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09.神の像と白銀の悪魔

別小説【受け身で習得するチートスキル~冒険者パーティーを追放されたが、ドM向けな魔法を悪役令嬢から授かったので英雄になれるみたいです〜ですがショタワンコにされました、ぴえん】と繋がる物語。


超科学都市『ラディソス』には東西南北中央5つの都市がある。


ラディソスの中央都市は他とは比べ物にならない規模である。


そんなラディソスの中央都市の市長室にて2人の男が会話をしていた。



「やぁ、呼び出してすまないね、プレファースくん」



声を変声機で低くして喋る謎の男。

彼の名はラルス。

超科学都市「ラディソス」を築いたの最高権力者。



「いえいえ、お陰様で商売上手くいってますから」



プレファースと呼ばれたこの小太りの中年男性は第1話でユガレイとグアルのターゲットだった人物だ。



「後ろから刺されて大変だったね。

ボディーガードの東洋の死神くんは勝手に行動するし」



「まぁ、そのかわり死んだフリができたからね

しかし、グリムリペアから受けたダガーの毒が徐々に不老不死の力を奪っていくみたいで…。

ラルスさんに治してもらったら暫く身を隠してまた商売させて貰いますよ」



グアルは確かにプレファースが死んだのを確認したが仮死状態になっただけで時間が経つと息を吹き返した。

しかし、ダガーの毒がその力を奪っていくので死ぬのも時間の問題だという。



「その事なんだけど、君。

帝国に私たちの科学の情報が流れたそうじゃないか」



「な!? そんなことは.......!」



「君の雇ったアラクが帝国の手先みたいでね。

君の持っていたラディソスの資料をアラクが帝国に流していたのさ。これはかなりの失態だねぇ」



プレファースが雇ったボディーガード。

東洋の死神を含めた最凶の傭兵団『アラク』。


実は世界帝国『ヴェルト』専属であり、ラディソスの科学情報を帝国に流すために、プレファースのボディーガードとして潜入していたのだった。



「も、申し訳ございません!」



「前々から君の不老不死の力。

あれ、燃費が悪かったから丁度いい機会だと思っているんだよね」



ラルス曰く、定期的にメンテナンスをしないと維持できない不完全な不老不死なのでプレファースを処分しようと考えていたのだった。



「次はこのような失態は致しません!

だから命だけは!!!」



「太るだけ太った無能な豚は嫌いでね」



プレファースの懇願も虚しく、触手のような機械に拘束されて胸を貫かれて、不老不死のコアを取り出した。



「ぎぁああああ!!」



プレファースの体から血を吹き出して、みるみる崩れていき、砂になった。




「ひっひっひ。

さて、次の段階に進もうかね。楽しい楽しい人体実験の始まり始まり~。魔法と科学の融合により生み出された人工生命体『ヒューマノイド』。

そこに不老不死の人間『エスペーロ』ができれば世界を救うことができる。

そう、私はこの世の全てを創造する神になる!」




一方、こちらはどこか深い夢の中。

まるで深い海の中にいるような不思議な空間が広がっていた。






ここは.......どこだ.......深い.......どこかにいるみたいだ.......






俺は.......ここに.......来たことがある.......?






わからない.......思い出せない.......







でも.......懐かしい.......気がする.......








おい!







誰.......だ.......?









おい! 起きろ!








誰だ.......?










「いつまで寝ぼけているんだユガレイ!」





!?










「フハァ!!!!」



ユガレイは目を覚ました。

目を飛び出して、ヨダレを垂らして、変顔と呼ぶに相応しい表情で奇声を上げて目覚めた。




「いや、フハァじゃねえ!!

なんて顔してんだ!!

