番外編01.出会い
別小説【受け身で習得するチートスキル~冒険者パーティーを追放されたが、ドM向けな魔法を悪役令嬢から授かったので英雄になれるみたいです〜ですがショタワンコにされました、ぴえん】と繋がる物語。
遡ること半年前。
超科学都市『東のラディソス』の街中。
ラディソスは機械仕掛けの街でビルもあり、魔導車という車も多く走っている近代都市である。
中世ヨーロッパのような文化を持つこの世界では、飛び抜けて発展してどこの国にも属さない都市である。
「ふう、今日も疲れた.......。
早く帰って寝るか」
グアル・パルド。
数少ない猫族の1人で暗殺家業を営む黒髪、メガネの長身の青年。
身体のあちこちにナイフを隠し持っていて、すぐに取り出して斬りかかったり、投げたりできる。
そんな彼は、任務と買い物を済ませて帰宅しようとしているのだった。
そんな路地裏で
バタッ
誰かが倒れる音がした。
「!?.......誰かいるのか?」
グアルは警戒しながらも街の路地裏に入っていった。
「.......ハラ、ヘッタ.......。」
そこには銀髪で猫耳の少年が全裸で倒れていた。
右目が緑で、左目が青という珍しいオッドアイをしていた。
「なんだ、コイツ.......追い剥ぎにでもあったのか?」
「.......ナニカ.......クレ.......。」
「見捨てるのは後味悪いな。今手元にあるのはシュークリームしかないが、まぁいいだろう。これでも食いな。」
グアルは銀髪の少年にシュークリームを渡した。
「ガツガツガツガツ!!」
銀髪の少年はシュークリームを顔面に突っ込む勢いで食べた。
グアルはその光景に少し唖然としながらも、一命を取り留めたことを確信し安堵した。
「さて、俺は行くとするか」
グアルはそのまま少年を置いて去っていった。
「.......誰も見てないな、よし法術【影移動】」
グアルはラディソスの人目の付かないところに行ったら『影移動』という影から影へ移動する法術を数回使って帰宅するのだ。
バッ
何者かがグアルの背後に周りこんだ。
「な!? お前は!」
影移動が発動して別の地点に移動した。
「.......気配が全くわからなかった」
グアルは帰りの際には辺りを研ぎ澄ませたりして、警戒しながら影移動を発動しているが、銀髪の少年はまったく気配なく背後に周りこんだのだった。
「オナカスイテル! モットクレ!」
「食い物目当てか.......(見知らぬ人間を俺の喫茶店に案内するのはまずいが)」
「オナカスイテル!モットクレ!」
「そうだな、俺からこのリンゴを取ることができたら食い物をくれてやる」
グアルは買い物袋を地面の隅において、買い物袋からリンゴを取り出した。
「ヤル! タベル!」
「よし!こい!(俺に気配を感じさせず尾行するスキル、試させて貰うぞ)。」
銀髪の少年は勢いよく突っ込んできた。
それはイノシシが何も考えず突っ込んでくる勢いだった。
「速い!....が、単調の動きだ」
グアルは銀髪の少年をあっさり交わした。
しかし、銀髪の少年はすぐに体勢を立て直して突っ込んできた。
「何!?」
銀髪の少年はハイスピードで型にハマらない動きでグアルのリンゴを奪おうとする。
「(コイツ、動きが速いだけでなく切り返しも速い上に変則的な動きも交えてきやがる!
