41 .雷雨の一夜 ※R15 描写アリ
R15回
※ 2人が身も心も結ばれる回です。控えめな描写ですが、苦手な方はスルーして下さい。
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フランツが意識を取り戻してから半年が経った。
身体もすっかり回復した。臨時で所属していた軍犯罪捜査局の捜査官は辞めて、元いた建築資材の商会に復職して元気に働いている。
ケストナー家の当主でトルーデの父親のオットーと、兄のヴィリーにも会った。2人は、ケストナー家の末娘トルーデのお相手出現に喜んでいるようで、その喜びようにフランツは戸惑った。
(えっと……万事に秀でた令嬢が、平民で天涯孤独で平凡な俺とか ふつうは不安になるもんなんじゃないの???いや俺も反対されることはある程度想定してたんだけど…マジ交際となるとさ)
フランツは知らないが、ケストナー家の父も兄も、「影」である爺とその手下から詳細な報告を受けていたのだ。
・トルーデの方から熱烈アプローチをしたこと
・軍での働きぶり、過去の勤務先での評価
などなど フランツの経歴や人柄は既に丸裸にされていたも同然だった。
軍犯罪捜査局の臨時捜査官になって事件に巻き込まれ意識不明になって以降の娘・トルーデの姿を見て、また、トルーデからは「彼を愛してるの 諦めたくない」と言われ、(ほう…これは本気の相手か)と、父も兄も認識を新たにした。
意識を取り戻したフランツと正式に会い、その感触も悪くなかった。むしろ彼は、トルーデにロックオンされた側なのではあるまいか……?とオットーとヴィリーは思った。
「父上、考えてもみて下さい…帰還してすぐにトルーデが『完全に諦める為』という理由で彼の後をつけて自宅まで行き、その日のうちに傷心の彼を酔いつぶして自分が住む別邸に連れて帰ってるんですよ」
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[兄ヴィリーの主観も交えた秀逸なまとめ]
「ううむ……改めて聞くと我が娘ながら、なかなかの素早い囲い込み方よのう」
「聞いた話じゃ魅了の魔法まで掛けたのに、なびかなかったとか…」
「親の欲目だが あの美貌をもってしても最初は落とせなかったのだな」
「 ────…どこぞの適当な貴族と縁付けるおつもりは、もうないのでしょう? 父上も」
「ああ…あのバカ息子との婚約破棄もあったしな。 何よりあんなに入れ込んでるのを引き離すこともあるまいて…」
「トルーデの性格上、彼を『ツバメ』にしておこうとは思わないでしょう」
夫以外に愛人を持つ貴族女性は少なくない。だが軍人令嬢トルーデは、そういうタイプではないだろうというのが家族の見解であった。
「独身のままでもそれはそれでいいと思ってはいたんだが」
「よいではありませんか父上。あのトルーデが惹かれたんです。 私は兄として応援してやりたい」
(あれじゃもう逃げられないだろう、そして彼は彼で、喜んで尻に敷かれるタイプだ)と、いう結論に達しフランツについて総括し合う男2人。
それを聞いて部屋の隅でうんうんと頷く執事。
二十代後半同士、外堀から埋められてこうして2人は公認の仲となったのだった。
恋人の段階をすっ飛ばしてしまったような…
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休日、とある森までトレッキングに出掛けた2人。
突然の雷と豪雨。森の端にあるケストナー家の別荘に飛び込む。
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「んっ……」
すっかり濡れてしまった服を脱ぎ、裸になった2人。
沈黙。視線を絡ませ合い、どちらからともなく唇を重ね合わせた。はじめは啄むように、次第に深く。
2人の吐息と声。フランツは、トルーデを抱え上げ、その美しい裸身をそっとベッドに横たえる。
窓を打ちつける強い雨粒。轟く雷鳴。日は既に落ちて暗くなりかけていた。
「 ────…いまさらだけど、いい…?」
「いいに決まってる…あっ…」
背中を上下に撫でさすると、トルーデから甘やかな声が漏れる。
「綺麗だよ…」
「っ……んっ…」
「ずっとこうしたかった」
「あっ……」
こすれあうシーツの音、ベッドの軋む音、2人以外誰もいない別荘の中、睦み合う声が室内に満ちる。
窓の外は降り止まない雨。風と雷はおさまっていたが、雨に閉じ込められたようなこの別荘で、2人は何度も何度もお互いを求め合った。
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お読みいただきありがとうございます。
イチャイチャ期の分量が少なかった気はしますが、一足飛びに進展ということで…
( ・∇・)
キャラクター達の心情に沿っていたらこうなりました。
(設定としては トルーデは経験アリです)