さっさと起きろ!!」



ユガレイの相方。グアルからの高速連続ツッコミが放たれた。



「.......夢.......か.......?」



ユガレイは不思議な夢をみていたようだ。

ここは、森の中を移動中の馬車の上。

大教会『デウス』に向かう途中でユガレイは居眠りをしたようだ。



「朝からトリプルツッコミさせるな。

もう到着の時間なのに居眠りしやがって、相変わらず緊張感がないやつだな。

デウスに着いたからさっさと行くぞ!」



「.......はーい」



少し夢が気になるがとりあえず気を取り直して返事をした。



「.......ところでなんで馬車? 魔導車はどうしたの?」



馬車で移動するより早く着く魔導車で何故移動しないのか疑問に思ったユガレイ。


魔導車というのは、ガソリンではなく魔力を運動エネルギーに変換して走る車のことである。

もともとラディソスの一部の人間しか持っていない高級な乗り物だが、グリムリペアには悪魔の頭脳の2つ名を持つグリムリペアNo.10 『クレスト・キオール』が自作したので一台を所持している。



「お前が壊したんだろうが、だから馬車で移動しているんだろうが」



グアルは静かに怒りを込めた口調でユガレイに言い放つ。

というのも第2話でユガレイは勝手に運転して壊したのだ。



「フハァ!!!!」



目を飛び出して、ヨダレを垂らして、変顔と呼ぶに相応しい表情で奇声を上げたユガレイ。



「誤魔化すな!」



グアルとユガレイは馬車を降りて森の中を暫く歩いた。


大教会『デウス』は結界が張ってあり入ることはおろか見つけることすらできない。


入るには許可証が必要だ。


許可証はデウスの結界と共鳴する聖石で情報屋ノイモ・シーミーが持っていると言っていたお守り。


ノイモとグリムリペアのボスであるキュリアが何度もデウスに接触して信頼を得ることに成功してユガレイとグアルはその許可証を持っていた。


ピカー!


そして、結界を前に許可証が反応して入口が現れて、結界の中に入っていった。




大教会『デウス』本拠地。


広大な土地に神々しく立てられた巨大な教会。



「ここかー大教会ってのは!!」



その建物を見上げたユガレイは子供のようにはしゃいだ。



「いちいちはしゃぐな」



「はーい」



ユガレイとグアルのやり取りはまるで親子のようだ。


大教会の建物内を歩いているとユガレイとグアルは2人組の男女に話しかけられた。



「やぁ、君たち!

久しぶり。元気にしてたかい?」



グリムリペアNo.7 トワル・アレニエ。


青髪で長髪の男。蜘蛛の巣をモチーフにした柄のスーツを着ている。

髪をかきあげながらキザに話しかけてきた。



「あわわわ!お、お、お久しぶり.......ですぅ」



グリムリペアNo.6 シエラ・ペコラ。


角のある帽子にモコモコした綿を手足、首に装着した羊をモチーフにした格好の前髪パッツンのショートヘアーな緑髪の少女。


人見知りで話しかけるのは苦手な彼女は、顔見知りでも、頬を赤くしながら慌てふためくように話しかけてしまう。



「久しぶりだな。2人とも」



「よぉ!ロリコン!モコモコ!」



普通に話すグアルに対してニックネームで呼ぶユガレイ。



「お、お、お久しぶりですぅグアルくん、ユガレイくん」



「シャーラップ!ロリコンとは心外だなぁ、ユガレイくん。僕は一途にこの子を愛しているだけさ」



トワルは不服そうな顔をしながらペンダントを取り出して開いた。

その中には写真が入っており、長く青い髪の幼い少女が写っていた。



「アアアァ…僕の妻! 愛しの天使! マイスイートエンジェル…髪も目も口も手も足も全部美しい!! 芸術!アート!! アンドビューティー…なんでこんなに美しい存在いるのだ!? なんでこんなに愛しい存在がいるのだ!? 目が離せない!! 離れない!! 君が離さない!! 僕は離さない!!! 抱きたい!! 抱きしめたい!!愛したい!!! ずっとこのままでいたい!!!

