2:初めまして異世界『コーリングワールド』
目をふと開ける。
ここは、どこだ?
僕は、死んだんじゃないのか…?
2.初めまして異世界『コーリングワールド』
目を覚ますと、そこは白い部屋だった。飾りのない白い部屋に白いベッドがポツンと置いてあり、そこに僕は寝かされていた。
確かに僕は車に轢かれたはずだ。しっかりと身体が宙に投げ飛ばされた感覚も記憶もある。
しかし、どこも痛みを感じないし怪我の痕も残っていない…奇跡的に助かったのか?
どういうことだ?
状況が飲み込めないまま、とりあえず動こうとベッドから起き上がろうとしたときにドアがコンコンと軽くノックされた。
「起きられましたか、ヒロト様。」
女の人の落ち着いた声がドア越しに聴こえてきた。
「入ってもよろしいでしょうか?失礼しますね。」
僕が返事をする前にその女の人は部屋に入ってきた。・・・返事なんて聞く気なかっただろ。
「初めまして、ヒロト様。私の名前はルーナ。この世界の案内人を務めております。」
そう挨拶をする彼女、ルーナの美しさに僕は目を奪われた。
彼女の目はとてもぱっちりしていて、鼻筋も綺麗に通っている。腰あたりまである透けるような金髪は緩く巻かれているようで、まるでヨーロッパの人形のようだ。
突然現れたルーナに声を出せないでいると、彼女は話し続けた。
「ヒロト様がこちらの世界に転生されてから既に一週間経過しております。これからあなたは職業を選び、働かなければなりません。働かなければ生きていけない…それは現実世界と同じかもしれませんね。でもこの世界では『転職』の数があなたのステータスとなります。頑張ってくださいね、応援しています。細かい説明はこちらの」
「ちょ、ちょっと待ってください!!」
ぽかんとしている僕を置いたままつらつらと話している彼女を遮って、声を荒げた。
「転生ってどういうことだ?僕は死んだはずなんだ…こちらの世界?ここは天国か何かか?働くってなんだ?また働くのか?え、僕は何者なんだ…?」
ルーナの話を一つも理解できずにいた僕の口からは思いつくままの言葉が発せられた。
彼女は落ち着いた表情を変えないまま僕をじっと見つめると、口を開いた。
「ここは現実世界とは異なる世界・・・・『コーリングワールド』。現実世界での自分自身に対して未練や不満があった人々が、転生してくる場所です。」
「ヒロト様も、そのお一人。」
それまで表情を崩さなかったルーナが目を細めてにこっと笑った。
「ようこそ、コーリングワールドへ。」
思ったより話しの進みが遅いです…。
やっと異世界に転生!
次の話から色々と動き出す予定です。