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10.巻き込まれイベント

本日一話目。

 


 再び、ゲームの中へ帰ってきたケイは、すぐにフォックを召喚した。ログアウトする前に、フォックは召喚を使って、何処かへ帰って貰った。悲しそうな顔をしていたが、一緒にいられないのだから仕方が無いと説得してようやく納得して貰ったのだ。

 今思えば、フォックは言葉を理解しているんだなーと思った。指示を出す時、細かい指示も少しあったが、フォックは理解してやってくれた時もあった。




「ミュッ!」




 フォックは嬉しそうに、いつもの定位置である左肩に乗り移った。ここが気に入ったようで、フィールド以外では左肩に乗るようになっている。

 ケイは街の中で大人しくしてくれるなら、喜ばしいのでそのままにしている。

 ちなみに、フォックは体長が60センチぐらいで普通の狐と変わらないぐらいの大きさで、そんなに重くはないからずっと肩に乗せていられる。




「よし、また狩りに行くか!」

「ミュッ!!」


 まだお金も少ないし、レベルも低いので再び『喰虫の森』へ向かうことに。






 ーーーーーーーーーーーーーーー






「これはちょっと、数が多いな……、逃げるぞ!!」

「ミュッ!」


 ケイの前には、十数体のキラーホーネットが飛んでいるのが見えた。いくらでもフォックがいても、勝てないと理解しているので、気付かれていない内に離れようとする。




「あ、あれは……」


 ケイがいる反対側から数人の人が来ているのが見えた。おそらく、適性レベルに追い付いたため、ここへ狩りに来ただろう。

 3人のパーティで、男が2人に女が1人。向きからにして、キラーホーネット達を狙っているのがわかる。




「たった3人だけで、挑むつもりか?なら、どう戦うか見せてもらおうじゃないか」

「ミュッ」


 大群のキラーホーネット相手にどう戦うか気になったので、草むらの影から見ることに。

 一番前にいる男は大きな盾を持っているからタンクという役をやるのだろう。次に別の男は黒い……頭巾?あと、クナイを持っていたから忍者のつもりだろうか?

 最後に女は杖を持っていたから、魔術師だと予測出来た。




(バランスはそんなに悪くはない。忍者もどきが落ち着いて指示を出している所から、リーダーで大群のキラーホーネットを前にしても余裕はあるな……)


 もしかしたら、あの忍者もどきは元βテスタで戦い方を知っていて、対処方法を持っているかもしれない。

 女の火魔法から戦いが始まり、周りにいたキラーホーネットが集まって行く。

 タンクの男が女魔術師を守るように展開し、忍者もどきの男がクナイでキラーホーネットを切ったり刺したりしている。クナイは投げる武器だが、武器がクナイしかないのか、一本だけでキラーホーネットを刺していた。

 よく見ると、キラーホーネットの正面に立たず、後ろか横から攻撃しているのが見えた。




(成る程、針の攻撃は正面に立たなければ、怖くはないってことか)


 タンクの男も針を上手く受け流して、後ろにいる魔術師を守っていた。女もタンクに守られているおかげで魔法を使えている。魔法は名前を言うだけで発動出来て、詠唱などはないが、発動するまでのタメがあり、溜めている間は動きが遅くなってしまう。

 だから、魔法を溜めている間は仲間に守って貰っているのだ。


 上手い連携によって、ここにいたキラーホーネットは全て倒されたのだった。




(ほぅ、やるじゃないか……)


 良い物を見たと言う感じで、ここを去ろうとしたが……………









「えっ?」






 いきなり、風景が変わって目の前には大きな巣が現れた。




「何が……?」

「な、お前は誰だ!?」

「そのフレイムフォックスは……」

「もしかして、掲示板で騒がれていたあのモンスターテイマー!?」


 場所が変わったことによって、隠れていた草むらが消えたからこっちの姿が丸見えになっていた。

 それよりも、何故風景が変わって、目の前に大きな巣があるのかだ。思考を切り替えていた時、リーダーの忍者もどきから話しかけられた。




「少しいいかな?もしかして、僕達の近くにいたのですか?」

「まぁ、戦闘中に見かけたのです」




 始めから見ていましたとは言えず、軽く嘘をついた。近くにいただけで、イチャモンをつけられては困るのだから。


「あー、これは巻き込まれたっぽいね。で、貴方は噂のモンスターテイマーで間違っていないよね?」

「蜂の巣があるのは、俺らが起こしたイベントみたいだな。しかも、一方向しか行けねぇ……」


 蜂の巣への道以外は透明な壁に囲まれていて、強制イベントのようだ。キラーホーネットを大量に倒すことがキーになっていて、イベントが発生したのだ。




「良かったら、一緒に来るか?クリアしないと出られないみたいだし」

「まあ、仕方が無いだろうな。近くにいただけで巻きこれるとは、運が悪いのか良いのか」

「フレイムフォックスをテイム出来るだけの腕があるなら、歓迎よっ!」


 出られないのもあり、今回限りのパーティ結成に誘って来た。相手が3人なら、フォックの枠は問題ないようだ。ちなみに、最大の数は6人までである。




「言葉に甘えて、今回はよろしくお願いします。モンスターテイマーをやっているケイと言います。従魔はフォックと言います」

「ミュッ!」



 まず、自己紹介をすることにした。


「硬い、硬いぞ。気楽にしとけよ。俺はダンと言う。タンクを務めている剣士だ」

「私は魔術師をやっているネビアと言います。これからも宜しくね。かわい子ちゃん♪」

「僕はこのパーティでリーダーをやっていることアークと申します。戦っている所を見たなら、僕の役割はわかりますよね?」

「タゲを集める回避型の忍者もどきですね?」

「途中まで合っていたのに、余計な言葉を付け足されましたよ!?もどきと言われるのはショックです……。まだ忍者の服がないので仕方がありませんが……」


 ショボーンと落ち込む忍者もどき。タゲとは、自分に注目させるために率先とダメージを与えて、敵の攻撃を出来るだけ自分に集められるようにやる戦法である。




「ねぇねぇ、フレイムフォックスはどうやってテイムしたの?ーーそして、触れていい!?」


 テイムそのものと言うより、触れたいようだ。肩に乗せているフォックとネビアの少しずつ距離が近づいている。返事を聞く前にフォックの頭に触れようとしていたーーーー






 バシッ!!






 ネビアに5ダメージ!




「痛っ!ダメージが入ったぁ~!?」

「やっぱり、他人に懐かないみたいだな。それに、俺もどうしてテイム出来たのかわかっていないのですよ」


 とりあえず、テイムのことも答えておいた。しかし、パーティ内でもフォックの叩きは攻撃に適用されるようだ。街の中だったら、ダメージは入らないことは確認出来ている。あの店主の尊い犠牲によって…………




(どこからかリンダの声が聞こえそうだな……)


 私は諦めないからね!!と。


 とにかく、自己紹介は終わらせたので、また挑戦しているネビアを無視して、アークに陣形はどうするか聞いてみる。




「俺は鞭を使い、フォックは【鬼火】というスキルで遠距離攻撃が出来ます」

「ふむ、従魔は普通に攻撃も出来そうだから、中衛をお願いしようか」


 またフォックに叩かれてダメージが入っていくネビアの姿を見て、アークは近距離、遠距離も出来ると判断したようだ。




「そろそろ行かないか?」

「そうですね。では行きましょうか」

「ネビア、無駄にHPを減らすなよ。行くぞ」

「む~、触りたかった……」


 これからケイ達は、強制イベントのフィールドとなる蜂の巣の中へ入っていくのだったーーーー





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