38.コクガボア 後半
はい、続きをどうぞ!!
撃ち出された【ダークアロー】はデタラメな軌道でコクガボアの周りにいたシャドーボアごと貫いて、ケイ達に向かっていた。
「【爆泡】!!」
ケイの方へ二本も来ていて、当たるわけにはいかないので【爆泡】で迎撃をしようとするがーーーー
「ちっ!!」
こっちに向かっていた【ダークアロー】は1本だけ泡に当たって防げたが、もう1本は当たらずにケイへ向かおうとしていた。ダメージを覚悟していたケイだったが、目の前に白い壁が現れた。
「シャー!」
その白い壁はスノーで、ケイへ向かっていく魔法を見て、とっさに自分自体が壁になるようにケイの前まで動いたのだ。
スノーに魔法が当たって、黒い光が照らされたが一撃で体力バーがなくなることはなく、四分の一を減らされただけだった。スノーにとっては四分の一といえ、ケイにしたら受けるにはいかない威力が込められていた。
「良くやった!すぐに噛み付いて来い!!」
「シャー!」
回復薬を投げて、スノーを回復させる。またシャドーボアが現れて、【ダークアロー】に警戒しながら行動をする。何手か攻撃をするが、特に新しい行動を起こすことはなかった。自動回復とシャドーボアは面倒な自体だったが、それ程に苦戦するようなことではないとケイは判断した。
(身体能力はそんなに高くはないか。アメンボーの方が速かったし、力や技術もドムに劣る!)
ケイは今まで、目の前にいるコクガボアよりも高い能力を持つ敵を相手してきたので、コクガボアは特殊な能力を持っているが、勝てないと思うことはなかった。
さらに、コクガボアは自動回復やシャドーボアを生み出せる特殊な能力を持っているが、一度みれば対策も出来るし、耐えられないパワーや反応出来ないスピードを持っているわけでもないからだ。
「シャドーボアは俺がやるから、お前達は本体をやれ!!」
「ミュ!」
「シャー!」
ケイでも一撃だけで倒れるシャドーボアは【爆泡】でフォネスとスノーの邪魔をさせない。シャドーボアはコクガボアのように闇の魔法を使ってこないので、充分ケイの相手になる。5個の泡がシャドーボア5体へ向かっていき、倒していく。
シャドーボアは減ると自動的に5体になるように影から現れるので、出てきた先にまた泡をぶつけて行く。
ケイはそれを繰り返すだけで、MPがなくなるまでシャドーボアを抑えられる。
その間に、フォックとスノーがコクガボアの体力を削っていく。盾がなくなったコクガボアは自動回復よりもダメージが大きいので、体力バーは見えている通りにグングンと減っていく。
「ブルォォォォォ!!」
闇の魔法、【ダークアロー】を発動しようとしても、矢の形が固定するまでにフォックとスノーのどちらかが攻撃して邪魔をするだけで、矢は出来ずに崩れていく。
こうなってしまえば、他に手札がないコクガボアにはやれることがない。猪らしく突進をしようとしても、スノーが硬い体で止めるので。まさに手が出ないという状況といっても良い。
「トドメを刺して、終わりだ!!」
最後の指示、フォックとスノーがコクガボアの側面を狙って突進でトドメを刺した。その攻撃でコクガボアの体力バーは真っ白になって、闇に包まれた身体が元のクライムボアへ戻っていく。
「ブルォォ、ォォ…………」
最後の一声を残して、光の粒へ変わって消えたのだった。これで、ケイ達の勝利だ。
「良くやったぞ!ハイドラの元へ戻ろーーーー」
「いや、その必要はない」
ケイの言葉を遮ったのは、ケイが通った入口から現れるハイドラだった。
「森に変わってお礼を言おう。馬鹿な息子を倒して、森を守ってくれてありがとう」
「う、うむ」
まだハイドラの威圧というか、気配にまだ慣れないケイは身体を硬くしてしまう。
「前から馬鹿な息子だったが、森に迷惑を掛けるまでに馬鹿だったとは思えん。纏まっていた闇が気になるな……」
ケイはハイドラの言葉から、この特殊クエストはまだ続くのか?と訝しんでしまうが、その通りにならなかった。
「これが我のお礼だ。受け取るが良い」
「これは…………」
特殊クエストクリア報酬
〈森の守護神の笛〉
内容を見てみると、一回だけハイドラの助けを借りることが出来る召喚式の笛だった。ケイはハイドラが森の守護神だと思わなくて、驚いていた。
「これを吹けば、我はお前の助けになろう。だが、一回使えば壊れるから使い所を間違えることはないようにな」
「これは助かるが、初めの冒険辺りで手に入る代物じゃないような……」
そう、SRランクのボス級モンスターを一回だけだが、助けを借りられる召喚式の笛なんて、初めの冒険で手に入るのは聞いたことがない。
ケイはラッキーだったとしか言いようがなかった。
「では、また会おう」
ハイドラは森の中へ戻り、その姿が消えるまではイベントの硬直があって、ケイ達は動けないで見ているしか出来なかった。ハイドラの姿が見えなくなった後、動けるようになったケイはため息を吐いた。
「はぁっ、ラッキーだったと思うべきか?最後の緑の角はさっきの猪が落としたみたいだし」
コクガボアのドロップ品は、スキルの原石が一個と緑の角が一個だった。アイテムボックスの中を確認したケイはフォックを肩に乗せ、スノーの隣にして街へ帰ることにする。
「腹減ったな、街の近くまで行ったら食事にするか?」
「ミュ!」
「シャー」
「ハハッ、猪の肉は沢山あるからな。報告が終わったら、中ボスへ挑むから食べた分は働いて貰うぞ」
ケイはフォックとスノーに話をしながら、歩いていく。話が一方通行だとしても、黙って歩くよりも騒がしい方が良いからだ。
フォックとスノーも周りの警戒をしながら、ケイの話を聞いているように耳を傾けているのだった…………




