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経験値100000000  作者: SHIKIMINE
序章 オリガミ日記。
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第四話 経験値100000000

レベルアップまでまだ少しかかると思いますがそれまでも面白くしようと頑張りますのでよろしくお願いします。

「うぉおおお?!」


そんな、気の抜けた声が聞こえるのは2.5次元世界のとある酒場の一席からだ。


「本当にこんなのが食えるなんて、感動だよ」


テーブルに運ばれたソレを見て目をキラキラさせながらそう言ったのはオリガミだ。オリガミの前には大きな骨が突き抜けているバスケッボール二つ分サイズの肉塊が置かれていた、そうファンタジーの世界に行けば必ず食べたい物、マンガ肉だ。オリガミは両端から飛び出る骨を掴み大胆にかぶりついた。


「うまっ!」


「それは、よかったわね新人君。」


オリガミと彩菜の二人は現在、先程の話の続きをする為に2.5次元世界内の酒場にいた。


「さて、話を再開しましょうか」


「うん」


オリガミは肉にがっつきながら、採菜は紅茶を飲みながら話を再開する。


「基本的に私は夜この世界に来ているわ、土日に用事がなければ昼にいるけどね、でだけど私達の体は白い煙に呑まれた時にこの世界の様々な事柄に身体が耐えれるようになってるわ。」


「その事柄ってのは?」


「まぁ、色々あるけどまずは睡眠ね睡眠に関してはまぁ詳しくないし色々あるけど大体六時間くらい必要なの。でも私達は一時間睡眠を取るだけで充分なの」


「な、何だよそれ」


「だから私は学校に行く前の一時間しか寝てないわ」


「凄いな…てか…今更だけど学生なんだ」


「あら、私のこの完璧なボディを見てもう少し大人だと思ったの?素直にそれは嬉しいことよ、ありがとう」


「そんな事は言ってないだろ!」


僕は決して彼女の体が完璧だからと思ったわけじゃない、確かに大人のような服装をすれば大人と勘違いするかもしれないけどとオリガミは心の中で呟いた。


「あらあら、恥ずかしがらなくていいのよ新人君、お姉さんはアナタの好意を無下にはできないから♡」


「恥ずかしがってもいないし、好意を向けている様な事も言っていない!大体年上なのか!?」


「あらあら、何言ってるの同い年じゃない学校も同じだし」


「え!?うそ!そんな情報を何で今更!」


「いや、私の事なんて知っていて当然、一般教養じゃない」


「一般教養じゃねーよ!というか例え、万が一にでも紫姫陽が一般教養の部類だとしてもオレはそんな事聞いた事ねーよ!」


「無知は怖いことね」


「何でそれだけで無知になってるんだ!」


話を戻すけどと彩菜は続ける。


「左下にあるECGつまりは心電図だけどコレは自分が会ったことのあるハーフプレイヤーなら思い浮かべるだけで生きてるか確認できる機能よ。」


「へぇ、便利だなそれは」


「基本は今言ったので全部だわ、後はレベルが上がって安定するまで殺されないことかしら」


「なぁ、思ってたんだけどさ…」


「なに、新人君」


「何で僕のところに来たの?」


オリガミは疑問に思っていた、白い煙に襲われ、パネルが出現したオリガミの元に彼女が来たことを。パネルにはゲームのように他プレイヤーの現在地を知らせるような機能は存在しない、新人を殺して経験値を貰う為だとしても、それを言うメリットは一切ない。確かに彼女はこの世界にそれなりに居るようだし、それを言ったところでオリガミを殺す事は出来るかもしれない、だとしても、そうだとしても言う必要はないのだ。


「……………偶然よ」


「へ?」


「偶然、君が白い煙に呑み込まれるのをみて。偶然この世界について教えてあげようと思っただけよ」


「そんな偶然


「偶然なのよ、それ以上聞くのならアナタを経験値に変えちゃうぞ?♡」


オリガミが言葉を話そうとした瞬間、彩菜は満面な笑みを浮かべながらオリガミの言葉を遮った。オリガミの表情は一瞬で凍りつき震えながらも答えた。


「…すいませんでした」


「わかればよろしい」


とは言え悪い人では無いのだろうと酒場を後にした。


ーーーーーーーーーーーー


この街に踏み入れた時もそうだったけれど夢じゃないのかと疑うくらい僕が住む現実とはかけ離れている。


「いつまで感動に浸っているのよ新人君」


「あぁ、すまない。ていうか奢って貰って悪いな」


「今回は特別よ、まぁ悪いと思うなら今度100倍くらいにして返してくれればそれでいいわ」


「無礼だとは思うけど悪いと思うのは辞めとくよ」


「冗談よ、また今度にご飯でも奢って頂戴、リアルでも2.5次元世界こっちでもいいから」


「あぁ、それなら大丈夫だ」


「約束よ?」


「うん」


やった!と喜ぶ彼女は本当に可愛らしい女の子だった、さっきまでの大人っぽくて冷静そうな紫姫陽とは違う一面を見れて僕は何だかほっとした。そんなに嬉しいことなの?と疑問に思ったけどそれは置いておこう。