ま、まずい!)」
銀髪の少年の動きは速いだけでなく動きも読めない。ほんの数秒でグアルからリンゴを奪った。
「トッタ!コレ、タベテイイ?」
「…あぁ、いいぞ。」
「ガツガツガツガツ!」
「(今度こそマグレではない。万全ではないとはいえ俺の本気の動きについてきやがった。)」
グアルは銀髪の少年の身体能力に驚いていた。
「ゴチソウサマ、デモ、サッキノタベモノノホウガオイシカッタ。」
銀髪の少年はほんの数秒でリンゴを食べ終わったが、最初に食べたシュークリームの方がお気に入りだったようだ。
「お前は何者だ? なぜあんなところにいたんだ?」
銀髪の少年は首を傾げながら答えた。
「ワカラナイ、キガツイタラソコニイタ」
本人も分からないらしい。
「記憶がないのか? 名前は?」
「ワカラナイ、オモイダセナイ」
銀髪の少年は、何故そこにいたのか。
名前すら何なのかわからない。
しかし、身体能力はグアルを超えていたため警戒していた。
「.......(どうする? どこかのスパイかもしれないが.......ん?)」
グアルは銀髪の少年に文字が刻まれているということに気がついた。
「首に何か文字が書いてある。ユ...ガ...レ...イ?」
その文字は首に刃物で刻まれていたような跡があった。
血が流れていたが読めない程ではなかった。
「ユガレイ? オレ、ユガレイ?」
銀髪の少年は自分の名前があることを知り、嬉しそうに尋ねてきた。
「俺が知るか。(悪いやつには見えないが、何か凄い力を持っている気がする。それに俺より身体能力が上だ。鍛えれば戦力になるかもしれない.......)」
グアルはこのとき、ユガレイを闇ギルドに勧誘することを考えていた。
「…俺についてくるか?」
「イク! モットタベル!」
ユガレイは5歳児の子供のように嬉しそうに答えた。
「食べることばかりだな(他のメンバーに相談してから決めるか)。」
グアルはユガレイを連れて帰宅した。
グアルの住処は山奥の喫茶店で、ほとんど人が来ない。
来るとしても仲間ぐらいだ。
そんなところにメンバー以外の人間を向かい入れたの初めましてのことだった。
グアルとユガレイはそれぞれ別の寝室で寝ることにして、ユガレイは疲れたのかベッドに入ってすぐ眠った。
グアルはユガレイが逃げられないように、部屋から出ようとすると影で縛り上げる機械を設置した。
そして、朝を迎えた。
「さて、ユガレイの部屋には罠を仕掛けておいたから勝手に外に出ることはできないだろう。
部屋から出ようとしたら影に捕まって動けなくなるからな」
グアルはユガレイの部屋を覗きに行った。
しかし、そこには驚くべき光景があった。
「!?バカな! 俺の罠を破壊しただと!?」
そこには、ユガレイはいなくてグアルの仕掛けた罠も力任せに脱出した跡があった。
「リビングに気配がある。なんだ?
この猛獣のような飢えた気配は.......?」
グアルはリビングにある猛獣のような気配を感じたので、こっそり覗いた。
すると、リビングはかなり荒らされていた。
「酷いな、俺たちの情報を探していたのか?
こ、これは!!?」
その光景にグアルは驚いた。
「モグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグ.......!?」
グアルは冷蔵庫の中身を漁って食いまくるユガレイを見つけた。
「.......何してるんだ.......お前.......」
「.......」
ユガレイは黙って立ち上がり、何事もなかったかのように呟いた。
「.......イイアサダナ。ソロソロメシニシヨウカ」
「いや遅せぇよ!! もう食っただろ!」
グアルは思わずツッコミをした。
「オ、オ、オボエテナイ、キ、キオクニナイ。」
ユガレイは冷や汗垂らしながら、口を尖らせて顔を横にそらしながら言った。
あまりにも下手な嘘にグアルは呆れた。
「嘘下手か! そんなに腹減っていたのか?」
「ゴメンナサイ、ドウシテモガマンデキナクテ」
ユガレイは子供のような純粋な瞳で許しを乞った。
「.......今度から俺に言えよ? わかったな?
あと、どうやって部屋を出た?
罠を仕掛けておいたのに」
「ナニカニツカマッタケド、オモイッキリチカラヲダシタラ、ヌケダセタ。」
「ホントに力任せで脱出したのか。
リビングが荒らされていたがお前がやったのか?」
「ゴメンナサイ。タベモノサガシテタ」
「わかったわかった。
(もしスパイなら食い物荒らさずに去って行くだろうな。
それに俺の予想を上回る身体能力だ、そういえばコイツには尻尾がない。
猫族かと思ったが違うのか?)」
「.......今後とのことはメンバーに相談してみるか.......」
グアルはユガレイを仲間にするかどうかの相談をメンバーに相談することにした。
数日後、グリムリペアのNo.1、No.2、No.3が、グアルの元にやってくる。
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