8.露店
本日一話目!
目的のアイテムを手に入れたケイは、ネイおばあちゃんに会った所へ向かうと、木が積んであるとこに座り込んでいた。
持っていた斧は木を切るために使っていたようだ。
「ネイおばあちゃん、手に入れましたよー!」
「あら、ケイちゃんじゃない。もう手に入れたのね」
ネイおばあちゃんに〈金色の蜂蜜〉を渡したら、またピーピーとなり、映像が現れた。
『クエストをクリアしました!』
映像が出た同時に、ネイおばあちゃんから報酬に〈スキル原石〉を貰った。
これで〈スキル原石〉は二つになった。ケイは察知系のスキルを狙っているから今は使わずに残しておく。
「今回はありがとうね。また会ったら宜しくね」
「はい、この報酬をありがとうございます」
報酬を受け取ったケイは街の中に戻ろうとしたが、始めに、フォックをネイおばあちゃんに見せた反応を思い出した。
(あー、見た目では従魔である証拠がないんだよな。NPCにいちいち説明するのも面倒だし、プレイヤーの方もモンスターテイマーは不人気職業だから、フォックを連れていたら目立つし……)
ケイは考えて、フォックを街の中に連れて行くのは得策ではないと判断し、【召喚】で何処かに帰ってもらうことに決めたーーーーーーのだったが…………
「ミュ~~」
「うっ……」
フォックはケイが考えていることがわかったのか、悲しそうな鳴き声を上げていた。
(この顔をされて、召喚で帰ってくれるか?とは言えねぇ!?むむっ……)
ケイは自分がモンスターテイマーだとばれても構わない。だが、問題はNPCが騒がないか心配だよな……
「なら、街の中ではずっと抱えられているか、肩に乗っていられるか?」
「ミュ!」
ケイが思い付いたのは、無害ですよーーというアピールだ。これならいきなり攻撃してくることはないだろう。というか、街の中では攻撃できるかわからないが…………
ケイはフォックを肩に腹を乗せるような形に担ぎ上げ、街へ向かった。まず、門番に出会うことになるが、どう反応を返してくるのかーーーー
「おう、お前がモンスターテイマーって奴か?」
「えっ?」
その反応は予測していなかったので、ポカーンとしてしまった。さっき、メイお婆さんはモンスターテイマーのことを知らなかったのに、門番は知っているのか?
「その顔は、どうして知っているのかって顔だな?」
「は、はい。そうだけど……」
「まぁ、さっきから神の言葉があってな。魔物使いがモンスターテイマーの名になったと知らせがあったんだ。神の言葉はプレイヤー?という者以外に聞こえているんだわ」
「ということは……」
「このタイミングにモンスターを連れているお前が現れた。つまり、モンスターテイマーだとわかったわけさ」
「成る程……。そのまま、街の中にフォックを連れてもいいのですか?大人しくしているんで」
フォックはミュッ!と可愛らしく鳴いている。
「連れて行くのは構わないが、何かアクセサリーを付けて上げた方が従魔だとわかりやすいと思うぞ」
「その方がただのモンスターか従魔か見分けやすいですね。すぐに買って付けて置きます」
「よし、中に入ってもいいぞ!」
「ありがとうございます。フォック、お前のアクセサリーを買いに行こうな……あ、金がないわ。先にドロップ品を売らないとな」
「ミュ~」
鳴き声からケイは呆れているように聞こえたけど、ケイは気にしないで門を潜った。
街の中に入ったら、想像していた通り、プレイヤーは驚かれたりフォックをジッと見られたりしていた。NPCは大人しいものだったが、珍しめに見てくるのもたまにあった。
(やっぱり、そうなったか……)
ケイは気にしないように視線を無視していたおかげか、話しかけてくる人は皆無だった。
「おっ、露店があるな。あそこにするか」
道に立っている店を見つけ、雑貨屋だという看板があったので、そこへ向かうことに。
「あのー、すいません」
露店の中で何か準備をしている女性がいたので、声を掛けた。
「はいよーー…………フレイムフォックス!?」
「あれ、もしかしてプレイヤー?もう店を持っているのか……」
お互いが違う理由で驚いていた。女性は長身で、150センチになっているケイよりも大きかった。髪は薄めの茶髪で元気ハツラツのような子に見えた。
