ビスケットころりん
二人はカーペットの真ん中に来ました。
ももちゃんは周りをくるりと見渡しました。
しかし、どこにもビスケットは見当たりません。
「ないよ、みみちゃん」
ももちゃんは首をかしげます。
どういうことでしょう? みみちゃんは何がしたいのでしょうか?
「じゃあ、ももちゃん、困った時ってどうするの?」
「こまったねーっ、ってする」
ももちゃんは首をかしげます。
「そうそう、それだよ、ももちゃん。首をかしげるんだよ」
ももちゃんはさらに首をかしげます。
みみちゃんの言っている意味がわかりません。
「おもいっきり首をかしげればいいんだよ。ももちゃん。でんぐり返りをするくらい首をかしげるんだよ」
みみちゃんは鼻をひくひくさせます。
ももちゃんは、みみちゃんに言われた通りにでんぐり返りをします。
カーペットの上に、頭をつけて、えいっ!
くるん。ももちゃんは、でんぐり返りをしました。
そのとき、ももちゃんの服の中からビスケットが飛び出してきました。
「あっ。ももちゃんのビスケットみーっけ」
ももちゃんは笑顔で声をあげます。
笑顔で喜ぶももちゃんを見て、みみちゃんはいつもより多く鼻をひくひくさせます。
ももちゃんのビスケットは、ももちゃんの服の中にありました。
きっと、くしゃみをした時に服の中にポロッと落ちちゃったのでしょう。