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プロローグ 其の二

「……なるほど、後輩ちゃんは人間とサキュバスのハーフというわけか」

「そうなりますね」


 夏も近づき、影の伸びるアスファルトを、俺は後輩ちゃんに説明を受けていた。先ほどの、角が生えたことについて。

 後輩ちゃんは喋りながら頭の横から生えている角を手のひらですりすりしたり、視線が上の方に行きがちだ。慣れ親しんだ体に慣れないものがあるのか、よほど気になるらしい。

 学校では目立つからと、今は学校の近所である俺の家に向かっている。ただでさえ後輩ちゃんの銀色の髪は目立つのに、その上こんな角まで生えているとなれば学校中大騒ぎだろう。


「でも、今までなんともなかったので、てっきり私は普通の人間なんだと思ってました……」


 後輩ちゃんのスカートの中から、黒い尻尾が這い出てきてゆらゆら揺れている。角に比べればパッと見て分かる変化ではないが、普通の人間にはもちろんこれもないもので。あと、制服を着ているので俺には見えないが、背中には小さい羽も生えているらしい(先ほど学校のトイレで後輩ちゃんが確認してきた)。


「あの……、すみませんでした。突然あんなこと言って」

「ん?あんなことって?」

「その、えっと、せっk……」


 後輩ちゃんの顔が赤くなるのと同時に、俺も顔に血が上っていくのを感じた。

 そういや俺、ついさっきこの子にとんでもない告白を受けたんだった……。その後も色々ありすぎて忘れかけていたけれど。例えば図書室を閉めるときも、読書に没頭していた人たちを必死に誤魔化しながらだったし、校門を出る時も大変だった。


「できればあれは忘れてもらえると……その、サキュバスになったばかりで混乱してしまっていたので……」

「あ、うんもう忘れた! 綺麗さっぱり忘れたぞ! ピンク色のパンツももう思い出せないから安心してくれ!」

「なにちゃっかり見てるんですか! それも忘れてください!」


 鞄で横腹を殴られる。あまり痛くはなかった。床に押し倒された時とは大違いだ。あの時は力の差がありすぎて逆らう気すら起きないほどだったというのに。

 俺の怪訝な視線に気づいたのか、後輩ちゃんは、


「サキュバスって力が強いんですよ。……男の人を、その……無理やりできるように」


 恥ずかしそうに俯きながら後輩ちゃんは言う。


「なるほど、ね」


 ならば力の弱くなっているのは、力のコントロールができるくらいにはサキュバスの体に慣れたということなのだろうか。そもそもサキュバスという存在を今日知ったばかりの俺には、体の仕組みがいまいち分からないが。


