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ハヤトが逝く  作者: 砂流
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ダンジョン地下14階には…

さすがに、オルガリアの後に次のエリアの魔物と戦うには、トパもエルモも魔力に不安があったし、他のメンバーもかなり疲労の色が濃い。


それでも、次のエリアにどんな魔物がいるのか、それだけは確かめておこうと、俺とエルモ、それからアラビで14階のエリアに降りた。


「鬼?」


その魔物は、俺の世界で言う、まさに鬼そのものの姿をしていた。それも、全身に激しい炎をまとった鬼。


ガッ!


一撃で俺の絶対防御にひどいダメージを受けた。次は破壊される…すぐさま俺たちは安全地帯に戻った。


「あれは?」


「ニックです。火山の中や地中深く、マグマの中にしかいない魔物ですから、その存在は伝説で語られてはいますが、実際に目にしたのは私たちが初めてかと。」


「俺の絶対防御が一撃でここまでやられるとは、すごい力だな。」


「ええ、それに火、雷属性の攻撃は効果がありません。」


「てことは、トパとアラビは戦力にならないと?」


「そうです。それに、接近戦でも身にまとう炎のせいで近寄ることもできません。エルモさんの矢も、体に触れる前に燃え尽きるでしょう。」


「てことは、なすすべなし?」


「これまでに討伐されたことはありませんから。」


「うーん、何か策はないかな?」


「火がダメなら、水、氷なら?」


「火山に水を放り込めば、爆発し、その爆風は放り込んだ方に跳ねかえってきます。氷でも同じです。」


「水蒸気爆発ってやつだな。」


いずれにしても、俺の絶対防御がこれでは戦闘にすら入れない。叩かれないように逃げながら攻撃しても、その攻撃は全く効かない。少なくとも現状の攻撃手段では…。


「さっき伝説って言ったよな。その伝説聴かせてもらえるか?」


「それは、私が話すであります。」


エルモが話したところによると、こうだ。


『火山の地下深く、溶岩の生まれるところにその魔物は現れた。地中よりマグマにも溶けない岩で作られた棍棒を手に、時折地上を目指す。だが、魔物が地上に出ることはできない。なぜなら、魔物の発する熱は地上の土も岩石も溶かし、火山から出ることも地上を歩くこともできないのだから。人目に触れるでもなく、何かと戦うでもなく、ただただ存在していた。自らの存在を恨み、怒りながら。


ある時、ニックと同じく火をものともせぬ英雄が現れた。英雄はニックの存在を聴き及び火山の中へと飛び込んだ。英雄とニックは邂逅した。自らの力を試したい英雄と恨み・怒りをはらしたいニック。戦いは溶岩の中で繰り広げられた。長い闘いの末、英雄の剣がニックの角を落とした。その瞬間、ニックの炎は消え、その体はマグマの中に溶けていった。だが、最後の叫びは恨みでも怒りでもなく歓喜の雄叫びに聞こえた。』


「ふーん、やっぱり伝説だけあって都合のいいようになってるんだな。マグマの中でも平気な英雄ってどんだけだよ。」


「でも不思議ね。地をも溶かすニックが何で14階のエリアに平然といるのかしら?」


「ダンジョンの空間は特殊な空間であります。魔術も物理も超越した空間?でありますから、ニックの熱にも何ら影響しないであります。」


「まあ、今回は戦うつもりもないし、次回までのお楽しみってことで、そろそろ切り上げようか。」


ダンジョンに入って3時間程度しかたっていなかったが、当初の目的は達した。


ギルドに戻ると、アラビはCランクまで昇格した。レンチも最初に一撃を入れているから、当然経験値は入っている。俺のスキルは、絶対防御が7、コピペが9と変化なし。そういや、コピペレベルがあがってから新しいものをペーストしてないな。そろそろ試してみるか。


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