02.極悪人専門暗殺ギルド
別小説【受け身で習得するチートスキル~冒険者パーティーを追放されたが、ドM向けな魔法を悪役令嬢から授かったので英雄になれるみたいです〜ですがショタワンコにされました、ぴえん】と繋がる物語。
第2話 グリムリペア
「まぁ何はともあれ、結果オーライだ」
グアルは少し苛立っていたが暗殺は成功したようだったので問題ないようだ。
「暗殺成功? さっすがー!」
ユガレイは反省しているかしていないかわからないがとりあえず作戦成功していることを聞いて安心したようだ。
「俺は影があればどこへでも移動出来る【影移動】があるからな、ビビって1人になった瞬間を背後から襲った」
グアルは【影移動】が使える。
自分の影から別の影に移動できる能力だ。
ターゲットが1人になった瞬間を狙って【影移動】で背後を取って毒の短刀で刺したそうだ。
「そりゃラッキー」
「殺し屋を雇って邪魔な者は始末したり、賄賂で隠蔽したりでやりたい放題、それによってでかくなった大企業だからな」
悪徳商法によって多くの人々を騙して成り上がった企業で、反感する者や都合の悪い人間は暗殺者を雇って消してきた。
しかし、ラディソスは国から完全に独立しているので、よほど大っぴらにならなければ処罰はされない半無法地帯だ。
「国が動かなければ俺達が、ということだろ?」
「そういうことだ。だから俺たちは今日も暗殺をする。
それが極悪人暗殺ギルド、グリムリペアだ、たまに天災級の魔物退治もあるがな」
グリムリペアはそんな悪を暗殺するために結成された極悪人専門暗殺ギルドだ。
そして、圧倒的な実力を持っているため天災級の魔物退治もあるそうだ。
「難しいことはよく分からないから頼りにしているぜ、相棒」
ユガレイが頭で考えることが苦手なので完全にグアルに頼りきっている。
「お前さんも少しは考えてほしいがな」
無鉄砲に飛び出すユガレイには飽きられるグアルだった。
カランカラン
グアルの喫茶店に誰かが入ってきた。
短い髪の金髪で髭面で右目を失って眼帯をしている、かなりガタイの良い身体をした男が入ってきた。
「よぉ!久しぶりだな!」
グリムリペアNo3 万雷 『ドナー・ボルト』
力強い大きな声で店に入ってきた。
「よぉ!ライオン!」
ユガレイはその髭面の風貌からライオンとニックネームをつけているそうだ。
「久しぶりだな!ユガレイ!
派手にやられたみたいだな!」
東洋の死神との戦いの情報は既に伝わっているそうだ。
「いや、負けてねえし!」
ユガレイは頬を膨らませながら抗議した。
「まぁ実際は引き分けで俺が止めたからな。
任務完了したら長居は無用だ」
グアルからすればあのまま戦っていたらどちらが勝つかわからないそうだ。
あのまま戦っていたら周辺がめちゃくちゃになっていたことと任務完了したので退却した。
「ガッハッハッ! それもそうだ!」
カランカラン
また1人、誰かがグアルの喫茶店に入ってきた。
赤オレンジの髪に赤と黒の派手な服装。
頭に角がある小柄で少女のような容姿だ。
「全く相変わらずここはうるさいのじゃ」
グリムリペアNo2 空間女帝【リア・スカーレット】。
落ち着きのない男どもに対して呆れた顔で言い放った。
するとユガレイの第一声で…
「よお!300歳のロリババ!久し...」
ドカーン!
ユガレイの目の前が爆発した。
「あべし!」
ユガレイは床に突き刺さり店に穴が空いた。
「口を慎みなさい下等生物。
妾はまだピチピチの289歳じゃ」
リアは少女のような容姿であるが289歳の魔族である。
「ガッハッハッ!! いつものこのノリ飽きねぇなぁ!」
ユガレイとリアのやり取りはいつもこんな感じである。
「来て早々店の壁に穴開けないでくれよ、お姫さん」
グアルは店に穴を空けられて不満そうであった。
「【すぐに直す】から大丈夫じゃ!それより本日の紅茶出しなさい」
すぐに直すとは? それはリアの能力でありまたいつか綴りましょう。
「はいはい」
グアルはとりあえず紅茶を出した。
こんな山のド真ん中にポツリとある喫茶店に国1つ余裕で滅ぼせる戦力が集まっているとは誰も思わないだろうなと思いながら。
「暗殺は成功したみたいだけどこれからどうするつもりじゃ?」
リアの突然の問に少し戸惑うグアル。
「どうって...もう終わった任務だろ、お姫さん」
イレギュラーがあったとはいえ暗殺は成功しているので問題ないはず。
何かあったのかとグアルは脳裏を過った。
「あんた達に追加任務じゃ。東洋の死神を調べよってね」
追加任務を伝えるためにリアとドナーは喫茶店にやってきたそうだ。
「どうもアイツの関わっている組織は次の俺とリアのターゲットかもしれねぇ!」
東洋の死神はフリーの傭兵ということだがどこかの組織と繋がりがあるようだ。
「なるほどな、確かにやつの実力はフリーの傭兵とは言い難い。
それにあくまでも俺たちの暗殺は極悪人のみ。
無駄な殺生はギルドの方針に反する」
あくまでも東洋の死神を調べて、ターゲットである組織を特定することが任務ということだそうだ。
「調べるならアイツが適任だぞ」
ドナーはすぐに適任者を提案した。
「あいつかぁ、あまり会いたくはないんだが、今どこにいるかわかるか?」
グアルはその『アイツ』に会いたくない。
というより苦手なようだ。
「そのための妾じゃ、地図に示してやるから地図を持ってくるのじゃ」
リアは『アイツ』の位置を把握する能力を持っているため任務を伝えるだけでなく喫茶店に訪れたそうだ。
「流石お姫さんだ、便利な能力だな」
そして1時間後。
『アイツ』の位置を確認し計画をすべて伝えてリアは話をまとめた。
「それじゃ改めて任務を言うのじゃ
グアル、ユガレイに告ぐ
情報屋ノイモと合流して東洋の死神の情報を集めよ
理解したかしら?」
リアは上司のような物言いで話した。
実際上司ではあるが。
「大丈夫だ、というわけで聞いていたか?
