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判決

 恵昌の刑罰を決めるための裁判は、彼が捕らえられた翌日に、早くも開かれることとなった。

 犯行が王宮の内部で行われたこと、犯人が自ら出頭して自白したこと、物証があること、一介の下官が国の重臣の殺害を謀った重罪であることなどを理由として、国王が裁判の開始を急いだのだ。

 裁判といっても、審議はほとんど行われなかった。司法大臣が指揮して裁判は進められ、国王夫妻をはじめとする王族も臨席していたのだが、裁判はほとんど恵昌の罪状を読み上げるだけのものに等しかった。恵昌には満足に自分を弁護する時間も与えられず、早々に刑罰が確定してしまう。王妃に懇願して被害者として裁判に臨席していた莉玲の目には、国王と司法大臣が早急に罪人を処罰することで宮中に走った動揺を鎮めようとしているように見えた。宮中に出仕している官吏や兵士には平民の出身者も多い。彼らが家臣や同輩を恐れて職務に支障をきたさないようにこういった謀反には迅速に対応するという姿勢を見せたかったのではないかと。

 莉玲にはただ淡々と、恵昌の死刑が決まっていくのを見ていることしかできなかった。



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