.......あぁ.......マイスイートハニー.......(絶命)」



トワルはペンダントの写真の少女を眺めながら至福の時間得た幸せな顔をして倒れ込んだ。




「.......恒例の儀式が済んだなら今の状況教えてくれないか?」



グアルはトワルのリアクションに引きながら聞いた。



「No problem! お易い御用さ」



すぐさまトワルは立ち上がり奇妙な決めポーズを決めて話し始めた。

その最中、1人の青年が話しかけてきた。



「おい! 緊張感がないのかお前らは!!」



彼の名前はウェンディーネ。大教会デウスの戦士でエルフ族だ。



「くそ、闇ギルドに力を借りるなんて」



ウェンディーネはグリムリペアのメンバーを毛嫌いしていた。



「そんなにカリカリしないでおくれよウェンディーネくん。もう1週間の仲じゃないか」



トワルは奇妙な決めポーズで右ウィンクをしながらウェンディーネに話しかけた。



「うるさい!話しかけるな!人族!!」



ウェンディーネはグリムリペアへの敵意を隠すことなく吐き出していた。



「ウェンディーネさん。彼らは私たちとともに戦う仲間なのです。そんな暴言を吐いてはいけません」



白いローブの男が話に割って入ってきた。

彼の名は『クラルテ』大教会の大司教で最高の白魔道士の称号を持っている。



「クラルテ様!俺たちだけで十分なのになんでこんなやつら雇ったんだ!俺たちじゃ力不足なのか!?」



闇ギルド、正確には人族と一緒にいることが我慢できないウェンディーネは怒りをグリムリペアにぶつけてしまう。



「落ち着きなさいウェンディーネさん。彼らの力を借りなければこの大教会は守れないところまできているのです。分かってください」



「…」



タッタッタッ。


ウェンディーネは頭ではわかっているようだったが感情が納得しない様子で、黙ってどこかへ行ってしまった。



「申し訳ございませんグリムリペアの皆様。

ウェンディーネさんは子供の頃、両親を人族に奴隷として連れ去られたのです。

その後酷い扱いをされて亡くなってしまってしまい…

それ以降、どうしても人族に対してあのような態度を」



大教会で最も権威のある方が申し訳なさそうにしている姿を見てすぐにグアルが口を開いた。




「大司教さん、大丈夫です。俺も帝国の奴らに両親を殺されたから彼の気持ちは痛いほどわかります」



過去に大切な人を失った同士その痛みはわかるとグアルは自分のことを話した。



「そうでしたか、そんな辛い過去が.......。

ここで話すのもなんですので、奥の客室にご案内致します」



「すまない、礼を言う」



「ありがとうございまーす」



ユガレイとグアルはクラルテに連れられて歩き出した。

しばらく歩くと礼拝堂を横切ろうとした。

あまりにも大きく美しい光景にグアルは立ち止まってしまった。



「これが噂に聞く『神の像』か」



長髪で整った顔立ちの引き締まった肉体を持つ男性の像。


大教会デウスに存在する神の像である。



「えぇ、そうです。私たちが崇拝している神。私たちは毎日『神の像』に祈りを捧げているのです。そして、神はこの世の全てを創造したとされています」



「神様っておいしいのかと思ってた」



「こら! ユガレイ! すまない.......無礼な発言だった」



ユガレイの発言に慌てて叱るグアル。

信仰している像に向かって美味しいって…。



「ふふ、無礼を通り越して驚きましたが気にしていませんよ」



さすがに、美味しいのかっと思ったなんて言った人はいないので驚きしか感情が湧かなかったクラルテ。



「大司教さん!その神様の隣にある像はなんですかー?」



特に反省する様子のないユガレイは、神の像の隣にもう1つ像があるのを見つけた。


確かに禍々しい獣の像が置いてあった。



「確かに.......あれは何ですか?」



「あれは『白銀の悪魔』と言われております。

今から10000年前、突如その悪魔が世界に現れて、瞬く間に世界を半壊した凶暴な化け物と言い伝えられております」



「デウスにそんな言い伝えが.......その悪魔はどうなったんですか?」



「『白銀の悪魔』は世界を半壊させた後、突然姿を消したそうです。

言い伝えでは神が退治してくれたとかありますが真相はわかりません。

もしまた『白銀の悪魔』が現れても神が守ってくれるように『白銀の悪魔』の像を『神の像』の近くに置いているのです」



「うーんこれ、どこかで見たことがあるような.......?」



ユガレイは珍しく気になるようだ。



「お前さんは昨日の夕飯のメニューも覚えてないだろう。気のせいだ」



「うーん、そだな!気のせいだ!」



昨日の夕飯のメニューも覚えてないユガレイの記憶力は当てにならないのでスルーすることになった。


すぐにユガレイとグアルは客室に案内された。





そして、翌日の朝



タタン!


ビシっ!


ビシっ!