「着いたぞ」


 気がつけば、俺の家の前まで来ていた

 門に手をかけ、押す。無駄に重い扉が、音を立てながらゆっくりと開き、道ができた。


「え……? なんですか、これ」


 後輩ちゃんは非現実存在を見るように、目を丸くしている。

 だが表札も俺の名字である『安形(あがた)』だし、何もおかしいところはないと思うが……。


「だから、俺の家だけど」

「この大豪邸が、ですか?」

「確かに他の人よりも少し広いかもしれないけども」

「いや少しってレベルじゃないですよこれ……庭だけで私の住んでるマンションが五棟は建ちますよ……?」

 言われて、庭を見渡す。

 噴水、花畑、ガーデンアーチ、バーベキュー場、フラワーアート……うん、どこをどう見てもいつも通りの、俺の家だ。


「とにかく入りなよ。都合よく両親もいないし」


 うちの両親、ここ数年ずっと旅行してるので、都合よくもなにも常にいないのだけれども。たまに父が帰ってきたりする事はあるが、それも一年に一度あるかないかだし。

 庭の真ん中の舗装された道を歩きだす。が、緊張しているのか、後輩ちゃんは一向についてくる気配がない。

 俺は少し戻り、後輩ちゃんの手を引いて、俺は再び歩き出した。

 後輩ちゃんは一瞬肩をびくりと跳ねさせたが、文句一つも言わずについてきてくる。視界の端に見えるその頬は、ほんのりと朱に染まっているような気がした。


「……ご両親、何されてる方なんですか?」


 庭の真ん中あたりまで来たところで、後輩ちゃんは言った。俺の家はかなり大きいらしいし、そんな家に住んでいたら気になるのも当然だろう。


「小説家だよ、両親ともに」

「小説家って……」

「両方とも超がつく売れっ子。特に父親。多分、後輩ちゃんも名前くらいは聞いたことあるんじゃないかな」

「両方とも超がつく売れっ子。特に父親。後輩ちゃんも名前は絶対聞いたことあるし、もしかしたら読んだこともあるかもね」


 この世界に少しでも触れたものならば知らないものはいないほどの人たちだし、名前を検索すれば『天才』と書かれたサイトがいくつも出てくるくらいの、化け物どもだ。

 息子であることが、心底嫌になるくらいに。


「すみませんちょっと脳の処理が追いつかないです……」

「うん、俺も初めて知ったときは似たような顔になった」


 なにせ家にあった本を適当に読んでたら父親に『それ俺が書いた本』って言われるんだもんなぁ……しかもそれ、かなりエッチなシーンがあるやつだったし。


「だからですか?」

「ん、なにが?」

「先輩さんが、小説を書いてるのって」


 なるほど、それも当然の疑問だろう。なにせ両親が小説家なのだ、俺が小説を書き始める理由としてはぴったりだろう。

 けれど。


「……親は関係ないよ。俺がただ、書きたかったから書いてるだけ。ただの趣味だよ」


 直線にも関わらず歩くのにやたら時間のかかる庭に、やけに低い声が響いた。

 と、その瞬間に玄関にたどり着く。


「……まさかとは思いますけど、メイドさんとかはいないですよね?」

「さすがにない。欲しかったけれども」


 この家を建てるのに貯金をほぼ全部使ってしまったらしい。いくら売れっ子作家二人とはいえ、こんな豪邸を建てたうえでメイドさんを雇うほどの金はなかったそうだ。……あくまで当時はの話で、二人揃って一年中旅行してる今なら普通に十人ほど雇えるくらいの金があるだろうが。この家建てた時よりも今の方が売れてるし。うちの両親、天才すぎてやばい。

 無駄に大きな扉を開く。俺が縦に2人並んでも通れるレベルなのは流石にこの家で生まれ育った俺でもおかしいは思う。大きさに伴って重量もかなりもので、開くのにも一苦労だし。


「お、おじゃまします……」


 後輩ちゃんは控えめな声で呟いた。控えめすぎて、後半はほとんど聞こえなかったくらいだ。


「うっっっっわなんですかこれ!?」


 家の中に入るなり、後輩ちゃんが目を見開いてどん引きしていた。

 俺が首を傾げると、


「廊下、広すぎません!?」

「そうか?」


 他の人の家になんてほとんど入ったことないから、ぴんと来なかった。だが考えてみれば、家が大きいのだから、その分廊下が広いのも当然だろう。

 靴を脱ぎ、二階にあるリビングへ向かう。後輩ちゃんは家の中にエレベーターがあることにもびっくりしていた。もしかして、普通の家ってエレベーターないの……? いや、だってマンションにエレベーターって付いてるよね……?

