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 たくさんの声と足音が聞こえてくる。ここはそういう場所だった。

「世界を元に戻すって言っても、具体的にはどうすればいいのかな?」

 そのたくさんの音にかき消されないようにぼくは隣にいるセカイに声をかける。

「特に何もしなくていいんだよ。君が生きている、それが大切なことだから」

「でも、それだけじゃなんか暇だなあ」

 僕はだいぶ余裕を取り戻していた。

 とりあえず、僕が死ななければ世界は戻る。

由香と軽口を言い合ったりし合う日々が戻るんだ。

「そうでもないよ。ほら、たい焼きだって食べられるし」

 いつの間にか、セカイはおいしそうにたい焼きをほおばっていた。

「なるほど」

 崩壊をまぬがれるために世界は同じ一日を繰り返している。

 その日に駄目になるものは別にして、たいていの者は人がいなくても生産され、加工され、店に並べられる。

「セーブしたデータは消えちゃうけど、ゲームだってやれるよ」

 たしかに、退屈だけはする心配はなさそうだ。

「かといって、だらけているだけじゃアレだから、私とデートしようよ」

「毎日?」

「うん。二人旅でもいいよ」

 ほとんど同じ気がする。というか、やっぱりそれしかないのかなあ。この世界には僕と彼女しかいないんだし。

「ほら、行くよ」

 そう言って、セカイは強引に僕の手を引いて歩きだした。

 女の子と二人旅か。まあ、それもいいかもしれない。



「ところで、世界が戻るまで、どのくらい時間がかかるかわかる?」

「五年くらいかな?」

 一瞬だけ、やっぱり死んだほうが早くないか? なんて考えてしまった。

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