シュパ!



「Good morning! 大教会の皆さん!

今日もいい天気だねー!

あまりにも眩しくて目が疲れるかもしれないけど、今日も元気よくいこうじゃないか!」



トワルはノリノリで珍妙なダンスを決めてから元気よく挨拶をした。


しかし、大教会の人達はトワルの挨拶を無視していた。



「.......いつもあんな感じなのか?」



グアルはシエラに話しかけた。



「う、うん! ト、トワルくんは、トワルくんなりに皆と仲良くしようとして、い、いつも大教会の皆さんに話しかけたり挨拶したりしているよ」



「…逆効果な気がするが.......」



どもりながら説明するシエラの話を聞いて、引くグアル。




さらに数日が経った。


タタン!


ビシっ!


ビシっ!


シュパ!



「Good morning! 大教会の皆さん! 今日もいい天気だねー!

朝日は癒しと気力を与えてくれる素晴らしいモーニングコールだ! 僕らもそれに応えるべく張り切って頑張ろうじゃないか!」


トワルは珍妙なダンスを決めてから海老反りの体勢で決めポーズをしながら大きな声で挨拶したが、大教会のほとんどが無視をしていた。



「相変わらず頑張るな。

ある意味真っ直ぐなアイツらしいが」



それなりに長い付き合いなので、グアルはトワルの性格を理解している。

斜め上を行くとはいえ、一度決めたことは貫き通す真っ直ぐな性格にはいつも関心させられる。



「もう数日経つけど何も起きないなぁー。

暇だなぁ、ちょっと散歩に出かけてくるね!」



ユガレイは息抜きに散歩に行こうとする。

ピリピリした空気の中、待機するのは窮屈で仕方が無いようだ。



「基本的には侵入不可のデウスなんだから何もないのは当然さ、あと4日もすれば世界各地のデウスの戦力がここに集まるからそれまでの辛抱だ。それよりお前さんはもっと気を引き締め.......ってもういねぇ!!」



ユガレイはグアルの話を最後まで聞かずにいなくなった。


建物の外は森となっており、その森の中を鼻歌で歩くユガレイ。



「フーンフーンフフンノフーン

.......曲名は「フーン」作詞作曲ユガレイ.......

カックイイ!!

おや? この匂いは.......シュークリーム!

どこかなどこかな~?」



一方、トワルは異変を感知した。



「ん!?.......これは.......敵襲…!」



大教会の人達は一気にトワルに注目した。



「ほんとか!?」



突然敵襲宣言に驚くグアル。



「大教会の回りを囲っていた僕の糸が反応している。この感じからすると2足歩行の動物がこちらに向かってきているが、数は.......5000人を超えている.......敵襲で間違いない!」



トワルは糸を使って罠を仕掛けたり、仕掛けた糸の振動で敵を感知したり、拘束したり、武器にもするスレッドマスターだ。


そのトワルの糸が5000人の敵を感知したという。



「5000人だと!? 帝国め! どうやってこんな人数集めたんだ! そもそもなんでここがわかったんだ!?

いや、わかったとしてもここの結界を破壊できるはずがないが」



そもそもこの場所すら見つけることが出来ないはず。

なぜ、帝国はここに近づいてきているのか?



「シャーラップ! 無駄話をしている時間はない! この状況をどうにかすることを考えなくては!」



「あわわわ!どうしよう!」



「てか、ユガレイがいねえ! どこいったんだアイツ!」




そして、ユガレイは現実とは思えない空間にいた。



「うーん、ここはどこ?.......迷子になった.......?」



森を歩いている最中、シュークリームの匂いに釣られて異空間に閉じ込められてしまったユガレイ。


ユガレイを異空間に閉じ込めたのは中年の男性エルフ。



「まさかグリムリペアがここにいるとは。

情報によればこいつは『白銀のスナイパー』。

闇ギルド『アールモール』を1人で壊滅させたと聞く。

異空間に封じられてよかったぜ!

本日より大教会デウスは終わる。

【ジャブラ】の手によってな!」



果たしてこの者は何者なのだろうか?

ジャブラとは?

「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


と思ったら


下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


ブックマークもいただけると本当にうれしいです。


何卒よろしくお願いいたします。

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