「なぁ紫姫陽」


「なぁにオリガ…新人君」


浮かれている彼女は僕の事を新人君と呼んでいる事を忘れてか下の名前で呼びかけようとしたがその事で我に戻ったらしく急に大人びた態度に戻った。


「……別にオリガミでもいいぞ?」


「ただ間違えただけよ、それで新人君は何を聞こうとしたのよ」


「あ、あぁこの世界に元からいる人達ってゲームでいうNPCとかじゃないんだよなぁ?」


「えぇそうね、それがどうかしたの?」


「いや、その人達にはパネルは見えてるのか?」


「見えていないらしいわよ。スキルを使えるのもハーフプレイヤーだけらしいし。それがなにか?」


「んー、いや何でもない」


僕はこの世界にも驚いたけれど同時にもう一つ驚いた事があった。僕はてっきりゲームの様な世界と聞いてNPC達がいるんだと思っていた、でもどう考えても違った。この世界の人達は人だった、何を言ってるの?と思うかもしれないがこの世界は2.5次元世界だハーフプレイヤーがこの地で生活し子を産み大人になっていったとしたら少しでも僕達の世界の文化が浸透していてもいいはずだ。それなのにこの世界の人達は独自の文化をもち、まるで僕達を遠くからきた観光客の様に出迎える。日本人が外国人観光客をおもてなしする様に。

僕は何故だかそれに違和感を感じずにはいられなかった。


「僕達は何でこのパネルが見えるようになったんだろう」


「…この世界に来る為じゃないかしら?」


「でもそれならココに来る力だけでいいはずだジョブもレベルも必要なかった筈だ、それなら新人を殺すことなんて起きなかった。なのに何で」


そう、この世界ではまだ知らない、知らなくてはならない何かがある筈だ。剣や防具が売っている所を見ると少なくともモンスターを倒すために職業やレベルが存在するんじゃない事は明らかだ。


「考え過ぎてもいい事は無いと思うわよ?元々、あやふやな世界なんだし」


「そうなのか…ま、いいか」


「今からどうする?基本の事は全部教えたしレベル上げでもいくかしら?」


「おぉ!そうだな!早く行ってみたい!」


僕は考えていた事を一瞬で忘れその事に夢中になってしまった。


「じゃあ行きましょうか」


「なぁ紫姫陽、レベルってのはモンスターをどんくらい倒せば上がるんだ?」


「最初なら弱いモンスターを一体倒すだけで大体の人はレベルが上がるわ。個人差はあるけど、そうね経験値は五百くらいかしらね。」


「へぇー、モンスター一体か ……………………………………」


僕は歩くのを止め沈黙した。


「………経験値いくつって?」


「五百くらいよ、個人差はあるけどね」


僕は紫姫陽に確かめると目線をレベルのパネルに向けレベルアップに必要な経験値が表記されているウィンドウを開いた。少しは納得仕掛けていたがやっぱりおかしかった。最初のレベルアップに必要な経験値が一億なんて。


「どうかしたの?もしかしてビビっちゃったのかしら、そうならそうとお姉ちゃんに言えばいいのに♡」


今の紫姫陽はお姉ちゃんモード(仮)らしい。


「いや……おれ必要な経験値が一億って書いてあるんだけど」


「はぁ…何言ってるのよそんな訳ないでしょう?見間違いじゃないの?一億もあったらハーフプレイヤーならレベルが百くらいになるのよ?」


「始めたばかりの僕にそれ以外の表記があるとおもう?」


「……………嘘でしょ?」


「…………………本当」


「………………そんなの聞いたことないけど」


「これってまずくないか?おれずっとレベル一って経験値を誰かにあげるためにこの世界歩いてるようなもんじゃねーか!」


「取り敢えず、その事は絶対に他の人の耳にいれちゃ駄目よ!」


「そ、そうだな」


少しは楽しみにしていた、少しは夢見た異世界ライフを……だから僕は一言言いたい、心の底からこんな事を言う日が来るなんて思ってもいなかったけど言いたい。最近、結構頻繁に耳にする気がするけれど言いたい。


「…………………」


やっぱり言わないでおこう。心の中で留めておこう。後はご想像にお任せしますというやつだ。


「なぁ、紫姫陽…おれ…どうなるんだろうか」


「大丈夫よ、なに半泣きになっているのよ。しょうがないから私がレベルアップするまでは手伝ってあげるわよ」


「本当?ありがとう!飯一回じゃ足りないなこれは!メシ二回でどう?」


「あら、私が一緒に付き添ってあげるっていうのに二回で済ますつもりなの?新人君」


「上から目線なのがイラつくけど今は仕方ない、よしなら五回だ!」


「ご、五回!?本当に言ってるの?」


「え、あぁ僕と一緒に五回も食事なんて嫌だよな…じゃあどうしようか」


「い、いやいいわよこの私と五回も食事できるなんて友達に自慢できるんじゃないかしら」


それなら僕がお礼してるんじゃなく僕がお願いしてるみたいじゃないかと言いたくもなったけどお願いしている立場の身だしさすがにそんな事は言えない、我慢しよう。


「自慢は出来ないと思うけれどありがとう」


「別にいいわ、それより絶対に五回だからね!」


「あ、あぁ」


「よし!じゃあ約束したからね!」


紫姫陽はまたニコっと笑いそういった。でも僕がこんな美人な子と食事にいけるなんていうのは考えればラッキーな事なのかもしれないとプラス思考に考えておく事にした。


「んー……バイト始めるかなぁ」





レベルアップまで一億。



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