた。

血が飛び散り、肉の千切れる不快な音が周囲に広がる。

クロの叫び声が響こうが関係無い。問い続け、刃を動かす。


蔓は滴るクロの血を吸い、身体を再生し始めた。

次第に怨珠は蔓に隠れ、右腕部分以外は元に戻る。

地面を転がっていた髑髏も定位置に置かれ、飛び散った血で部分的に赤く染まっていた。


『血ィ……美味イ、な。 もっと……モット吸ワ、せろっ! 』


刺した刃を動かしながら強く締め上げる。

溢れる血は次々と吸われてゆく。


「グっ、ガァ……アアァ……」


紅く染まりつつある畑怨霊の身体は一回り大きく成長。

頭部の髑髏も形が変わり、すでに人の物とは別の形に変わっていた。


『マダ、だ……コノま、ま吸い尽クス……』


さらに締め付けは強くなる。

蔓はクロの頭まで巻き付き、彼の姿は見えなくなった。





(マコト様……すみません、お会いする前に僕は……)





もがくのを諦め、意識を手放そうとした時結界が割れる。同時にクロを捕縛していた腕は謎の波動に切り裂かれ、地面に落ちた。


薄れゆく意識の中、クロは少女を見かけた気がした。その少女の正体は彼と共に降り立った神使、名を―――



             ※※※



少し時間は戻り、場所は結界の外。何もない畑を白柴が見つめていた。




何を見てる、アチキは見世物ではないぞ。

アチキの名はシロというが……ん? 出番とな?


……おっと、これは失敬。まさかかめら(・・・)が回っておったとは気が付かなかった。

どうした作者殿? 他の(みな)も何を慌てふためいて―――




~映像(?)に乱れが発生しました、少々お待ちください……~





アチキは結界の前にいる。

降りたときは頭に血が上っていたが、少し時間を置いたら冷静になれた。

クロを一人で行かせたのが心配になり、追ってきたのだ。


『むぅ……すでに結界が張られてしまったか』


外から見るとそこはただの畑にしか見えないが、しかしそれは違う。

いや今はアチキも同じなのだが……それと別に壁が視えるのだ。

ほら、結界に触れるとその部分はボンヤリと光るだろう?透明な壁が囲っておるのだよ。

……どれここら辺をこうやってクルッと


シロは肉球で小円を描くと、結界の一部分がポロリと落ち中の様子が見える。

同時に、悲痛な叫び声が伝わってきた。


『なっ!?』


そこからは動きを封じられ、傷を抉られるクロの姿が見えた。




おいおいおいクロよ、いったい何をしておるのだ……?

ちち、血が勢いよく出ておるではないか。


『血……――な、もっ―――』


あの物の怪、今【血】と言ったか?

身体は植物のようだが赤く染まって、蔓でクロの頭まで包み込n―――


……まさかっ!?




シロはその場で宙返りを行う、着地した時にはその姿を変えていた。


白銀色の長い髪を紐でポニーテールに結った少女がその場に立つ。

クロとは対になる白を基調としたダンダラ模様の羽織、その下には赤い着物と黒の袴。羽織はたすき掛けをし動きやすくしていた。動きの邪魔にならない程度の防具を装備しており、右手には薙刀が握られている。




「よし、これなら……今行くぞ、クロっ!」


これから結界を割る。そのためにはチョイと技を使う必要があってな。


……何? 普通に解除すればよいのではとな?

アチキはそのような事が苦手でな、細かいのはクロに任せてるのだよ。

悪いがあまり時間が無い、残りの質問は後にしてもらおうか。


「スゥ……ハァ~……」


上段に構え、意識を集中させる。

刃には光が集まり、徐々に輝きが増してゆく。




どうだ、美しいだろう? これが我々の使う力、【霊力】の輝き。

前に信仰心等が力の源云々と言ってたらしいが、細かく言うとソレを変換してる。

ただ……自然から吸収できるものより、人から得られるモノの方が質は良いのだがな。



さぁ準備はできた、結界を破るぞ。


「真神流薙刀術 壱ノ段……【繊月(せんげつ)】!! 」




薙刀は綺麗な弧を描くように振りかざされ、霊力の刃を放った。

青白く輝く刃は結界を割り、地面を裂きながらクロを捕縛する蔓へと向かう。


『オオオォォォゥゥゥ……』

「クロっ!! 」


植物でも痛いという感覚はあるようだな、切り口から緑色の液体が噴出しておる。

悶えているうちにクロを安全な場所へ運んでしまおう、……あの廃墟でいいか



「おいっ、しっかりするのだ! 」

「…………っ……ぅぅ」


肩の出血が酷いな、このままでは……待てよ?

