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37.コクガボア 前半

 


 一声を鳴いたコクガボアは闇を纏まって、周りに五本の矢が現れた。ケイはそれを闇魔法の【ダークアロー】だとすぐにわかった。




「バラけろ!」


 纏まっていては、大きな的になるのでバラけるように指示を出して、〈毒棘の鞭〉を構えた。




「ブォォォォォォォォォォォ!!」




 五本の矢はデタラメに放たれて、ケイにその軌道は読めなかった。運良く、こっちへ来なかったから、当たることはなかったが……




(デタラメに曲がりやがって!!)


 そう、ケイが思っていた通りに矢の軌道はデタラメで規則なんて無かったのだ。普通なら魔法はそういうことになるはずがないが、今のコクガボアは狂化中で正常じゃなかったから出来たこと。


 もし、運悪くこっちへ向かってきたら回避出来る自信はなかった。ケイにしたら、また【ダークアロー】を放たれるのは不都合。だからーーーー




(撃たせる前に潰す!!)


 二回目を撃たせる前に潰せばいいと判断して、ケイ、フォック、スノーが同時に突っ込んだ。コクガボアは中ボスと変わらない実力を持っているように見えたが、違う所もある。

 それは、名前の下にある、体力バーの本数だった。




(体力バーは一本しかない。なら、全員の攻撃を当てればすぐに終わる!!)


 ケイは【打蛇】、フォックは【獄炎】、スノーは【氷穿】で三面方向から攻撃を仕掛けたがーーーー






「ブオッ!」

「何!?」


 纏まっていた闇がコクガボアを包むように、黒い球体が出来てフォックとスノーの攻撃が防がれてしまった。ケイの【打蛇】だけはすり抜けて当たったが、体力バーは少ししか動いてなかった。

 さらに、ケイが驚くような事態が続いた。




「な、体力バーが元に戻っていく…………、自動回復も持っているのか!?」


 少しだが、ダメージを与えたケイだったが、その体力バーが少しずつ戻っていくのだ。つまり、コクガボアは自動回復の効果を持つモンスターだということ。

 少しずつでは回復されるので、威力が高い攻撃をする必要があるが、あの黒い球体がフォックとスノーの攻撃を防いでいた。




(従魔の攻撃を全て防ぐ……?いや、そんな大層な効果を持つモンスターがいてたまるか!!)


 なら、何故防がれたか考えてみる。何故、ケイの攻撃だけが通り抜けたのか?

 と、そこでフォックのスキルを思い出した。




(試すなら、早い方がいい!)


 ケイはすぐにフォックとスノーに指示を出した。




「フォックはスピードで撹乱させて、突進!スノーは【氷霧鎧】を纏い、近接攻撃を仕掛けろ!!」

「ミュッ!」

「シャー!」


 ケイは物理攻撃なら通じるのでは……?と考えたのだ。


 そして、その考えはーーーー






「よし、通じる!!」


 結果、黒い球体をすり抜けて、コクガボアに当たった。これだけで、コクガボアの体力バーが四分の一が減ったのだった。

 黒い球体はフォックが使う【緋盾】のようなスキルに似ている。フォックの場合は魔法だが、コクガボアが常時展開されている【黒無球】は属性が含まれる攻撃を防ぐ効果を持つ。

 唯一、通じるのは属性を持たない攻撃だけだ。




(自動回復はそんなに早くはない。このまま、今みたいに攻撃させれば勝てるが…………簡単に終わるとは思えない)


 中ボスのような存在がそう簡単に倒されるとは思えなくて、警戒していた。それは正解だったようで、コクガボアが行動を起こした。

 コクガボアの影が動いたかと思えば、形を作り出して真っ黒な猪が現れた。コクガボアより小さいといえ、どのくらいの強さを持っているのかわからないので、さらに警戒する。

 取り敢えず、突進してくる猪の名前とレベルを確認してみた。



 シャドーボア レベル1 (HC)



 レベルは1だったが、こっちへ突進してきたスピードは結構早かった。それが五体も現れたから油断は出来ない。




「【爆泡】!」


 突進してきたシャドーボアに泡をぶつけたら、ボンっ!と音を鳴らして吹き飛ばせていた。そして、そのシャドーボアは影に戻るように消えていった。




「よし、【爆泡】の一撃だけで充分か…………はぁっ!?」


 確かにケイはシャドーボアを一体倒したが、新たにシャドーボアが影から生まれて、さっきは何もなかったように五体のシャドーボアがコクガボアを守るように囲んでいた。

 一撃で倒せるシャドーボアだが、すぐに次が現れるのでは、攻撃する意味がなくなってしまう。こちらのMPは有限なのだから、出てきたから吹き飛ばすだけではこっちが先に切れてしまうだろう。

 向こうのMPが見えないし、減っているのかわからないから不用意に無駄な攻撃は控えるべきだと考える。




(面倒だな、あれらは盾にもなるか)


 攻撃だけのために作られたわけでもないのは体力が低いことから予測出来る。つまり、コクガボアは自分自身の体力を回復させるために盾代わりとして呼び出したのだろう。

 ケイがそう思考を深めていたら、コクガボアは【ダークアロー】の発動準備をしていた。周りに矢の形をした闇が10本も作られようとしていたから、すぐに邪魔しようと動くが…………




「ミュ!」

「シャー!!」

「ち、邪魔をするな!!」


 案の定に、シャドウボアが邪魔をしてくるので、倒して進まなければならなかった。だが、魔法の発動準備をしている間でも、シャドウボアがやられていく毎に影から補充されていた。その間にも、矢の形が固定されていく。






 そして、さっきの2倍もある10本の【ダークアロー】がデタラメな軌道でケイ達へ放たれようとしていたーーーー





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