 自分の感覚が麻痺していることに驚きつつ、冷蔵庫を開く(これは一般的な大きさらしく、もはや後輩ちゃんはそこに驚いていた)。


「飲み物、何がいい?」

「別になんでも……」

「じゃあ、ウィスキーでも」

「私、未成年なんですけど」

「冗談だよ」


 冷蔵庫の中からコーラを取り出し、適当なグラスに注いでいく。初夏の暑さにやられてか、グラスに入れた氷がじわじわと溶けていく。

 自分用と後輩ちゃん用の二つを机に置くと、


「ありがとうございます」


 喉が乾いていたのか、後輩ちゃんはこきゅりと可愛らしく喉をならして、コーラを口に含んだ。


「……サキュバスって、性欲を栄養素に変えて生きてるんですよ」


 そして後輩ちゃんはおもむろに語り出した。恐らく外では話しにくい内容で、だから家について他に誰もいないこの空間で、話し始めたのだろう。


「そもそも性欲には二種類存在して、一つは女性の性欲、もう一つは男性の性欲です」

「…………」

「この二つが合わさって初めてサキュバスは生きることが出来ます。なので男性を襲ったりするわけなんですよね」

「ちなみに男性の性欲は、一体どうやって吸収してるの?」

「えっと、一番効率がいいのは、その……精液から吸収することなんですけど、キスとか手を繋ぐとかでも……後、ものすごく効率は悪いですけど、近くにいるだけでも吸収自体はできるらしいですね」

「つまり俺はもう後輩ちゃんに吸い取られた後ってわけか」

「勝手に手をつないできたくせに何言ってるんですか」


 後輩ちゃんが頬を膨れさせて怒るのと同時に、後ろで黒い陰が立った。見ると尻尾がぴんと天に向かって伸びている。


「ねえ後輩ちゃん」

「なんでしょうか変態さ……先輩さん」

「なんでそんな言い間違えをしかけたのかは後でゆっくり聞くとして、尻尾、ちょっと触ってみてもいい?」


 黒いハートのような先端をした尻尾が、俺はずっと気になっていた。


「……またパンツとか見る気じゃないですよね?」

「できれば見たいとは思うけど、ちゃんと我慢する」


 なぜなら俺は紳士だから。パンツを見るのは事故か合意かのどちらかで、だ。


「紳士どころか、やっぱりただの変態じゃないですか」

「ねえやっぱり君、俺の考え読んでるよね!?」

「読まれやすい思考してる方が悪いんですよ。……いいですよ、触っても」


 手で触る以外にも、舌で触ったりもしていいよね? いいんだよね?