「もしかして、貴方はモンスターテイマー?」
「そうだよ。それよりも、何故、始まったばかりでお店を持っているのか気になるんだけど……」
「私はβテスタなのよ。βテスタ時代から小さな店と少数のアイテムとお金を引き継げたの。それよりも、私は不人気職業のモンスターテイマーを選んでいて、テイムに成功していることに驚きだけど……」
テイムに成功したといえ、どうして成功したのか、ケイはまだわかっていないから、たまたま成功しただろうと答えた。
「ふーん、フォックと言うのね。あ、何かの用があったんじゃない?」
「ドロップ品の買取をお願いしたいけどいいかな?」
「大丈夫よ。出してみて」
「はい」
『喰虫の森』で手に入れた物を出して行く。
「あら……、もう『喰虫の森』に行ったのね。さすが、フレイムフォックスをテイムした人だね!ええと、14品全てで1850ゼニよ。いいかな?」
「ありがとうございます」
まだ『喰虫の森』に入っている者は少ないから、少し高めになっている。『初心の草原』のドロップ品だったら、同じ数なら500ぐらいはいくかいかないぐらいなのだ。
『喰虫の森』は女性はもちろん、虫が苦手な男性も結構いるので、西の『喰虫の森』に行かず、適性レベルが同じ東のフィールドへ向かうことが多い。だから、『喰虫の森』でドロップする品が市場に余り回らないのだ。
「フォックに付けるアクセサリーが欲しいけど、何かある?」
「そうね、βテスタ時代から引き継げたのはCとHCランクだけだから、いい物ではないけど……」
そう言いながらメニューを操作して、実体化させて見せてくれた。女性の手には三つのアクセサリーがあり、どれもランクが表示されていなかったからCランクである。装備はHCランクから表示される設定になっているようだ。
〈花の髪飾り〉 DEF+2
〈紅晶の首飾り〉 INT+3
〈薄羽の腕輪〉 AGI+2
それぞれが違った能力を上げてくれて、どれも500ゼニでいいらしい。
お金があって、全部買えるように全て500ゼニにしてあるかも知れないが、自分のアクセサリーはまだ後でいいので、この中から一つを選ぶことに。
(一番いいのは、『紅晶の首飾り』だな。フォックは【鬼火】を良く使うからINTが上がる装備がいいよな)
他の装備では、頭に髪飾りなど付けたら突進をして耐久性がグングンと減りそうだし、腕輪の方はフォックには大きすぎたので装備は出来ない。なので、必然に首飾りになるということだ。
「では、〈紅晶の首飾り〉を下さい」
「はい、500ゼニね」
500ゼニを渡し、女性がメニューを操作すると、〈紅晶の首飾り〉がケイのアイテムボックスに入った。ケイは操作して、フォックに〈紅晶の首飾り〉を装備させると、フォックの首にふっと現れた。
「ミュ~」
「気に入ったみたいだな」
「あー、可愛いね。触っていい?」
そう言いながらも、女性の手はフォックの頭に向かっていた。もうすぐで触れそうな距離になった時ーーーー
バシッ!!
「痛っ!?」
「ミュッ!!」
フォックは女性の手を叩いていた。さらに威嚇して触れさせないようにしていた。叩かれた女性だったが、諦められず再度、手が向かっていく。だが…………
バシッ!
またも叩かれる。
「あー、他人に触れられるのは嫌みたいだな」
「しょんなーー!!」
嘆く女性だったが、すぐに立ち直って、
「諦めないからねっ!?」
「ミュッ!?」
フォックは嫌そうな顔をして、女性からソッポを向いていた。
「むむっ~、あ、貴方の名前を教えてくれる?」
「俺ですか?ケイと言います」
「私はリンダと言うわ。良かったら、フレンドにならない~?」
「まぁ、構いませんが……」
ケイのフレンドはガイルだけで、生産職であるリンダと繋がりを作っておくのも良いかと思い、了承したのだった。
「ありがとう!また売りに来たら少し色を付けてあげるから、これからも宜しくね!」
「うん、こちらこそ、宜しくね」
フレンドが増え、買い物を終わらせたケイは宿を取ってログアウトをしたのだった。
フォックのアクセサリーをゲットしました!!
次は掲示板編になります。