遊園地(番外編)
好き勝手やりすぎました。
性格がすこしかわってしまいました。
僕が望むと、僕とセカイを乗せたジェットコースターはゆっくりと動き出した。便利だな、神様って。
ジェットコースターは、二人分の重さなどものともせずに、どんどん上がっていき、やがて頂点までたどり着く。
一瞬の浮遊感。次の瞬間、ものすごい速さで僕らは落ちていく。
「うわあぁぁぁぁぁ!」
「キャアアァァァァ!」
二人して悲鳴を上げる。そう。せっかく来たんだから楽しまなくちゃ。
「はい、これ」
ベンチに座っていたセカイに、僕はさっき見つけた屋台で手に入れたクレープを差し出す。
「ありがとう。わあ、私、クレープ食べるのは初めてなんだ」
「そうだったの?」
「そんなことのために、いちいち私が出てきたら大変でしょ。私が出てこれるのは、こういう危機的状況だけ」
こういう危機的状況なのに、のんびりとクレープなんて食べてていいのだろうか。
「うーん、美味しい!」
まあ、セカイが大丈夫って言ってたんだから大丈夫なのだろうけど。
僕もクレープをかじる。焼きたてのクレープはまだ生地もほんのり温かく、たしかに美味しかった。
「ふぉれはらはにに乗ふ?」
「口の中のものを飲み込んでからしゃべりなよ」
僕が半分あきれながら言うと、セカイはモグモグと口の中のクレープを飲み込んでからまた言った。
「これからなにに乗る?」
僕は少し悩む。正直、何も考えてなかった。
「私が決めてもいいかな?」
「うん。別にいいけど」
僕はこういう所へあまり来なかったので、むしろそっちのほうが助かる。
「やったあ。それじゃあ、まずはアレ乗ろう!」
そう言って、セカイが指差したのは、白い馬と馬車。ようするにメリーゴーランドだった。
訂正、やっぱり、任せなかったほうがよかったようだ。
とてつもなくはずかしかった。はたから見たらバカップルとしか見えないようなものばかり乗せられた。
そして今、僕とセカイは観覧車に隣り合って座っていた。
しかもなんで正面じゃなくて隣に座るんだろう。肩とか微妙に当たっていて、すごく心臓に悪い。
セカイのほうはあまりそういうことを意識してはいないみたいで、さっきからずっと外を真剣なまなざしで見ていた。さすがに今日一日中、いつものセカイでは考えられないくらいはしゃいでいたから疲れたのだろう。口数は少ない。
僕はそんな世界をぼうっと見ていた。
目が合った。世界が急にこちらを見てきたので、あわてて目をそらすのもわざとらしくなってしまう。
セカイがこっちを向きながら目を閉じた。ちょっとだけ、唇を突き出して。
もしかして、やれって? ここで? いや、シチュエーション的には悪くないっていうか、最高に近いものだけど。そもそも、僕はセカイをどう思っていたんだ?
答えはすぐに出た。迷うことはなかった。
思っていたよりもセカイの唇はあたたかくて、そのあたたかさに、僕はドキドキした。
どれくらいそうしていたのだろうか、気がつくと、観覧車はもう地面についていて、僕らはあわてて降りる。
どうせだったら、この後のセリフも観覧車の中で言いたかったなあ。
「これからも、よろしく!」
「うんっ!」
セカイは笑った。昔みたいなさみしい笑顔じゃなくて、外見に相応したとてもかわいい笑顔で。