「ただし、舐めたりしたら容赦なく殴りますからね」

「ピンポイントで制限かけてくるの辞めてくれない?」

「制限かけられるようなこと考える方が悪いんですよ」

「くっ……」


 何も言い返せなくなったので、おとなしく後輩ちゃんの背中側に周り、尻尾に触れた。


「んっ……」


 意外にも結構固くて、先端は鋭い。つんつん続くと、わずかにだが痛みを感じるほどだ。


「んはっ……ちょ……せんぱ……」


 ハートの腹をつつく。ぷにぷにしている。ずっと触っていたくなるくらいに心地が良い。


「ああっ!」

「ちょっと大丈夫!? これちゃんと18歳未満にも安心して見せられる内容だよね!?」

「せ、せんぱいがわるいんですよ……そんなにはげしくされたら、わたし……」

「だから! ただ尻尾触ってるだけなんだけど!?」


 試しに尻尾を離してみる。

 後輩ちゃんは手をパタパタさせながら、コーラを一口飲んだ。

 グラスを置き、長い息を吐く。


「……尻尾って、かなり敏感な箇所みたいですね」

「そのようで……」


 頬の紅潮も取れ、呂律も回るようになっている。


「うっ」


 火照った体を冷まそうとでもしたのか、もう一度グラスに手を伸ばそうとしたはずの後輩ちゃんは床に倒れ、心臓を両手で押さえだした。

 目は苦しみに見開き、その額には体調を崩した時にでる汗が、滲み出ている。


「せ、せんぱ……い……」


 後輩ちゃんが苦しそうに呻きながら、俺の方を向いた。

 獲物を見つけた鳥のように俊敏な動きに、俺は一瞬にして捕らえられ、床に叩きつけられる。

 幸い、ふかふかの絨毯が敷いてあるのでダメージはないが――それ以上に、先ほどと同じようなこの状況に、焦りを覚えた。

 日が沈み始めているのか、窓の外から降り注ぐ光が、次第に細くなっていく。

 半分が闇に満たされた部屋で、青白い目玉が二つ、仄かに赤く光った気がした。


「先輩さん……これ、大きくなってますよね?」


 後輩ちゃんは尻尾で俺の股間を突きながら、じゅるり、と舌舐めずりをした。


「俺も健全な男子高校生だからな。可愛い女子高生に押し倒されたら、そりゃあ反応くらいする。というかしない方が失礼だろ」

「かわっ……」


 俺が極めて冷静に返すと、後輩ちゃんの顔は熟れた苺さながらに赤くなった。

 荒い息が、聞こえてくる。

 距離はほとんどゼロだ。吐き出された息の温度湿度が、直接伝わってきた。


「せんぱいさん……いい、ですか?」


 高校生ともなれば、後輩ちゃんが何を言ったのか、瞬時に理解出来る。

 潤んだ瞳と紅潮した頬に、思わず華奢な体を抱きしめた。

 熱気が立ちこめる。

 鼓動がうるさい。

 後輩ちゃん、けっこう胸あるな……やわらけぇ……。

 体に押し当てられた感触から、後輩ちゃんの鼓動も異常に早いことを感じ取った。

 湿った吐息が、耳にかかる。

 もう二度と、後輩ちゃんを離したくない。

 後輩ちゃんは俺の首に手を回すと、キスをねだるように、唇を突き出した。

 薄く赤の乗った、柔らかそうな唇だ。きっと、今まで多くの人が求め、届かなかったもの。

 理性は限界に近かった。本能のままに、顔を近づけていく――でも。

 でも本当にこれでいいのだろうか。

 最後の最後で、そんな考えがよぎり、顔を離した。

 後輩ちゃんが俺を襲おうとしているのは、サキュバスとしての、精液を奪おうとする本能からだろう。それは多分、理性では到底あらがえないものなのだろう。

 そんな状態の女の子を、例え俺が襲われている身とはいえ、抱いてしまっていいのだろうか。

 抱いてしまえば、きっと俺はこの時の自分を一生後悔するし軽蔑する。こういうことは、お互いが理性をもって合意してから、するものだ。

 ヘタレと言われても仕方がない。男の風上にもおけないだろう、こんなやつ。ここまでお膳立てされて、何もしないというのだから。

 それでも、構わない。

 俺はこの子の先輩なのだ。先輩なら、後輩が失敗した時は、間違えた時は、正しい道に導いてあげなくちゃ、いけないだろう。

 俺はそっと、腕を後輩ちゃんの背中から、頭へと移動させた。

 後輩ちゃんは不思議そうに俺を見る。

 そんな表情も可愛くて、先ほどと捨てたばかりの気持ちが込み上げてきて、慌てて目を逸らした。


「だめだよ後輩ちゃん。俺たちは恋人同士でもなんでもないんだから」


 今はまだ、ただの先輩と後輩なのだから。

 赤子を慰めるように、優しく、そっと、さらさらの髪に、触れていく。

