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絵本原作「屋上のカエルくん」

作者: 野村 生一

格言に、「井の中のかわず、大海を知らず」という有名な言葉があります。

大海を知るとは、どういうことなのでしょうか。

旅をして、世界を知ること。

様々な人や、出来事に出会い経験すること。

沢山の書物にであうこと。

でも、本当は、もっと大切なことが、もっと身近にあるのです。

さあ、それを見つけに冒険にしましょう。ジャンプ!

絵本原案

「屋上のカエルくん」

井の中のかわず、大海を知らず。



ボクは、カエルです。

オタマジャクシのころから、ここにいます。

ここは、ビルの屋上です。

どうしてボクがここにいるのか?

ボクには、よくわかりません。


ボクは、ビルの屋上のバケツの中で暮らしています。

ボクのともだちは、ビルのおうじのオジサン。

まいあさ、バケツの水をかえてくれます。

ある日、ボクはオジサンに聞きました。

「ほかのビルの屋上はどうなってるの?」

「いろいろだな。カエルくんはここにいたほうが安全だよ」

ボクは、近くのビルの屋上をみながら思いました。

「となりのビルの屋上にはなにがあるんだろう」


ある朝、ボクは、力いっぱいとなりの屋上にジャンプしました。

それを見ていたオジサンは悲しそうな顔をして言いました。

「元気でな」


となりの屋上は日当たりがよくてきれいな病院でした。

そこに車いすにのった女の子がいました。

「カエルさんは、どこからきたの」

「となりのビルからだよ。これからいろんな屋上を旅するんだ」

「いいな、わたしも早くケガがなおらないかな」

「ケガがなおったらボクが屋上をあんないしてあげるね」

「うん、ありがとう」

「じゃ、となりのビルのジャンプ!」

となりのビルにはキラキラ光る大きな板がいくつもありました。

そくにいたひまわりの花さんが言いました。

「カエルくん、あれは太陽の光をあつめる板だよ」

「どおして太陽の光を集めるの」

「電気をつくって、部屋の明かりやエアコンの電力につかうんだよ」

「そんなすごいことができるんだ」

その時、大きなおとがしました。

ボクは、音がするビルに、ジャンプ!


大きな音は、ヘリコプターでした。

ビルの屋上には、大きなHの文字が書いてありました。

「あぶないよ、そこに着陸すりからね」

ヘリコプターさんがボクにそういうと、Hの文字の上に着陸しました。

ボクは、となりのビルにジャンプ!


となりのビルの屋上に秘密基地のような家がありました。

発明家の先生の家でした。

食べてもへらないパンや、空飛ぶつばさを研究しているそうです。

でも、ボクの足をみて言いました。

「なかなかジャンプ力のある足だね・・研究してもいいかい」

「わあ~にげるぞ!」


ボクは、思いっきりジャンプしました。すると、ザブン!

となりのビルの屋上にはおおきなプールがありました。

そのプールにちょっと太ちょの社長さんがいました。

社長さんはとなりのビルの屋上を見ながら悲しい顔をして言いました。

「昨日まで、屋上が遊園地でここからながめるのが大好きだったのに。

 昨日で閉店したらしい」

となりのビルにだれもいない遊園地がありました。

「じゃ、社長さんが買って遊園地を作りなおしてよ」

「でも、どんな遊園地にしたらいいんだろう」

「ボクが世界中の屋上を見てきていい考えをみつけてくるよ」

それから、長い長いボクの旅がはじまりました。

雨の日も、嵐の海も、砂嵐の砂漠も乗り越えていろんな国の屋上を旅しました。

ジャンプ!


10

屋上がスポーツ広場になっていました。

沢山の人が集まってヨガをしています。

気持ちよさそう。

ジャンプ!


11

屋上はながめがいいので、ほら、都会の中でキャンプ場。

屋上でキャンプ、楽しそう。

ジャンプ!


12

屋上アートです。屋上全部に絵お書いたり。

屋上に作品を展示したり。

子どもたちと一緒に絵を書いたり。

屋上がアート作品だね。

ジャンプ!


13

わっ、屋上が畑になってる。

こっちはお花畑だ。

屋上で農園になっているんだね。

いろんな屋上があるんだな。

そして、みんな屋上を大切に使おうと考えてるんだ。

屋上の畑にいたカエルちゃんがボクに言いました。

「ここで、一緒にくらしましょう」

「ありがとう、でもボクの旅はまだ終わってないから」

ジャンプ!




14

ボクは、屋上プールの社長さんに屋上の旅でみてきたことを話しました。

そして、病院の屋上にいた女の子にも会いに行ったんだ。

女の子はケガもなおって、走ってきたよ。

女の子の旅もはじまるんだね。


15

ボクは、ボクが生まれた屋上に戻りました。

オジサンがボクを見つけてよろこんでくれました。

「でも、ここよりもとすばらしい屋上が世界にいっぱいあったのに

 どうして戻ってきたんだい」

「オジサン、この屋上にお花畑をつくてください」


おしまい。


井の中のかわず、大海を知らず。

されど、空の青さを知る。



あなたは、空に浮かぶ雲の名前をいくつ知っていますか。

何故、空が青いか知っていますか。

大海を知ること、冒険に出かけることは素晴らしいことです。でも、それは、終わりのない永遠の旅。

それも素晴らしいけれど、人類のすべての頭の上にある青空。その青さ(深さ)に、気付いたことがありますか。

格言には、続きがありました。「井の中のかわず、大海を知らず。されど、空の青さ(深さ)を知る」と。

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