確かこのあたりにあの札(・・・)が……


クロの袖や懐を探ってみると【癒】と書かれた札を見つけた。

アチキは持ってないぞ? 持っていても火薬玉に投刃、それらに合わせるて使う各種毒……まぁとりあえず、


「コイツを使えば治療できるはずっ」



スパーンッ!



「―――ッッッッ?!?!! 」


勢いよく張り付けたら、中々良い音がなったな。

……ん? なにやら顔が青白くなっておるが、大丈夫だろう。

今はゆっくり休むが良い。


「さてと、あとは奴を」

『何処ダ、もっと、血を……吸ワせろォォォっ! 』


む、いかんな。奴をあの畑から出すわけにいかない。

この距離ならあの技か。


「真神流薙刀術 参ノ段【弓張月(ゆみはりつき)】、セイヤァァァァァァッ!! 」



廃墟の陰から飛び出したシロは怨霊に向けて武器を投げる。

薙刀は腹部の強靭な蔓だけでなく黒い殻を貫き、怨珠へと到達。

怨霊も急所への不意の一撃に怯んでしまう、もちろん彼女はその隙を見逃さない。

瞬時に接近し薙刀の柄を持つと、そのまま力を込め、無理やり切り上げる。

薙刀は怨珠から抜けてしまうが、畑怨霊も上空で無防備の状態になった。




『グオオオォォォッ?! 』

「このまま仕留めるっ!! 」


アチキはそのまま振りぬいた反動を利用し、相手に向かって飛び上がる。


「真神流薙刀術 奥義、七ノ段【仲秋名月(ちゅうしゅうめいげつ)】!! 」


この技は使いたくなかった。

その、なんだ、確かに強力なんだが……回るのだ。目がな。



シロは敵に到達する前に薙刀を振るい、コマのように回り始める。

次第に回転は速くなり、刃に宿る霊力は増幅してゆく。

青白い輝きは色を変え、黄金色となる。




師匠の様にできればこんな真似をしなくても済むのだが、仕方あるまい。

アチキもまだまだ修行不足なのだよ。


さぁ、奴にとどめを刺してやろう。


「ハアアアァァァッ!! 」

『や、ヤメロォォォォォォぉぉぉぉぉぉッ!? 』



そして奴と交差した。怨珠ごと切り裂き、地を滑りながら着地する。

一方上空では、畑怨霊がこの世のものとは思えない叫び声を上げていた。

切り口からは光が溢れる、どうやら霊力が身体を焼いているようだ。



「ど、どうだっ、これがまかm……おおぅ」


さすがに立ってられん、回りすぎた……。だがこの断末魔、奴を仕留められたようだな。

皆に聴かせられないのが残念で仕方がない。






その後畑怨霊は塵となって消えた、周囲からは瘴気も消滅。

目を回していたアチキも回復し、クロに肩を貸して村へと戻っていった。

物の怪を討伐した事を聞いた村人たちは……聞かなくてもわかるだろう?

喜んでいたよ、もう一つの脅威が潜んでいることも知らずにな。


どうやらもうひと踏ん張りする必要があるようだ。

まぁ明日にはクロも回復するだろうし、何とかなるさ。



ど~も、毎度ありがとうございます。作者のKUMAです。

ついに8月突入、今年はどのくらい暑くなるのでしょうか?

この暑さにバテそう、体調を崩すのでは? いや実際、私自身体調は崩し気味なんですが。

クーラーに頼りすぎてお腹がオロロロ……な展開は勘弁ですし、色々含めてうまく調整しないとね。


さてそんなお話は置いといて……、先月Twitterにて大橋なずな(@oohasinazuna /http://ncode.syosetu.com/n7708cv/)様より素晴らしいイラストをいただきました!

描いていただいたのは本作 土地神ライフのメインキャストこと、マコトです!!


前書きの方に置かせていただきましたが、今回で3枚目。

自分でもここまで人気が出るとは思わなかったぞ、まこっちゃん! ありがとう!!

やはり、作品のキャラが『可愛い』や『頑張ってほしい』と言ってもらえるのはうれしいです。

彼女を活躍させるために私も頑張らなくては……



さぁ、名残惜しいですが後書きはここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございました、今後も土地神ライフをよろしくお願いします。

ではではまた次の機会に……

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