 後輩ちゃんは俺の服をつかんで、潤んだ瞳で睨むようにみてきた

 けれど、俺は応えない。いや本当は俺の男の部分が痛いくらいに反応していたのだが。しかし心を鬼にして、無にして、後輩ちゃんが元に戻るのを待った。

 十分ほどが経った頃。

 後輩ちゃんの顔からは熱が引き、いつもの色白に戻っていて、鼓動もどんどん遅くなってきた。

 やがて俺から離れて、急にポットの中のお湯みたいに、湯気をたてた。


「せせせせんぱ、いま私、いったいなにを?」

「うん、危うく俺は諸々の責任を取らなければならなくなるところだった」


 せっかく元に戻った顔色が、むしろ先ほどよりも濃い赤色に染まり、


「……申し訳ありませんでしたっ!」


 後輩ちゃんは猛烈な勢いでスライディング土下座を決めた。


「まあまあ、何もなかったわけだし気にする必要はないよ。相手が俺でよかったね。俺レベルの紳士じゃなければ君は確実に今頃ベッドの上で乱れてた」


 なんとなく、ちょっと意地悪してみる。

 ものすごく頑張って我慢したのだから、これくらいは許されるだろう。

 その我慢が消えないうちに、後輩ちゃんと距離をとり、すっかり氷も溶けてぬるくなったコーラで喉を潤す。

 甘ったるい液体が喉を通りかかったところで、初めて自分の喉が乾いていたことに気がついた。

 どうやら、結構緊張していたらしい。

 自分を誤魔化すようにもう一口。

 心に区切りがついたところで、もう日が完全に落ちていることに気がついた。


「……そろそろ帰らないと、ご両親、心配するんじゃない?」

「そ、そうですね! では私はこの辺で……」


 き、気まずい……圧倒的に気まずいぞ、これ……これが女子と一線を越えそうになったけどギリギリ思いとどまった時のラノベ主人公の気持ちか……下手したら一線を越えたあと以上に気まずい。越えた後にどれくらい気まずいのかは、経験のない俺には分からないけれども。


「そうだ、帽子かなんか被っていく?」

「え、いいんですか?」

「その格好で町を徘徊してたら通報ものでしょ」


 玄関に向かう途中でそんな会話をしながら、一階のクローゼットから白いニット帽を取る。季節外れではあるが、後輩ちゃんの、耳の上あたりから巻いて下に垂れている大きな角を隠すには、これくらいしか方法がなかった。後輩ちゃんの髪と似たような色だからあまり目立たないだろうし。

 家から出て、庭の出入り口まで一緒に歩く。

 門から半身飛び出したあたりで、後輩ちゃんは意を決したように拳を握って振り向いた。


「先輩さん、エッチな小説を書いてくれませんか?」

「……は?」


 突然のことに理解が及ばず、素っ頓狂な声を漏らした。

 後輩ちゃんは自分言った言葉の意味を理解したのか、顔を真っ赤にし、


「いえ、その、そういうのを書いて、読ませていただければ、必要最低限の性欲を得られると思うので!」


 慌ててそう注釈した。

 経験したことがないので、エッチな描写には自信はないけれど……だが俺がこの後輩にしてあげられることはこのくらいしかないのも事実だ。それに頼られているのだから、その想いには可能な限り答えてあげたいし。


「うん、いいよ」


 頷くと、後輩ちゃんはぱぁ、と笑顔を咲かせた。


「ありがとうございます! では、おじゃましました!」


 後輩ちゃんは頭を下げ、元気に門の外へと走っていく。角を曲がる途中で一度転んだが、すぐに立ち上がって薄暗い街に消えていった。

 彼女の姿が見えなくなったところで、俺は家の中に戻る。玄関の鍵を閉めたところで、俺は扉に背中を預けながら、膝からくず折れた。張り詰めていたものが一気に抜け落ち、立っていられなくなったのだ。

 ……まったく、あの子はなんでこうも無防備なのか……。今日はサキュバスになるというイレギュラーはあったものの、常に距離が近いので、心臓に悪いことこの上ない。彼女にとって学校での頼れる人が俺くらいしかいないというのもあるのだろうが、それにしても異性の壁を感じない。俺も健全な男なのだから、気をつけて欲しいものだ。

 ドキドキしっぱなしだった心臓を深呼吸で無理やりに押さえつけ、立ち上がる。

 エレベーターで三階に上がり、自分の部屋へ。

 学校の鞄からノートパソコンを取り出してワードを開き、暗い部屋の中で俺はキーボードを叩き始めた。

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