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2 .お嬢様は見ていた

トルーデ視点です。

 いとしのフランツが、家に帰ったのを見届けたら 今度こそ本当に諦められる。


 「友達」という言葉の枠から、とっくにはみ出していたが秘匿しているこの感情。


 奥方との抱擁を見て、ショックを受け、納得して、そうしたら、自分の気持ちも、収まるところに収まるだろう。


 わたくしはそう自分に言い聞かせて、王都の郊外のここまでフランツの後を尾けてきた。

 

 まるで不貞調査のような卑怯な真似と、言わば言え。


 こんな真似をするみっともない自分も、フランツの幸せを見届けたら元に戻すさ…フッ…。



 んんん?なにやら様子がおかしい。


 フランツの妻らしき女性は男に肩を抱かれ、赤ん坊もいるような。


 苦い気持ちになった。


 ハッキリと声は聞こえないが、これはアレだな、戦争中に夫が不在でそういうことになってしまったということか…。


 やり取りが一巡した後、フランツはうつむいた。


 ゆっっっ…くり顔を上げて ぼそぼそ、と二言三言何か言い、フランツはかつての自宅を背にする。


 奥方らしき女性は、叫んだ後泣き出した。それを男がなだめているようだ。


 ヤバい、フランツこっち来たらどうしよう。ちょっと距離を取らないと。覗き見していたのは流石に気まずい…。


 隠れていた場所から離脱するのに早足になる。


『お嬢様、だからワシが報告すると言ったでしょう…』


 誰もいない道に、しゃがれた声だけがする。


「うるさいぞじい。わたくしは自分のこの目で確認したかったのだ」


 《じいのヒソヒソ声と会話するトルーデ》


『お嬢様も、あの御仁に惚れたもんですなあ…フランツ様の奥方が、あの男と夫婦同然の暮らしをしていることなど、ワシらはとっくに掴んでおりましたものを』


 あ、フランツに見つかっちゃった。


 今日はフランツの後ろ頭ばかり見て尾行…いやいや「後を追いかけてきた」から、


 フランツの明るい茶色の髪と黒い瞳を正面から拝めて嬉しい!神さまありがとう!


 あー 好きだな!やっぱり。


 もちろん、この気持ちを彼には言ってない。

 

トルーデが、フランツを好きになった大きなキッカケがあるのですがそれは後に書きます。


読んでいただきありがとうございます!

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