18.これからのこと
お待たせました!
次の話になります。どうぞっ!!
「うーん」
今は訓練場から帰ってログアウトしており、思考の虫になっていた。ゆっくり考える時間が出来たので、今まで気にしなかったテイムの成功率についてだ。
何故、今に考えているのか?それは…………
(前衛が出来る従魔が欲しいな……)
圭吾はドムとの戦いを思い出していた。ドムとの戦いでは、フォックと共に一撃ずつで退場させられた。
ケイとドムに大きなステータスの差があったといえ、フォックは本来、後衛に向いているのだ。
DEFが低いので、フォックでもドムの高い威力を持った拳に耐えられなかったのだ。
(あの時、フォックをテイムしたのは運だったのか?……いや、何かがあるに決まっている)
次にフォックとの戦いを思い出してみる。初めは結構戦えたのだが、【鬼火】が出てから劣勢に追い込まれた。最後に突進してきた時にケイは無我夢中に【テイム】を発動して、成功した。
これだけじゃ、わからないな……と思っていた時に、一つだけ思い出したことがある。
(そういえば、何故、最後は突進だったんだ?)
安全を取るなら、【鬼火】を使う方がいい。だが、フォックはトドメに突進してきた。
(あ、MPが切れたからなのかな?【鬼火】を連発していたし……)
モンスターのMPは見えないから確実ではないが、【テイム】の成功率に関係があるかもしれない。
「よし、次に入った時に試してみるか。ーーしかし、MPを使うスキルを持っていないモンスターはどうなるんだろう?」
また疑問が出るが、今は夜中なので睡眠を貪ることに…………
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「いい天気だなーー、雨とか雪は降るのか?……いや、季節はあんのか?」
日照りの良い朝だけど、ここはゲームの中である。このゲームは天候はあるが、季節はフィールドによって固定されている。
初めのフィールドでは、獣や昆虫が活発する夏である。暑さはそれ程に暑くはないが、砂漠のようなステージだと、ダメージを受ける程に熱い場所もある。
とにかく、ケイは二体目の従魔を手に入れるために、『暴獣の森』に向かっている。
「フォック、地面の下から現れるモンスターの察知を頼んだぞ?」
「ミュッ!」
地面の中から現れるモンスターもいるが、フォックの嗅覚感知に頼る。地面の中にいるモンスターに効果があるかわからないが…………
(今までここで出会ったのは、フォックに犬、猿、モグラのモンスターだったな……)
他にいるはずだと、ケイとフォックは探して行く。
そして、見つけたのは…………
ワンドッグ レベル15×5体 (C)
ケイは早速、木の上に逃げた。一体だけなら問題ではないモンスターだが、5体もいるのでは勝負にならない。
「犬はお呼びじゃねぇよ!!」
「ミュッ!」
鞭と【鬼火】で追い払って行く。HPが少なくなったら逃げて行くので、経験値は増えることなかった。
(試しに弱ったワンドッグに向けて【テイム】を使って見たが、失敗したか。なら、MP説が有効なのか……?)
追い払った後、降りても考え続けていると、フォックが鳴き始めた。この鳴き声は、何かが臭覚察知の範囲内に入ったという合図だ。だが、周りには何も姿が見えない。つまり…………
「下からか!」
「ミュ!!」
フォックがケイの足元に目を向けたことで、後ろへ跳んで回避することに成功した。ケイがいた場所から、ドバッ!と鼻をドリルにしたモグラが現れた。
ドリモグ レベル16 (C)
攻撃が当たらなかったことに気付いたのか、再度土の中に潜ろうとする。
「逃がすか!」
ケイは逃がすつもりはなく、鞭を巻きつけて引っ張り出した。と、そこで運良く毒状態になったようだ。
フォックが【鬼火】&突進のコンボで毒状態になったドリモグを倒した。
「呆気ないな。土の中から引っ張り出したからか?」
あっさりとドリモグを倒せたことに、土の中にいないと弱体化する設定だったのかと判断した。
「ミュッ!」
「あ、あれはーーーー」
すぐにフォックが鳴いたかと思ったら、すぐに見つけた。森の色には似合わない白い身体をしていたのだからだ。そこには…………
スノウバイト レベル8 (HC)
体長は大体四メートル程で、太さは人間のと変わらないぐらいに太い蛇だった。見た目は白くて綺麗だと感じられた。
そのスノウバイトがこっちに気付いて、身体をダイヤモンドダストのようなモノを纏い始め、こっちに向かってきた。
「うおっ!?デカイのが向かってくると怖いな……」
見ただけでも、氷を使ってくるのがわかりやすい。氷は火に弱いのが普通だが、スノウバイトにはどうだろうか。【鬼火】を使うが、シュルリッと避けられてしまう。
(動きが早いな……)
ケイは【猛打の陣】でSTRとINTを上げておく。
「【打蛇】!」
鞭で攻撃をするが、スノウバイトは怯まずに、攻撃を受けながらこっちに向かってくる。HPは1ドットしか減っていなかった。
「はぁっ!?硬いな!!」
愚痴を言いながら、スノウバイトの噛み付きを避ける。そのまま、尻尾で攻撃されそうになったが、【鬼火】で尻尾に当てて弾いてくれた。
「助かった!」
「ミュッ!」
その隙にスノウバイトから離れる。【鬼火】を当てたダメージは体力バーの十分の一を減らしていた。怯んだことから火が弱点なのはわかるが、ダメージが少なすぎる。
(ダイヤモンドダストみたいなモノがあの蛇のDEFとMDFを上げているのかもしれん……)
フォックのINTは100を超えていて、ランクがHCのモンスターだろうが、体力バーを三分の一も減らすことも不可能ではない。なのに、目の前のスノウバイトは防ぎ切った。
ケイは仲間にしたくなった。それだけの防御があれば、前衛で活躍してくれそうだ。そのために、MP説を試しておきたい。
「まず、体力を減らすぞ!!」
体力が少なくなったら強い技を使ってくる可能性に賭けて、体力を減らすことに。だが、ケイの鞭をただの皮の鞭へ変えていた。
もし、【毒】にしてしまったら、体力を少し残しても毒が蝕み、体力を0にしてしまうといけないからだ。なので、武器を変えた。もし、武器を奪われても5秒後には戻ってくる便利な初期装備のアレだ。
ちなみに、今も着ている皮の鎧も同様である。
「フォック、隙を見つけて【鬼火】をぶち込んでやれ!必ず、仲間にしてやる!!」