6.初のクエスト
本日一話目!
従魔にしたフォックと一緒に、街から西に位置する森まで向かった。『暴獣の森』ではフォックは戦えても、ケイが足手纏いになってしまうので適性レベルを下げて、適性レベル8~13の森である『喰虫の森』へ向かうことに。
名前から虫が生息する森だとわかる。女性が近付きたいとは思えない名前だが、ケイにとっては戦いやすいフィールドになりそうだと考えている。
何故なら、虫は火が弱点だと想像出来るし、こっちには火を扱えるフォックがいる。
「よし、ここでレベルアップをしたり、金を稼ぐぞ!!」
「ミュ!」
フォックはやる気満々で、鳴き声を上げる。『喰虫の森』に着くと、誰かがいるのが見えた。
「あれ、もう適性レベルまで上がったのかな?」
見えたのは一人だけでよく見ると、お婆さんで手には斧を持っており、装備はただの服にしか見えなかった。
そこで、一つの可能性にたどり着いた。とりあえず、フォックを肩に乗せてから話しかけることに。
「あの、すいませんー」
「おやぁ……なっ、フレイムフォックス!?」
こっちに振り向いたら、肩にいるフレイムフォックスに気付いて、ケイから一歩で大きく離れた。
(うおっ!?お婆さんだと思ったが、大きく跳べるんだなぁ……)
「なんで、肩にフレイムフォックスが……」
「待ってください!俺はモンスターテイマーで、フォックは従魔なんです!!」
「モンスターテイマー……?」
お婆さんはケイが言ったモンスターテイマーの言葉を知らないようだ。
(やはり、お婆さんはNPCのようだな。しかし、モンスターテイマーのことを知らない?)
モンスターテイマーでは通じないので、わかりやすく説明することに。
「あ、あのー、モンスターテイマーと言うのはモンスターを従える職業ですよ。聞いたことはありませんか?」
「モンスターを従う?もしかして、魔物使いのことか?」
(成る程。使っている言葉が違っていたみたいだな)
納得したところで、ケイはそうですよと頷く。それでお婆さんは警戒を解いてくれたようだ。
「驚かさんでおくれよ。おばあちゃんの寿命を縮めるつもりかのう?」
「そこまでですか……、フォックは大人しくて可愛いもんですよ?」
身体は紅葉のように鮮やかな紅でふわふわとしている。これを見て、もふもふしたくないと言うプレイヤーはいないだろう。NPCはわからないが…………
「確かに、大人しいのねぇ。それで呼び止めたのは何か用があったのでは?」
「あ、いや、お婆さん一人では危ないと言おうとしたけど、動きを見た後では言う気がなくなりました」
「ほほっ、おばあちゃんは前に冒険者をやっていてな。まだまだ身体は動くわい」
「そ、そうですか」
さすが、ファンタジーだなと思ったケイだった。お婆さんなら心配はないだろうと、話を切り上げて先に進もうと思った時、
「そうだ。少年にお願いをしようか」
「え?」
「なぁに、簡単なことだよ。ここの森で取れる〈金色の蜂蜜〉を一つ取ってくれるだけさ」
ピーピーと鳴ったと思ったら、文字が書かれた映像が出た。
『□クエスト□ 『喰虫の森』から〈金色の蜂蜜〉を取ってくると言う頼みがありました。受けますか?』
と出ていた。受けるなら映像に触れて、受けると言えばいい。いきなりのクエストに面を喰らいながらも、考える。
(蜂蜜ということは、蜂のモンスターと戦う可能性があるか……)
自分とフォックだけで勝てるかわからないから迷っていた時、お婆さんから一言があった。
「フレイムフォックスを従える腕があれば、簡単だろう。持って来てくれたら、この石をあげよう。私たちには使えない物だが、外から来たプレイヤーなら必要だろう?」
「えっ、何故、プレイヤーだと?」
「モンスターテイマーと言う言葉はおばあちゃんが冒険者をしても初めて聞くのだから、外から来たプレイヤーと言う者だとわかったよ。神からのお言葉があったからね」
ケイは神からのお言葉は運営だろうとわかった。つまり、NPCはただ同じ言葉を言うだけの人形ではなく、AIが入っていると会話をしてよくわかった。
次に、見せてくれた石を確認したらーーーー
〈スキル原石〉
「受けましょう!」
名前を見て、考えることはなく即答するケイだった。
まさか、ここで〈スキル原石〉に出会うとは思わなかったからだ。
「そうか!宜しく頼むよ……あ、名前を聞いておらなかったな。おばあちゃんはネイと言う」
「そういうば、そうでしたね。俺はケイと言います」
「では、気をつけて行きなさいよ」
「はい」
「ミュッ!」
フォックも元気良く鳴いて答えたのだった。そして、ケイとフォックは『喰虫の森』の中へ入っていく。
ーーーーーーーーーーーーーーー
「お、芋虫のモンスターか。こんなのが襲って来たら女性は叫びながら逃げそうだな」
ここから十メートル離れた先には芋虫のモンスターが2体いる。
キャラピタ レベル9 (C)
キャラピタ レベル9 (C)
まず、フォックに一体を任せて、ケイは戦って見てから自分で倒すか、フォックが倒すまで足止めに徹するか決めることに。
「フォック、一体を【鬼火】で倒せ」
「ミュ!」
ケイとフォックは2体のキャラピタに向かって走っていく。まず、ケイの鞭がバシッと叩きつける。
これで、キャラピタはこっちに気付き、向かってきた。
「怯みはしないが、八分の一は削れたか」
大きな芋虫が向かってくる絵は気持ち悪いが、突進はフォックと比べると遅かったので余裕でカウンターを喰らわせた。
フォックの方も余裕を持って【鬼火】で攻撃していた。
(森の中で炎を使っても大丈夫なのか?…………大丈夫みたいだな)
木に炎が付いても、すぐに消えた。燃えないように設定されているかもしれない。
燃え広がらないことに安心して、キャラピタに攻撃し続ける。
「シュルルル~」
「糸攻撃か!」
あと二回叩けば、勝てる所に糸を吐いてきた。だが、糸を使ってきそうなモンスターだったから、糸で攻撃してくることは予測出来た。
ケイは鞭を大きく振り回し、糸がケイへ届く前に全て鞭で絡み取った。糸には接着の効果があったが、全て鞭に絡みつかれては、意味がなくなる。
「はぁっ!」
ケイはそのまま、右、左と振り回して二撃の攻撃を当てて、体力バーを全て白色にした。体力がなくなったキャラピタはアイテムボックスにドロップ品を残して、光の粒になって消えた。
「よし!動きが遅い敵なら問題なく戦えるな。お、向こうも終わったか」
フォックの方を見ると、燃えて体力バーがなくなっていく所だった。反対にフォックは無傷。
「良くやったぞ!」
「ミュン!」
飛び上がってケイの懐へ入ってくるフォック。ケイはふわふわな感触に和らぐが、ここはモンスターがウロつくフィールドである。
フォックを撫でてから地面に降ろし、
「〈金色の蜂蜜〉を探すぞ!!」
フォックもそれに答え、ケイとフォックは目的の物を探すのだったーーーー
僕がやってきたゲームでの初クエストは殆ど薬草採取ばかりだったなー。
では、まだ今日は続きます!




