21.ラッキー
何体かのモンスターを倒して、スノーのレベルが10に上がった所で、あるモンスターがキラキラと光る珠をドロップしたのだ。
確認して見たら…………
〈銀の珠〉
換金用のアイテム。
と出ていた。売るしか能がないアイテムだが、お金になるなら、ケイは嬉しいことだ。
このアイテムは全てのモンスターが落とすアイテムだが、確率が物凄く低いので狙って落とさせるなんて不可能に近い。ケイは運が良かったのだろう。
「幸先は良いな!!お、街が見えるな」
しばらく歩くと、街の近くまで着いたようだ。問題は体長が大きいスノーのことだ。
街の中を一緒に歩くと目立つのは確実だろう。なので、召喚で帰ってもらい、姿を隠して欲しいのだが、もしフォックのように帰りたがらないかもしれない。
とりあえず、聞いて見ることにする。
「あのな、スノーは召喚で帰ってもらえるか……?」
「キシャッ!」
想像していたのと違い、スノーは悲しいとかの雰囲気はなく、いいよ!と答えてくれた。
もしかして、フォックが甘えん坊で、帰りたがらないだけでスノーみたいのが普通かもしれない。
つい、肩に乗っているフォックを見てみると……
「ミュッ!!」
嫌そうに首を横に振っていた。フォックは召喚で帰るのが嫌らしい。
「大丈夫だよ。嫌なら、無理矢理にしないから。ただ、ログアウトする時はわかるよね?」
「ミュッ!」
ログアウトすれば、一緒にいられないのはわかっているので、ケイと一緒にいたい甘えん坊のフォックは大人しく帰ってくれる。
とりあえず、スノーは帰って貰ってから街の中へ入った。
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「あ、見つけ。リンダー!」
「あら、ケイじゃない。また何か売りに来たの?」
「コレなんだけど、売れる?」
〈銀の珠〉をリンダに見せる。
「あー、これはプレイヤーに需要はないからNPCのお店で売るのが普通だけど、いいよ。私が買ってあげるわ」
「え、いいの?」
「ええ、あとで私が売りに行くからいいし。他にもドロップ品もあるなら、纏めて売った方がケイも楽でしょ?」
「ありがとう。助かるよ」
『暴獣の森』で手に入った数品のドロップ品をリンダに渡した。
「もう『暴獣の森』に行ったのね……あ、フォックもその森にいたからもうとっくに行っていたわね。うーん、〈銀の珠〉も含めて12300ゼニでどう?」
「お、高いな。いいの?」
「そうよ、〈銀の珠〉だけでも10000ゼニになるもの」
思ったより高くて驚いたが、〈銀の珠〉が高く売れる換金用のアイテムだったからだ。
これで所持金が14000ゼニになった。
「あ、まだネックレスみたいなアクセサリーはある?」
「あるわよ。これしかないけどね」
リンダがそう言って、見せてくれたのは…………
〈十字架のネックレス〉 DEF+2 MDF+3
ただの十字架に見えるが、ちゃんと防御が上がる代物だ。これはスノーに付ける奴で、身体が大きいから付けられないと思うが、装備させたら自動的に、体長へ合わせた長さになってくれるのだ。フォックの時は知らかったことで、その後にリンダと話をした時に聞いた情報である……
1500ゼニなので、即決で払ってアイテムボックスに入れた。
「あれ、すぐに付けないの?」
「後で付けるよ。それより、聞きたいことがあるけど、いいかな?」
スノーのことは秘密にしておく。バレたら騒ぎが大きくなりそうなので、今は中ボスを倒せる程の実力が付くまでは黙っておくことに決めたのだ。話を変える様に、中ボスのことを聞いてみた。さらに、場所を知っていたら教えてもらおうと考えていた。だが…………
「ゴメンね。私は中ボスがいる場所は一つのフィールドに一体いるとしか知らないのよ。β時代では中ボスを倒さなくても大ボスと戦えたから、製品版になってから変わったみたいね」
「そうですか……。フィールドに一体ずつはいるなら、『喰虫の森』にもいるのは間違いないですね?」
「そうね、無理はしないように」
中ボスの詳しい居場所は聞けなかったが、フィールドに一体ずついるとわかっただけでもマシだろう。
ケイは早速、『喰虫の森』へ向かった。
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フォックとスノーを連れて、森の奥へ進んでいくケイ。森の入り口の近くで幾つかのパーティを見かけたので、スノーは他のパーティがいない森奥まで進んでから召喚した。
森奥へ進む前に、他のパーティから1人じゃ危ないよと言ってくれたが、大丈夫と答えてすぐに別れた。パーティの中にいる女性に心配そうな視線を向けられたが、肩にフォックがいたことからモンスターテイマーだとわかって、パーティに誘うことはなかった。
中ボスの扉は直ぐに見つかるわけでもなく、森の奥を歩き回るハメになった。途中で十数体の蜂が群れになっている所を見かけたが、全て倒してしまうと、この前みたいに強制イベントに引っ張られてしまう可能性があったので無視をした。
トゲムカデ レベル11 (C)
「ふむ、百足のモンスターか……。スノーに任せた」
「キシャッ!」
気持ち悪い虫と言われている百足、それが大きなモンスターとなって襲ってくる。ケイはそんなモンスターとは戦いたいとは思わず、スノーに任せることにしたのだ。
長い同士が戦うことになり、お互いが絡みついて攻撃している。体力の減りが早いのは、やはり百足の方だった。スノーは【氷霧鎧】を使わなくても、高い防御を誇る。
「キシャッ!」
「ムギィッ!?」
体力バーが紫色になっていることから、スノーの噛みつきで毒状態になったようだ。
そのまま、体力を減らしていって…………
「圧倒的だな。硬さだけは『暴獣の森』では随一だったかもしれんな」
倒した百足の姿を見て、そう思った。防御が高い身体で絡みついてから攻撃されては、プレイヤーでも抜け出すのは容易ではないはず。絡みつきを受けなかったケイは運が良かったかもしれない。
「よし、まだ行ってない方向へ進もう」
「ミュッ!」
「キシャッ!」
この調子で様々なモンスターに出会っても、フォックとスノーの相手にならず、先へ進んでいく。そしてーーーー
「ようやく見つけたか……」
森の中を30分ぐらい歩き回って、ようやく大きな扉を見つけ出したのだった。