ユガレイ?
いつまでお姫さんにやられたフリをしている?
爆風に合わせ後退して衝撃を減らしたからダメージはないだろ?」
グアルはバレバレだと言わんばかりにユガレイに話しかけた。
「よいしょっと!
バレてたか。
それじゃぁ出発するぜ」
ユガレイはグアルの言った通りほとんどダメージを受けてないようだった。
「あ! 弁当にシュークリーム!」
ユガレイは食べ物のことばかり考えている。
「いらんわ! はよ支度せい!」
ユガレイのボケとグアルのツッコミはいつもの事。
しばらくして目的地に向かった。
「やっと行ったわね」
リアはまた呆れた顔をした。
「ガッハッハッ!しっかし会う度に強くなっていくなぁ!ユガレイのやつ」
たった半年の間にメキメキ実力をつけてきたと言わんばかりにドナーは話した。
「それは違うのじゃ。
強くなっていくんじゃなくて元々の力を使いこなしてきてるって感じかのう。
全く底が知れないのじゃ」
リアはなんだかんだユガレイの底知れない力を認めているようだ。
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グアルとユガレイはグリムリペアの発明家が作った【魔導車】に乗って移動していた。
【魔導車】は魔力が動力源だが普通の車とあまり変わらない乗り物だ。
「ノイモはこの先にあるナノキリ村の地下にいるそうだ」
グアルたちは目的地のナノキリ村に向かっていた。
「ふーんそっかー」
特に意味のない返答をするユガレイ。
「ラディソスと違ってだいぶ田舎だから隠れやすいんだろうな」
『アイツ』とはノイモのこと。
グリムリペアのメンバーで隠れやすいところを選んでいるとグアルは考えていた。
さらに言えば一定の場所に留まらないため本来は探すのが困難を極める。
リアの能力がなければ合流するのは難しい。
「ふーんそっかー」
特に意味のない返答をするユガレイ(Part2)。
「ところでなんでお前さんが運転しているんだ?
免許持ってるのか?」
なぜか魔導車のハンドルを握っているユガレイに疑問を問いかけた。
「え?メンキョ?なにそれおいしいの?」
「.......お、降ろしてくれええええ!!」
ドガーーン!!!!
ユガレイがよそ見をした瞬間岩にぶつかって魔導車が壊れた。
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「ダメだ、完全に逝っちまってる」
グアルは車を修理することのできないのでもう魔導車を置いて行くしかないと考えていた。
「ま、予期できないトラブルは付き物だ!
気にすんな」
ユガレイは他人事のように楽観的に言った。
「お前のせいだろ!てか予期できる範囲だ」
魔導車を運転したことのないユガレイが運転したのならこうなることは確実だった。
「急ぎじゃなさそうだしのんびり行きましょ」
「遅れすぎるのも問題だ。まぁ俺とお前さんの能力を使えばすぐつく所まで移動したからな」
魔導車のおかげでお互いの能力を使えばすぐ着くところまで来ていたそうだ。
「結果オーライ!」
「お前さんが言うと腹が立つ」
グアルはお前が言うなと言わんばかりの顔をしていた。
その時、背後に何者かが現れた。
「ユガレイ」
グアルは殺気を感じてユガレイに話しかける。
「あぁ、わかってるってお客さんかな?」
ユガレイもその殺気に気づいて振り返る。
「まーさかこんな所で闇ギルドの有名人に会うとはなぁ」
モヒカンでモンク僧の服装をした男が話しかけてきた。
「ぐへぐへぐへ」
そのモヒカンの隣には身長3mほどある半裸で鼻水を垂らした大男がいた。
「俺たちに何か用か?」
あからさまの殺気に対してグアルは念の為問いかけた。
「決まってんだろう、闇ギルド同士は敵同士!
出会ったら殺り合うのが定石よぉ!」
モヒカンは短絡的な思考で今から殺る気マンマンということを伝えてきた。
「ぐへぐへぐへ」
大男は気味の悪い笑い方をした。
「しかも見たところ2人だけじゃねぇか!近くにうちらの闇ギルド【アールモール】もあるし今がチャンスだぜ
どうやら2人は闇ギルド【アールモール】に所属する戦闘員だそうだ。
「闇ギルド VS 2人、無理、勝てない、ぐへぐへぐへ」
大男は初めてまともな言葉を発したがカタコトであった。
近くに自身たちの闇ギルドがあるので増援も呼べることから絶対に勝てないと自信があった。
その時、ユガレイは立ち上がった。
「お前さん1人でいいか?」
グアルは加勢はいらないか確認した。
「あぁ、十分だ。東洋の死神と戦った時は不完全燃焼だったからな。
準備運動ぐらいにはなるかな?」
ユガレイは勝つ気満々であった。
「バカが!俺たちは闇ギルドの幹部だ!
グリムリペアとはいえたった1人で何ができる?」
モヒカンと大男はただの戦闘員ではなく、アールモールの幹部だそうだ。
「ぐへぐへぐへ、無理、お前、死ぬ、ぐへぐへぐへ」
幹部2人にかなうはずないと本来なら誰もが思う状況だ。
しかも、何かあれば増援が駆けつける。
「さぁ、何が出来るでしょう?
3分後にわかるぜ」
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